国土交通省が、来年度から約5年間で、全国の橋や下水道、トンネル、 港湾施設など土木構造物の老朽化の状況を集中調査を行うとのこと。公共事業費が削られる一方で、 60年代につくられた大量の構造物の耐用年数が近づいていて、従来のすぐにスクラップ&ビルドでは対応できない、 ということですね。補修・補強でできるだけ使い続けよう、という方針に転換。
業界では、このような方向への展開はもう何年も前から言われていて、ようやく転換なったか、という感じがします。 どうしても作り直す必要があるところは作り直すんでしょうが、頻度は少なくなるのでしょうね。ただ、古い構造物は、 今の耐震基準は満足しないものが多いでしょうから、補修・補強するとして、 どう折合いをつけていくのかが問題になるでしょう。
補修や補強となると、設計分野では、補修の対象になる古い時代の構造物に関する知識が必要だったり、
古いものは設計図書が失われているので、復元設計が必要になったりと、新規の設計以上に技量と経験が必要で、
難しいところがあります。
何より、そんな手間のかかる内容に比べて、設計費が安い(^^; これは補修・
補強設計が増えてくれば改善されるのかもしれませんが。
現在、公共事業は設計施工分離ですが、補修設計となると、 新しい構造物以上に施工に関する条件や工法の選定が重要になるはずです。今使っているものを、 使用禁止や通行止をせずに補修できるか、といったようなことですが、このような検討になってくると、 設計専業のコンサルタントよりも、実際に施工している建設会社の方に分がありそうです。
設計施工分離から、設計施工一体、というような方向になってくる可能性もありますね。
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橋・下水道の「寿命」調査へ 国交省、壊さず補強に転換
2007年07月11日17時53分
全国の橋やトンネル、下水道の「寿命」があとどれくらいあるのかについて、 国土交通省が来年度から初の集中調査に乗り出す。 60年代の高度成長期に集中的に整備された社会資本の耐用年数切れの時期が近づいているためだ。 地方自治体の協力も得て08年度からほぼ5年間で調査し、必要に応じて長持ちさせる補強工事の計画を作る。 壊れてから直す事後対応でなく、「事前予防型」の公共事業へと転換する。
調査対象は下水道設備や橋、トンネル、港湾施設など。コンクリートの劣化具合などを確認し、 建築年も考慮して必要があれば補修剤を注入したり塗装をしたりして補強して、延命させる。
すべての下水管や、一般道にかかる12万9000の橋などを管理する自治体には、 同省が指針を示し補助金を出すことで集中調査に協力するように求める。現状では下水管の定期点検は全自治体の3割だけ、 橋の定期点検は市町村の1割だけしかしていない。このため自治体にも、 整備時期などを考慮して下水管と道路の補修計画を立ててもらう。
自治体にも事業の転換を促すため、補助金制度を変える。 現在は橋の補修や建て替えに補助金を出しているが、 5〜7年後には予防的な修繕計画を策定していない橋には補助金を出さない仕組みにする。 ほかの社会資本についても同様の変更を検討している。
最近は、下水管破損で道路が陥没する事故が急増。05年度は約6600件と、10年前の1. 4倍に増えた。その後も増加傾向にある。破損管の9割は埋設後30年以上たっており、老朽化が原因と見られる。 築後50年ごろから損傷が目立つとされる橋でも、 全国の一般道にある14万カ所の橋のほぼ半分が20年後までに築50年以上になる。同省は「危険度が増している」 という。
今回の集中調査の背景には、耐用年数の期限切れ急増という差し迫った事情のほか、 財政難で公共事業費が削減されていることがある。昨年の政府の「骨太の方針」で公共事業費は5年間は毎年、 前年度比3〜1%削減されることが決まった。同省にはこうした対応で多額の「維持費用」がかかることを示し、 公共事業費の削減率をできるだけ小さくしたいという思惑もある。



