実物大の木造住宅に、阪神淡路大震災クラスの揺れを与える実験が行われ、 現行の建築基準法による木造住宅の最低限の耐震強度では、巨大地震時に倒壊する可能性があることがわかったとのこと。
建築の基準には詳しくない門外漢ですが、現行基準は82年と実に約25年ほど前のものなので、
関東大震災のようなプレート型地震が念頭にあり、
阪神淡路大震災のような直下型地震は想定していないのではないかと思います。
なので、最低限の等級1で倒壊、というのも不思議ではない。とりあえず、
等級1の1.5倍の強度である等級3を目指して設計すれば、直下型地震に対しては大丈夫なようです。
ただし、設計で想定する地震の強度が地域によって異なる点と、阪神淡路大震災クラス、という点は要注意でしょうね。
昔から地震への備えが言われてきた首都圏や東海地方は大きな震度を想定しているでしょうが、
過去に大きな地震が無かった地域ではどうか。現在は過去に大きな地震が無かったといっても安心できない。
また、現時点ではあまり言われませんが、阪神淡路大震災を越える加速度を記録する地震がいくつかおきているはずです。
確か、中越地震がそのような地震だったように思います。これをどう考えるか。
建築基準法の改正も、確実に耐震設計にしばりをかける、という意味では必要ですが、 それよりも既存住宅の耐震補強に関するガイドライン的なものが無ければ作成する、あるならもっと周知するように努める、 といった方が重要な気がします。
古い家を壊して新しく建替える、というのはなかなか難しいので、既存の家をいかに耐震補強するか、 という需要が高まってくると思います。何らかの目安が無ければ、実際の効果が疑わしい○○補強工法、 といった怪しげな商売の温床になる可能性がありますね。
asahi.com
木造住宅実験、耐震基準内でも倒壊? 産学研究会
2006年11月24日09時14分
建築基準法に定められた耐震強度を守って建てた木造住宅でも、阪神大震災(震度7) クラスの地震で倒壊する危険性があることが、国土交通省の外郭団体などの実験で分かった。 震度6強〜7程度で倒壊しないことを目標に定めているはずの国の耐震基準が、 巨大地震への備えとして十分でない可能性が浮かび上がった。 昨年11月に発覚した耐震強度偽装事件ではマンションの強度に注目が集まったが、 木造住宅の耐震性も検証が求められそうだ。
写真実験後の「耐震等級1」の建物。安全のため内部に張り巡らせたワイヤで形を保っているが、柱は壊れ、 実質的に倒壊状態(建材試験センター提供)
実験をしたのは、国交、経済産業両省の外郭団体、建材試験センター(東京都)に設けられた 「木質構造建築物の振動試験研究会」(委員長=坂本功・慶応大教授)。同センターや大学の研究者、 住宅メーカーの産学協同で、04年から取り組んできた。
実験では、独立行政法人・土木研究所(茨城県つくば市)にある振動台(縦8メートル、横8メートル) を使用。延べ床面積106平方メートルの木造2階建て3棟を振動台の上で揺らし、耐震性を調べた。 3棟は壁の厚さなどの違いで設計上の強度が異なり、壊れ方の差を比べた。
3棟のうち最も弱い建物は建築基準法の耐震基準と同じ強度で、国の住宅性能表示制度では「耐震等級1」 。阪神大震災の際に神戸海洋気象台が観測した地震波(818ガル)を再現して等級1の建物を揺らしたところ、 1階の柱や筋交いが折れ、実質的に倒壊したという。
等級2(基準の1.25倍の耐震性)では壁板が浮いたり、柱のかすがいが抜けかかったりしたが、 倒壊はせず、等級3(1.5倍の耐震性)は変形したものの、構造部分はほぼ無傷だった。
3棟には、内壁や内外装がほとんどないが、建物の強度は、 柱やはりなど構造部分で確保するのが基本とされる。
国交省によると、基準法の耐震基準は「震度6強、 7程度の大地震で人命に危害を及ぼすような倒壊などの被害を生じないこと」を目安にしている。阪神大震災でも、 現行基準で建てられた82年以降の建物に大きな被害が少なかったことから、「現行の基準はおおむね妥当」としてきた。
実験結果について、坂本教授は「現行の建築基準法は、巨大地震への備えが必ずしも十分ではない。また、 木造住宅の耐震性能の評価基準も、実際の強度とズレがある。住宅の設計や耐震補強に携わる者は、 余裕のある強度をめざすべきだ」と話す。
国交省は「実験で倒壊した建物は通常の住宅と異なり、 耐震基準通りの木造住宅がただちに危険とは言えない。基準の見直しは考えていない」としている。ただ、 木造住宅の耐震性については、データ収集の必要があるとして、年度内にも実物大のモデルを使った実験に取り組む予定だ。
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〈キーワード:耐震等級〉 住宅性能表示制度に基づく建物の構造の強さの目安で、地震に対する倒壊、 崩壊のしにくさを表す。等級1〜3の3段階で示し、等級1は、建築基準法に定められた最低基準と同等で、 数百年に一度発生する地震(各地で異なり、東京は震度6強〜7)でも倒壊しない強さ。 既存住宅の等級は民間検査会社が有料で評価している。また、基準法以上の耐震性があるかどうかは、 自治体などが行っている耐震診断で知ることができる。



