先日の東日本大地震で発生した津波は、世界有数の規模を誇る防波堤を破壊していたとのこと。中には、世界一の規模としてギネス記録にも認定された防波堤も含まれています。
ギネス認定された防波堤は、過去最大級の地震としてM8.5の明治三陸地震に耐えられるように設計されていた、ということですが今回の地震はそれを上回る破壊力だった、ということです。ある意味、自然の力と人間の知恵のイタチごっこです。
大きな災害に見舞われるたび、同規模の地震や津波に耐えられるものを設計し、造ってきました。そうして造ってきたものが防いできた災害も数多くあるはずで、そのような意味では役だってきたはずです。
しかし、あらゆる事態に万全を期するのは難しく、自然は時に人間の想定・経験を越える力を発揮します。先日の地震はまさにそんな強力な力だったと思いますが、そこでは世界一の防波堤と言えども、その実力を発揮することはできなかったようです。
自身が破壊されることで、津波のエネルギーを多少は減じたのかもしれませんが、そのあたりは今後の研究や分析などであきらかになるかもしれません。
では、これからの防災対策をどうするのか?耐震設計の想定を引き上げる、と書くのは簡単ですが、そうした場合の建設コストや整備にかかる時間といったことを考えると、実現性があるのかどうか疑問も湧いてきます。
構造物の耐震性能を引き上げるだけでなく、重要な施設は立地する場所の選定から注意深く行う、また災害発生時の避難をしやすくする、といった対策も組み合わせていかなければならないでしょう。
YOMIURI ONLINE
ジャンボ機250機分の波、世界一の防波堤破壊
太平洋沿岸を襲った大津波は、世界有数の規模を誇る三陸海岸の防波堤を軒並み破壊した。
早稲田大学の柴山知也教授(海岸工学)が19日午後、本社機で上空から視察し、岩手・釜石湾入り口の「世界最深」の防波堤を破壊した津波について、「時速1000キロ・メートルで飛行中のジャンボジェット250機分以上の運動量があった」と試算した。
釜石湾の入り口に南北からせり出した防波堤は、全長約2キロ・メートル。地震前は海上に高さ約8メートル、厚さ約20メートルでそびえ、港湾を守っていた。しかし上空から見ると、北側の防波堤は約800メートルにわたり大きく崩落し、かろうじて残った部分が海面に虫食い状に残っていた。海面に出た部分には、残ったコンクリートブロックが様々な方を向いて崩れた姿をさらしていた。
防波堤は、最深63メートルの海底に東京ドームの7倍に当たる700万立方メートルの巨大なコンクリート塊を沈め、その上部にコンクリート壁が構築され、2009年に完成したばかりだった。
国土交通省によると、1896年(明治29年)の明治三陸地震(マグニチュード8・5)の揺れや津波に耐えられるように設計され、「世界最深」としてギネス記録に認定されていた。
大船渡港(岩手県大船渡市)にある巨大な湾口防波堤(全長約750メートル、水深約40メートル)も完全に崩壊し、水没していた。柴山教授は、「地震で破損した箇所に高い破壊力の津波がぶつかり、一気に崩壊した可能性がある。予想をはるかに超える威力だ」と指摘した。
防波堤内側の海岸沿いにある「最後の砦(とりで)」の防潮堤も多くがなぎ倒された。同県宮古市田老の高さ10メートルの巨大防潮堤(全長約2・5キロ)は、住民らから信頼感を込めて「万里の長城」と呼ばれていたが、津波はそれを乗り越え、集落をのみこみ大きな泥沼を作っていた。
同県山田町の防潮堤も50〜60メートルにわたり激しく倒壊し、灰色の泥をかぶった町には漁船や家々が、がれきと一緒に転がっていた。
柴山教授は、「全国的に防災対策を作り直す必要がある」と唇をかんだ。(金子靖志)
(2011年3月21日03時07分 読売新聞)



