2013年10月22日

海峡道路構想が復活に向けて動く?

全国6海峡をトンネルや橋でつなぐ「海峡横断プロジェクト」が復活に向けて動き出した、というニュース記事がありました。

2008年に無駄な公共事業として、調査が打ち切られていますが、最近になって、海峡周辺の自治体が調査費を計上したり、国会議員が議連を作ったりし出しているとのこと。

 

全国6海峡というのは、東京湾口道路、伊勢湾口道路、紀淡海峡道路、豊予海峡道路、関門海峡道路、島原天草長島連絡道路だそうです。

橋かトンネルか、といったことは決まっていないのですが、どちらにしろ技術的には不可能では無いと思います。本四架橋や青函トンネルなど既に造っていますし。

 

問題は、建設費と造った後の維持管理コストでしょうね。

結局はカネの問題になるでしょうから、そのあたりの手当がつくのであれば、ひとつかふたつぐらい造ってみたらどうかと思います。

人口減少社会が進んでいくこれからの日本で、土木技術の粋をふるう最後のビックプロジェクトとして・・・

 

そうはいっても、いつ破綻しても不思議では無い財政事情の中で、海峡道路の必要性が本当にあるのかとか、公共事業以外に使うべき使途があるんじゃないか、という命題を乗り越えるのは非常に難しいのではないでしょうかね。

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2013年08月01日

国土交通省、設計業務の「赤黄チェック」を義務化へ

国交省が土木構造物の詳細設計で「赤黄チェック」の義務化へ向けて今年度に100件程度試行を行うそうです。単純な図面作成ミスを減らす対策としてはじめるようです。

 

赤黄チェック義務化、といいますが、ウチのような下請会社(協力会社)では、チェックシートの提出なんて随分前から義務化されてますよ。

チェックと言っても、第三者では無くてセルフチェックなので、チェックとしてはまだ甘いかもしれません。

そこそこの規模のコンサルさんであれば、担当者以外に、社内にチェック専門部署があったりして、さらにチェックしたりしていますね。

 

と、設計段階で二重、三重にチェックしても、施工になってまたチェックすれば、やはりいくらか問題は見つかるものです。「人間はミスをする動物」、ミスを無くすにも限界はあると常々感じます。

結局、単純ミスのたぐいは、どれぐらい真剣にチェックするかによって数が増減するものでは無いですかね。俗に言う「めくらチェック」では、何重にチェックしても意味はありません。

受注者がチェックするのでは無く、第三者照査で、ミスを見つければ業務金額増額、というのがいちばん真剣にチェックするのかも・・・・?

 

ところで、引用記事中の赤黄チェックは「赤書きで確認マークを入れ、修正個所は黄色で消して赤字で直す方法。」となってますね。

しかし、私の周辺では、チェックをするときは「OK箇所は黄色で消して、修正が必要な箇所を赤書する」というスタイルです。赤書箇所を修正したら、青や緑など、違う色で消したりします。

これって、実はスタンダードでは無かったんですかね・・・・これからは、チェックシートの書き方を指定されそうです。

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2013年05月07日

橋の底部からコンクリート片落下

広島市の国道2号交差点にある陸橋の底部からおよそ20kgほどのコンクリート片が剥落して落下したようです。

走行中のクルマの屋根にあたったそうですが、怪我は無かったとのこと。

1971年完成の陸橋だそうなので、およそ40年経っています。問題が発生しはじめる経過年数になっていますが、時代的にアルカリ骨材反応による劣化も考えられそう。

 

これから、同じようなニュースが増えていくのでしょうね。「人災」になるかどうかは運次第のような感じで・・・・

「○○に目視検査をした際には異常は無かった」というフレーズも聞く機会が増えてきそうです。

 

目視検査では限界が見えていると思いますが、点検にしろ補修にしろ、金が無いからどうにもならない。

選択と集中で、補修できないものは使用禁止にする、という方向に行かざるを得ませんかね。既に、そんな方向に向かっている自治体もあるようです。

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2013年02月23日

ラウンドアバウト交差点

読売のサイトに、信号機を使わない「ラウンドアバウト」という円形ロータリーの交差点が注目を集めている、という記事が出ていました。

ドイツやフランスでは1960年代から導入が進み、結構ポピュラーだそうですが、日本では10箇所程度だそうです。

ラウンドアバウト方式では、クルマは時計回りに進み、「左折で入って左折で出る」ことになるそうです。

 

道路用地に余裕がとりやすい地方部では、実現可能性が高いようです。信号機を使わないことから信号機にかかる維持費の削減や、信号待ちしないことからCO2排出量削減効果も見込めるそうです。

災害時には信号機が止まることによる交通マヒが回避できるかも、という点からも注目を浴びているようです。

 

いろいろとメリットが語られていますが、ドライバーは慣れが必要でしょうね。信号が無いと合流や分岐でもたつくこともあるでしょう。

最近増加傾向にある高齢者ドライバーの逆走事故など、不慣れなラウンドアバウト交差点ではどうなのか、といった懸念もあります。

後は、歩行者の横断はどうするのか(クルマの流れを見計らって横断するのか、あるいは交差点は横断禁止で、どこかに迂回するのか)とか、自由奔放に走る自転車とクルマの関係も気になりますね。

 

用地の問題もあって大都市部では導入は難しいでしょうから、交通量が少ない地方部であれば、今まで書いたような懸念は、現実にはあまり問題にはならないのかもしれませんが。

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posted by いさた at 21:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月02日

[笹子トンネル崩落事故] 原因の一端は接着剤にあり?

国交省が笹子トンネル崩落事故の調査結果を発表し、天井板をつり下げているアンカーボルトのうち、設計上の強度を保持していたのはおよそ4割程度だったとのこと。

ボルトは接着剤で固定されていて、この接着剤の量が少なかったものもあったようです。また、経年劣化で接着力が弱まった可能性も考えられるようですが、現状ではまだ結論を出すまでには至っていないようです。

 

コンクリート壁や、ボルト自体の強度には問題が無かったとのことで、ボルトを固定していた接着剤の接着力不足が事故の原因の一端のようです。

設計上は、実際にかかる荷重の3倍強を見込んでいるそうなので、安全率としては平均的な値を見ているようです。

 

接着剤の経年劣化がどれぐらい影響があるものなのかはわかりませんが、永久にくっついている接着剤も考えられないので、劣化はしていたでしょうね。

その進行速度が、設計当時の想定よりも早かったのでしょうね。これは、トンネルに限らず土木構造物一般に言えることですが。

 

施工不良のボルトもあるようですが、経年劣化の影響に関しては、他の同様な構造物の劣化度合いの判断にも影響するので、中立的な姿勢で調査分析を行って結論を出して欲しいですね。

 

一方、事故に対する責任論では、
「きちんと施工されていればボルトの固定に問題は無く、事故も起きなかった」
「設計で経年劣化を考慮していないから事故が起きた」
とか、施工者・設計者の責任追及(その裏返しは管理者は悪くないんだ〜、という叫び)に向けた流れができつつあるように感じます。

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posted by いさた at 12:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月30日

笹子トンネル仮復旧

昨日のことですが、今月の初めに天井の崩落事故を起こした笹子トンネルが、下り線のトンネルを対面通行で使って、仮復旧しています。

ニュースサイトで「笹子トンネルで事故」の文字を見ると、また崩落?とどきっとしましたが、追突事故だったそうです。

 

仮復旧は、年末年始の混雑時期に間に合ったと言うべきでしょうか、対面通行なので渋滞のボルトネックにはなるでしょうが、一般道だけよりはずっとマシかもしれません。

現在は天井板を撤去して、換気のために出入り口付近にジェットファンを付けているようですが、読売の実走した記事ではトンネルの中程では視界が悪かったそうです。排気ガスが滞留しているのか?

本格復旧では、もっとジェットファンの数を増やす必要がありそうですね。

 

さて、崩落事故の原因はまだはっきりしていないようですが、吊り金具のボルトをコンクリートに固定していた接着剤の劣化により、ボルトが抜け落ちた可能性が指摘されています。

同じ形式の他のトンネルを緊急調査したところ、問題のあるトンネルもいくつかあったようで、緊急対策工事が行われているトンネルもあります。

 

コンクリートそのものや、ボルトそのものについては、結構耐久性が意識されていると思いますが、接着材の劣化は、盲点を突いて出てきたような問題にも感じますね(私の仕事の範囲では使うことがほとんど無いからかもしれませんが)。

理論的には数十年の耐久性がある構造物ものでも、実際に建造して使っていると、理屈ほどの耐久性は発揮できていない感じがしますね。

実際に造ってみないとわからない・・・・もしくは、こまめな維持管理を続けて、はじめて期待した耐久性が発揮できるのかもしれません。

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posted by いさた at 21:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月03日

中央道・笹子トンネルでトンネル天井崩落事故

昨日、ニュースで第一報を見たときは、「崩落」というので地山ごとトンネルが崩落したのかと思いました。

が、状況が判明してきてみると、換気のためにトンネル内に設けたいたコンクリート製の吊り天井が100mほどの長さに渡って崩れたそうです。

救出活動は現在も続いているようですが、亡くなられた方もおられ、過去に無い惨事になってしまいました。被害に遭われた方にはお見舞申上げるとともに、亡くなられた方にはお悔やみ申上げます。

 

さて、事故原因はまだはっきりとはしていませんが、天井を吊っていた金具のボルトの抜け落ちが確認されており、設備の老朽化と施設の維持管理の問題が原因としては有力なようです(もちろん、それ以外に他の要因が影響している可能性もあります)。

 

トンネルの設計は専門外ですが、老朽化が原因としても、一度に100mほどの長さに渡って連鎖的な崩落が起きるものなのか、疑問に感じました。

天井板の支持方法にもよるのでしょうが、そんな脆い破壊の仕方はしないように配慮されている気がしますが、笹子トンネルが竣工したおおよそ35年ほど前は、設計思想が違っていたのでしょうか。

それとも、保守点検で異常に気づいておらず、結果的に大規模事故につながってしまったのか?

 

近年はトンネルに限らず橋や港湾など、公共インフラの老朽化とその保守が大きな問題になってきています。

トンネル以外でも、これから老朽化が原因の事故が出てくる可能性が高いでしょう。アメリカで橋が崩落する事故も起きていますが、これから同様の事態が日本で起きないとも限らない・・・・

公共インフラの点検はだいぶ進んでいる(ことになっている)そうですが、この事故を契機に保守点検の方法論の見直しが必要かもしれません。

 

さしあたって、笹子トンネルと同様な構造のトンネルが高速道路と国道をあわせて約50箇所あるそうです。

打音検査による緊急点検がはじまっているとのことですが、それで異常を発見できるかどうか、手法的に問題は無いのでしょうか。

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posted by いさた at 15:17 | Comment(4) | TrackBack(8) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月26日

[中国] 新しい高架橋が崩壊

中国の黒竜江省ハルビン市で、昨年11月に完成したばかりの高架橋の一部が崩壊し、走行中のトラック4台が高架下の道路に落下、3名が亡くなり5人が重傷を負ったとのこと。

8車線のうち2車線分が、長さ130mにわたって崩壊したそうなので、かなりの規模です。元記事の写真では、きれいに橋が崩落して、倒れてしまっています。

 

ハルビン市の説明によると、事故の原因は「トラックの過積載」だそうです。

しかし、たかだか4台の過積載トラックが走行して崩壊に至るというのであれば、設計上の荷重想定が完全に間違っています。

中国でどの様な設計基準が用いられているのか知りませんが、過積載は考慮していないとしても、少なくとも橋にクルマが満載している状態は考えているのではないかと思います。そのような状態を考慮していれば、4台の過積載トラック程度で破壊に至ることは無いでしょう。

 

崩落した橋は鉄筋コンクリート(RC)構造、というのがasahicomに出ていますが、これが本当だとすると、それほどスパンを飛ばせないので、恐らく15〜20m間隔ぐらいで橋脚が立並んでいたのではないかと思われます。

そして、RC構造がこのように脆い破壊の仕方をするということは、あるところでせん断破壊が起きて一部が崩壊し、ドミノ倒しのようにその前後が崩落していったのではないかと想像します。

せん断破壊に対しては、急激に破壊が進んで危険なので、設計でもいろいろと配慮を行う点ですが、これに対して対策がとられていたのかどうか。

真の事故原因は、調査をしないとわからないことですが(中国の場合は調査をしても隠蔽されて終りかもしれません)、かなり大きな設計ミスか、もしくは相当にひどい手抜き工事かのいずれかだと考えられますね。

もっとひどいケースを考えると、設計ミスと手抜き工事の合わせ技かもしれません。

 

過積載のトラックばかりがひっきりなしに通る状況であれば、その過密な走行に橋が耐えられず、少しずつ破壊が進んで遂に大きな破壊につながった、と考えられなくもないですが、それにしても完成して1年に満たない橋がそうなるのは、やはり異常事態です。

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posted by いさた at 10:29 | Comment(2) | TrackBack(1) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月19日

緊急輸送道路上の橋の耐震強度不足

国土交通省の調査によると、震災などの災害時の輸送のために指定されている「緊急輸送道路」にある橋のうち、震度7の地震で倒壊、崩落の恐れがある橋が全国で約1400ヶ所あるとのことです。

 

緊急輸送道路は、地域の幹線道路が指定されていることが多いと思いますが、古くから交通量が多い道路の橋は通行止にして架け替える、というのは簡単ではなく、古い橋も多く残っていると思われます。

やはり古い橋を現行耐震基準で見直せば、強度不足のものが出てくるのはやむを得ないでしょう。

 

2005年から耐震補強が進められており、全国の緊急輸送道路にある5万5000橋のうち、阪神大震災クラスの地震でも崩落しないものは補強したものも含めて5万3600橋。残る1400橋が補強が行われていないようです。

残る橋は都道府県管理だそうなので、財政あるいは技術的な面から、国の耐震補強よりは事業のペースが遅いのでしょう。

 

5万3600橋が大丈夫そう、ということですが、今年4月に新しくなった耐震基準(道路橋示方書)の場合、どうなるのだろう、という疑問はあります。東日本大震災クラスを考慮した場合、強度が基準に達しなくなるものが出てくるのではないでしょうか。

 

耐震補強を進めることも必要ですが、緊急輸送道路を何ルートか決めておいて、一部が使えなくなっても迂回ルートを確保するような、冗長性を確保していく対策も必要でしょうね。

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2012年05月11日

遮音壁とガードレールの隙間の実態調査

国土交通省は、連休に発生した高速ツアーバスの事故を受けて、全国のNEXCOが管理する高速道路の遮音壁とガードレールの隙間の実態調査を行うとのことです。

事故を起したバスが、隙間に突っ込んでしまって被害がより大きくなってしまった、ということでしょうかね。また、隙間があると遮音壁やガードレールが壊れて、そこからクルマが道路外に飛出してしまう、ということでもあるのでしょう。

こういう隙間ができる代表的な場所は、橋梁部の端部あたり(土の道路面と橋桁の境界付近)でしょうが、NEXCOの高速全線となると、相当な箇所数になるでしょうね。

 

調査をして、隙間があるところは改修工事を進める、という展開が予想されます。事故被害の軽減のためには、まあ必要な措置ではあると思います。

ただ、事故そのものを防止する対策では無いですから、様々な事業の中での優先順位は、それほど高くない感じがします。

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2012年02月17日

道路橋示方書の改定

昨日2月16日付で、道路橋示方書の改定が発表されています。およそ10年ぶりぐらいですね。

 

新しい示方書の条文がPDFで公開されているので、ざっと目を通したのですが、とりあえず気になったのは以下の点。

・設計段階から維持管理を考慮することと、図面等の情報の保存
(現在行っている補修、補強の経験から学んだ?)

・高強度鉄筋の使用と、SD295の削除
(SD295は使用材料にはあるが、許容応力度は削除されている)

・耐震設計での地震動の変更
(レベル2 タイプIが変っているが、どれぐらいのレベルなのか)

 

解説を付した本を読まないと具体的なことがわからないのはこれまでどおり。4月1日から適用ということなので、来月あたりには本が出てくるのでしょうか。

耐震設計の変更は影響が大きそうなので、4月1日からではなく、現在進行中の設計物件でも基準見直し、という事になりそうな予感がします。

 

国土交通省

「橋、高架の道路等の技術基準」(道路橋示方書)の改定について

基準の内容(PDF)

2012.03.09 18:20 追記
4月に道路協会から本が出るようです。共通・鋼橋・コンクリート橋・下部工・耐震設計編、4冊フルセット買うと、28,035円也。

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2011年11月21日

財政難で信号機も撤去を検討

全国におよそ20万基ある信号機ですが、折りからの財政難のために、必要性が低いものについては老朽化しても更新せず、撤去を検討するとのことです。

設置後19年を経過したものから、新しい信号機に更新をしているそうですが、整備予算がここ15年ほどで半減しており、更新がままならない状態になっているようです。

このままでは、将来的には信号機は半減するという試算もあるようです。

 

私の携る橋梁の世界でも、高度成長期に大量に造られた橋が老朽化し、更新時期になっていますが、財政難のため補修・補強をして延命する方策になっています。

信号機は、予算がないので更新できない→撤去、とさらに厳しい状況のようです。今後は、よほどの必要がある箇所しか信号機は無くなるかもしれませんね。

撤去や使用中止になれば、信号機より影響が大きい橋梁も、やがては同じ道をたどり、重要箇所以外は使用禁止(撤去も金がかかる・・・)となるのかもしれません。

 

実際に信号機の撤去が行われるようになれば、日常生活圏での出来事でもあり、日本の財政難をより身近に感じることになりそうです。

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2011年11月16日

[中国] 橋脚手抜き工事で爆破処理

中国・吉林省で建設中の鉄道区間で、橋脚の手抜き工事が発覚したとのこと。

手抜き工事、と書いてもチャイナ・クオリティと思うと、それほど驚きはありません。ああ、またか、という感じですね。

 

さて、問題の物件はRC橋脚のようですが、大量の石やがれきを混ぜていたようです。粗骨材にも程がある、ということですねぇ。

この欠陥橋脚のある橋梁区間16箇所を爆破処理して再度造るらしいですが、わざわざ「橋梁」と書いているところをみると、橋桁もかけてしまった後なんでしょうか、それともラーメン橋(橋脚と橋桁が一体構造)だったりするのでしょうか。

非常にイタイですね。

 

なお、工事の孫請け業者に問題があったかのようなニュースになっていますが、工事責任者は橋脚工事の経験が無い、元コックだったそうです。

未経験者がいきなり責任者を務める、というのは日本ではちょっと考えられない状況ですが・・・・よほどに人手が足りないのか、それともかの国の文化なのでしょうか。

こちらも、イタイ事情です。

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2011年10月06日

橋桁の放射能汚染不安

大阪府の橋梁工事で福島県の施工業者が受注した物件があるそうですが、周辺住民が、その業者が造った橋桁に対して放射能汚染の不安があるとして、他の業者への発注を要請しているとのことです。

 

食品などで、同様に放射能汚染の不安があるとして反対意見が出ているケースがありますが、これは橋桁なのですね。

東日本大震災以前に製作がはじまっており、福島県内で保管されていたようです。どれぐらいの量かはわかりませんが、放射性物質が付着している可能性はあるでしょう。

 

工事は中断されており、大阪府としては放射線量を測定して、安全性が確認できれば工事再開するつもりのようです。

放射性物質と構造物としての橋桁の性能は関係がないので、性能に問題がなければその桁を使用するのが当り前の話ですが、地元の意見は取入れないわけにもいかないのでしょう。

桁の再製作ともなると相当なコスト増になります。放射性物質への対策としても、除染を考える、という方がまだしも現実的でしょうね。

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2011年09月15日

津波でたまったヘドロを再利用

 新日鉄が、東日本大震災の津波で沿岸地域にたまったヘドロを、土木工事用の土に再利用する実証実験を行っているそうです。ヘドロに鉄鋼スラグや石灰を加えて水分やゴミを取り除くと、普通の土の2.5倍の強度を持つ土にできるとのこと。

 被災地で3千万トンといわれるヘドロを再利用し、復旧工事に使うことができることから、被災自治体からの受注を獲得したい、という意図のようです。

 

 鉄鋼スラグを入れるところが、新日鉄の技術の特徴でしょうか。自社の製鉄所の副産物も同時に利用できますね。ヘドロ処理量も、多少は減量されることになるでしょうね。

 実用になるとして、ちょっと心配なのは再利用土に含まれる成分と、使用する場所でしょうか。

 塩分やヘドロに含まれているであろう重金属や有害物質はどうなっているのか。例えば塩分は、鉄筋コンクリートなどの構造物の腐蝕促進につながります。重金属なども、濃度によっては再利用土で造成した土地が「土壌汚染」されている状況になるかもしれません。

 再利用度の使用箇所をよく考える必要がありそうですね。

 

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2011年08月12日

スーパー堤防、一部復活か

 昨年の事業仕分けで無駄遣いと批判されて廃止判定された「スーパー堤防」が、 有識者検討会で一部継続するように提言され、事業規模を1〜2割程度に縮小して復活する見通しであるようです。

 

 スーパー堤防は、普通の堤防よりもはるかに幅が広く洪水などで破壊されにくい堤防で、 広い法面を街の一部として利用することも考えられています。

 必要な用地が大幅に広くなり、特に都市部では用地費がかさむことが「無駄遣い」の一因でもあります。 その一方で高台が周辺に無く、避難が困難な場所については人命保護の観点から必要である、 との判断より事業復活となったようです。

 この判断は、東日本大震災発生により防災に対する意識が変わった、という影響があると思われます。

 

 スーパー堤防は一部整備済みで、ある程度の実績がありますが、これから整備をするものは、やはり堤防自体の耐震性能、 あるいは洪水だけでなく津波に対する対応、といった点の再評価を行い、性能不足であれば対策を施す必要があると思います。

 

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2011年06月20日

国土交通白書 H22年度版は?(追記あり)

 技術士二次試験の筆記試験まで後2ヶ月を切っていますが、日々の仕事に追われて、気がついてみれば試験対策らしき勉強をしてきていないことに気づいた今日この頃です。

 で、とても遅ればせですが、勉強をしないとなあ・・・と気づいて、まずは国土交通白書の平成22年度版を見てみよう・・・と思ってネット検索していたのですが、どうもまだ出ていない様子ですね。それとも、私が掲載場所を見つけていないだけなのか?

 

 公表が遅れているのは、東日本大震災の影響+政治の遅滞が原因かなあ、と思うのですが、いつ頃に出てくるのでしょうね。

 平成22年度版は、震災復興を盛り込まないことにはとても十分な内容とはいえないでしょうが、復興案の記述を待っていたら、いったいいつのことになるのやら。

 

2011.09.01 追記
先ほど知りましたが、8月26日に公表され、国交省のサイトからダウンロードできるようになっています。公表まで時間がかかりましたね。

 

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2011年03月21日

世界一の防波堤を破壊していた

 先日の東日本大地震で発生した津波は、世界有数の規模を誇る防波堤を破壊していたとのこと。中には、世界一の規模としてギネス記録にも認定された防波堤も含まれています。

 ギネス認定された防波堤は、過去最大級の地震としてM8.5の明治三陸地震に耐えられるように設計されていた、ということですが今回の地震はそれを上回る破壊力だった、ということです。ある意味、自然の力と人間の知恵のイタチごっこです。

 

 大きな災害に見舞われるたび、同規模の地震や津波に耐えられるものを設計し、造ってきました。そうして造ってきたものが防いできた災害も数多くあるはずで、そのような意味では役だってきたはずです。

 しかし、あらゆる事態に万全を期するのは難しく、自然は時に人間の想定・経験を越える力を発揮します。先日の地震はまさにそんな強力な力だったと思いますが、そこでは世界一の防波堤と言えども、その実力を発揮することはできなかったようです。

 自身が破壊されることで、津波のエネルギーを多少は減じたのかもしれませんが、そのあたりは今後の研究や分析などであきらかになるかもしれません。

 

 では、これからの防災対策をどうするのか?耐震設計の想定を引き上げる、と書くのは簡単ですが、そうした場合の建設コストや整備にかかる時間といったことを考えると、実現性があるのかどうか疑問も湧いてきます。

 構造物の耐震性能を引き上げるだけでなく、重要な施設は立地する場所の選定から注意深く行う、また災害発生時の避難をしやすくする、といった対策も組み合わせていかなければならないでしょう。

 

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タグ:津波 防波堤
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2010年10月23日

洪水対策根拠がわからない?

 利根川水系で洪水対策の根拠として使われている「基本高水量」の算出根拠となった資料が、現在は国土交通省内に無い、ということがわかったそうです。

 洪水対策の一環としてのダム建設の根拠になっている数字でもあり、また利根川水系には一躍有名なったあの「八ッ場ダム」があることもあり、ダム建設の妥当性が大きくゆらぐ、ともアサヒには書かれています。

 基本高水量は利根川水系に限らず治水対策では重要な数字なので、この件が他の水系にも及び、ダム建設の根拠がもう根本的にゆらぐかもしれない、といったことも書かれていますがいきなり想像を広げすぎな感じがします。

 

 元記事の表現だと、いかにも根拠が無い数字のような印象ですが、1980年頃に出てきた結果のようなので、当時、検討がなされていたのなら、30年も経っていて単に元の資料が無くなってしまい、結果の数字のみが残っている状態になっているだけでは?

 政治的判断で数字が水増しされたとか、エラい人の鶴の一声だったとか、そういう事情があったのなら確かに根拠はありませんが・・・

 

 また、「仮定や想像上の数字」とか、国が基本高水量をねつ造したかのような印象を与えますが、モデルになった洪水があったとしても、200年に1度といったごく希にしかおきない状況を考えるのに、仮定が入り込むは当たり前のこと。

 検討当時は現在のようなシミュレーション技術が発達していたわけではありませんし、

 

 

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2010年10月20日

岐阜で大規模地面陥没

 岐阜で、大規模な地面の陥没があったそうです。家が傾いたり、 陥没地の周辺の町道が通行止めになったりしているそうですが、ケガ人は無かったとのこと。

 

 昔、亜炭鉱があり採掘が盛んだったそうですが、陥没の原因は古い坑道が関係しているのでしょうか。ちなみに、「亜炭」 とは炭化の度合いが低い石炭のことで、家庭用燃料として使われたようです。

 他地域では例えば盛土の住宅地で、長い間に地下水の流れによって空洞ができ、その空洞がつぶれた時に地面が陥没、 といった現象もあったと思います。

 

 被害があった場合の補償は基金があってそれで対応しているらしいですが、陥没を防ぐ技術的解決法はあるのでしょうかね。 一度掘り返して空洞を埋めるというわけにもいかないでしょうし・・・・

 

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タグ:亜炭 陥没
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2010年05月16日

100年腐蝕しない水道管

 クボタが100年経ってもほとんど腐蝕しない(であろう)という水道管を開発したそうで、 今年の10月から販売を始めるそうです。

 鋳鉄管を亜鉛合金でコーティングするなどして、従来品より2.5倍の長寿命化を実現しているとのこと。 水道管の法定耐用年数が40年で、それの2.5倍だから100年ということみたいです。

 なお、100年耐えるのは、山地を除く日本の95%(の地域?)ということらしいのですが、 この制約は何から来ているのでしょう。

 

 さて、道路や橋、護岸といった土木構造物の老朽化と維持管理が問題になっていますが、水道管も同じ問題を抱えています。 耐震性についても同じですが、これについては新製品なら当然クリアしているものですかね。あと、 自治体が財政難で対策が進まないのも同じです。

 

 水道管の取り替えの際、交換するのなら長期間性能が維持できるものが望ましいですが、 従来の水道管に比べてコストはどうなるのでしょうか。

 まず、水道管自体は、従来より高くなりそうな感じですが、設置の際の工事費は、 接合部の形状の工夫により1/4程度削減されるそうです。

 たとえ、1回の更新あたりの費用が従来の水道管より高くついても、100年単位で考えれば更新回数が1/2になるので、 結局は安くなるのですかね・・・ただ、現実の更新ペースを考えると、 1回の更新にかかる費用が安いことが求められるのかもしれません。

 ・・・・1回の更新費用が高いと採用されない可能性がありますね。

 

 法定耐用年数と現実に水道管が使用できる年数は違うので、40年で使用限界になるわけではありませんが、 耐用年数を過ぎると当初の性能を発揮できなくなる傾向になっていくと思われます。

 100年性能が維持される、というのは現実の水道管取り替えペースを考えると合理的だと言えます。

 

 ただ、耐用年数を定める法が変わらなければ、法律上は相変わらず40年で耐用年数に達してしまう、 ということでしょうか。例え100年使えても、40年経てば、運用的には交換時期が来た、ということになるんでしょうか。

 もしそうなら、ちょっと不合理ではありますね。ビジネス的には望ましいのでしょうが。

 

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posted by いさた at 23:26 | Comment(2) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月12日

錆びだらけなのに大丈夫?

 和歌山県南部の国道バイパスの高架橋の橋桁が赤く錆びて、地元住民の方々から不安の声が上がっているようです。

 

 これは、耐候性鋼材を使った橋ですね。きめ細かい錆をあらかじめ発生させてそれを保護膜にし、それ以上の錆を防ごう、 というものです。普通の鋼橋(鉄の橋)だと塗装をして保護膜にするのですが、これは錆が保護膜の役割を果たします。

 おかれた環境にもよりますが、時間が経つにつれて赤い色が暗い褐色に変化していくと思います。

 

 確かに詳しい知識のない人が見たら不安に思うでしょうね。元記事の写真の具合からすると表面は特に何もしない「裸仕様」 でしょうね。安定化処理といって、この耐候性鋼材の表面に多少塗装を施すこともできます(色もつけられる)。

 人目につくのだったら、安定化処理をしておいた方が良かったのかもしれません。裸仕様で技術的には問題がなくても、 利用者に不安感を与えてしまう、というサービス的問題にある程度対処できたはずです。

 

 ちなみにこの耐候性鋼材は、海からの塩分とはあまり相性がよくありません。橋は山間部に架かっているようですが、 和歌山県南部という地域を考えると、塩分の影響は気になるところです。

 

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posted by いさた at 16:54 | Comment(2) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月06日

主要な水道管の耐震化率は1/3ぐらい

 厚生労働省の調査によると、主要な水道管のうち、耐震化されているのはおよそ1/3程度で、自治体によっても100% 〜0%まで差が大きいという実態がわかったとのこと。

 この場合の耐震化というのは震度6強の揺れに耐えられる性能があるということです。

 

 国の目標では2013年度までに耐震化完了だそうですが、財政難で思うようには進まないようですね。 老朽化した水道管を交換する際に、耐震性の高いものに交換すれば徐々に進んでいくでしょうが、 中には水道管の更新も難しいところもあるようです。

 

 水道管の耐震化は、管自体を交換するぐらいの方法しか無いのでしょうかね。既存の管に繊維シートを巻くとか、補修・ 補強的に耐震化を進める方法があれば、違った展開があるかもしれませんね。

 ただし、耐震化したからと言って全く断水が無くなるというわけでもありません。いずれにせよ水道を利用する側は、 断水の事を考えて備えておく必要はあります。

 

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posted by いさた at 16:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月15日

地中の構造物の老朽化

 大阪城天守閣前の広場の路面が陥没するという事故がありましたが、原因は、地中の古い雨水排水管が破損しており、 漏水した水によって土砂が流れて空洞ができていたためだったとのこと。

 

 同じようにしてできている、国道の地下部分の空洞も問題になっています。橋や岸壁など、目に見える・ 目につく構造物の老朽化はまだ点検もしやすいですし、気づきやすいですが、 こういう地中に埋まっているものは何かが起きるまではなかなか気づかれないですし、わからないですね。

 

 世の中にはかなり昔に埋設されて、その記録が失われた管など、 現在では管の存在自体がわからなくなっているものもあると思います。

 記事にあるように超音波など地中の探査技術もありますし、空洞の有無を調べることはある程度可能ですが、 位置がわからないものについて調査するのは難しいものがあるでしょうね。

 交通量の多い道路や、重要施設の周辺など、優先順位の高いところから調査をしていくしか無さそうです。

 

 こういうニュースにふれるたび、新設から維持・補修へ、という流れを感じます。

 

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posted by いさた at 20:57 | Comment(0) | TrackBack(1) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月10日

日本最古の横断歩道橋が撤去される

 来月のことになりますが、日本最古と言われる横断歩道橋が撤去されるそうです。その橋は愛知県清須市にあり、 地域の人たちに親しまれているようです。

 専門的に表現すると、立体横断施設とも言いますね。1959年に完成したとのことなので、 やはり日本で最も古いのでしょう。「横断歩道橋設計基準」が定められたのが1965年なので、それ以前にできた橋です。

 

 もと記事にある写真では、階段部と橋脚はRCで、道路を跨ぐ橋梁部は鋼橋。 割と良く見かける歩道橋は全て鋼製だったりしますが、ひと味違う構造ですね。

 基準が無かったでしょうから、いろいろと工夫しながら造ったんでしょうね。 そういう仕事は大変ですが楽しいものだったと思います。

 

 安全に通行できるように、ということで各地で造られている歩道橋ですが、交通量の多い道路上を横断しないで済む反面、 歩行者が回り道になる、あるいは既設のものではバリアフリーの面で難があるなど、短所もあります。

 が、撤去に伴い、名残惜しいという声が出てくるのであれば、それは人々の役に立ったということですね。

 

 この歩道橋の撤去後、新しい歩道橋が造られるそうです。新しい橋も、地域で親しまれるようになれば良いですね。

 

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2009年11月05日

121もの橋が崩落寸前?

 国土交通省の調査によると、「崩落寸前」の状態に陥っている道路橋が121橋、 通行できる車両に制限のある橋は680橋あるそうです。どれぐらいの数を調べたのか書いていませんが、 国内にあるという約15万橋を調べたのでしょうか、それとも一部分の結果なのでしょうか。

 

 橋の崩落、というとアメリカ・ミネアポリスでの崩落事故を思い起こしますが、それに近い状態なのかどうか。

 設計に携わる身として「崩落寸前」という言葉を聞くと、 脆性的破壊(割り箸が折れるような壊れ方)が急速に進行する状態をイメージしますが、どうもこの元記事でのそれは、 ちょっとオーバーな表現のような気がします。

 古い時代の設計といえど、部分的に徐々に壊れることはあっても、 主要部が脆性的破壊を起こさないように配慮はされていると思うのですがね。

 しかし、金属疲労やアルカリ骨材反応、塩害といった、昔はそれほど知見が無かったことが原因の老朽化であれば、 脆性破壊につながる可能性もあるか?

 

 おおよそ50年ぐらいは使えるだろう、という見通しが甘く、30〜40年ぐらいで老朽化してきています。理論的に設計・ 施工して実物をつくってみたら、思ったほど耐久性が無かった、というところでしょうか。

 また、これまでメンテナンスが十分に行われておらず、損傷部が放置されてきたのも、 結果的に問題を大きくすることにつながっています。作った後は放置、ではなくて、保守をすることが大事なのですね。

 

 こういった補修が必要な橋はこれから増えていきます。コストも必要ですが、補修のための技術も必要になります。

 新規設計よりも、既存の構造物を相手にする補修設計の方がずっと難しいと感じます。「補修の補修」 がいるようなことにならないよう、気をつけねばならないですね。

 そして、補修後は、これまでの教訓から適切なメンテナンスを行うべきでしょう。 そうするとまたコストがかかってしまいますね・・・

 

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2009年09月17日

八ツ場ダムは継続か中止か

 群馬県で建設中の八ツ場(やんば)ダムですが、前原国交相が建設中止を表明。 まずはこの大型連休にも地元へ行く予定だそうです。

 このダムのことは最近報道されるまで知らなかったのですが、 今や民主党の公共事業への姿勢を体現するシンボルのような感じでしょうか。

 

 政権変わって初っぱなのことでもあり、ここはマニフェストに則る・則らないだけでなく、 取り組み方を見せるために意地でも中止にするのではないかな、という気がします。ここで妥協すると、 他の事業評価でも政治側で主導権がとれない、といったところかもしれません。

 

 建設中止になった暁には、地元住民の生活再建を支援する方向だそうですが、それに加えて、 ではダムの目的である治水や利水をどう考えていくか、あるいはどう代替するのか、ということについて、 方向性なり代案なりを出さないと十分ではありませんね。

 そういう代替案づくりは官僚の仕事になるのか?中止にして快哉を叫ぶだけでは与党とは言えません。

 

 

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posted by いさた at 16:44 | Comment(4) | TrackBack(12) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月13日

鉄道技術の国際規格

 産経のサイトで見たのは、世界の鉄道市場が17兆円市場であり、日本の高い鉄道技術で市場に打って出るために、「国際規格」の取得を進める動きがはじまっているというニュース。

 「国際規格」は、WTOで各国の公的機関が製品を購入する際には、この規格の取得が必要だとのこと。

 

 日本国内では鉄道関係の需要はそう望めませんが、海外ではそうでもなく、アメリカがグリーンニューディールの一環として高速鉄道網の整備を打ち出すなど、活況だそうです。

 そんな状況の中で、ようやくこれから国際規格の取得を進めよう、というのは「出遅れ」を意味しているようです。

 

 しかし、国内は高速道路を無料化しようか、という方向もあり、交通手段として競合する鉄道にとっては厳しい環境になっていくでしょうから、海外に向けた動きは必要不可欠とも言えますね。

 新幹線やリニアモーターなど、世界有数の技術を誇る日本。これにあわせ、同じく国内が厳しい環境になると思われる建設業界も、鉄道のインフラ整備技術として、さらに海外に進出する方向を目指さないといけないでしょうね。

 

 国情は違いますが、交通手段は自動車をより主流にしよう、という勢いの日本と、片や環境対策を利用した経済政策の一部として鉄道網計画を進めようというアメリカ。全く違う方向性で進もうとしているようです。

 

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posted by いさた at 23:44 | Comment(0) | TrackBack(1) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月08日

波浪=風浪+うねり

 勉強モードの記事ですが、海の波浪について。

 ある海域で、その場で吹く風によって起きる波が風浪。一方、 遠い海域で吹いている風で起きた風浪が伝わってきたものがうねり。波浪はこの風浪とうねりからなります。

 

 例えば、台風がまだ日本から遠い状況で、大きな波で海が荒れてきますが、これは「うねり」。

台風が接近して暴風雨圏内にある状態なら「風浪」。まあ、これには「うねり」も含まれるのでしょうが。

 

 うねりは、浅い海岸に達すると急に波高が高くなることがあるので、注意が必要。

 

(参考)
気象庁 | 波浪の知識 風浪とうねり

 

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2009年08月24日

キャズムというのは?

 「キャズム」という言葉を見かけて何だろう?と思って調べていました。 その過程でイノベーター理論(新商品の購入などで購買層を早い順に5段階に分けている)に触れることになりました。

 その理論によると、購買層は早い順にイノベーター(革新者)、アーリーアダプター(初期採用者)、 アーリーマジョリティ(前期追随者)、レイトマジョリティ(後期追随者)、ラガード(伝統主義者)。

 このイノベーター理論をベースにして、実はアーリーアダプターからアーリーマジョリティの間には大きな断絶があり、 これを越えられなければ商品は普及せず早期に消えてしまう、というのがキャズム理論で、この大きな断絶を「キャズム」 と言うそうです。

 

 イノベーター理論自体は1962年に提唱されていて、 マーケティングを生業にしている人たちにとっては常識なのだろうけど、私のような土木系技術職にとっては目新しい話でした。

 

 私が関係する公共事業では、国交省や自治体設計基準として統一が図られている構造や工法が、 一般に普及した工法とみなすことができると思います。

 設計業務は大半の場合においてこの領域で処理されるので、 レイトマジョリティないしはラガード領域で働いているようなものですね。

 もちろん、

 

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2009年08月11日

東名高速で路肩崩落、通行止め

 今朝の静岡沖地震で、東名高速の牧之原SA付近の路肩部分が崩落し、 静岡IC-袋井IC間で通行止めが続いているとのこと。復旧のメドは今のところ立っておらず、 国土交通省は片側1車線だけでも通行できるかどうか検討するそうです。

 

 この通行止めで短期的には帰省ラッシュに影響が出ますが、通行止めが長引けば何より物流への影響が大きいし、 こちらの方が問題になりますね。阪神・淡路大震災の時の、神戸周辺の高速が通行止めになっていた頃を思い出しました。

 

 こういう事が起きると、フェイルセーフの意味もあって「早期に第2東名の開通を」という動きが起きるか? とも思ったりします。

 とりあえず静岡のあたりは2012年度に開通予定だそうですが、東名の復旧が難しければ、 迂回路として部分的に供用を開始するとか・・・・建設中の道路や橋・トンネルには特に被害は無かったんでしょうかね。

 耐震設計の建前上、少なくとも完成した橋やトンネルはビクともしていないはずですが。

 

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posted by いさた at 17:00 | Comment(2) | TrackBack(2) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月04日

九十九里浜で人工養浜

 千葉県の有名な九十九里浜は、海岸の浸食により砂浜が消失していっているそうです。離岸堤などの人工構造物で対策してきたものの、あまり効果が見られないため、今回は9年かけて20万m3の砂を撒き、定着させる計画だとのこと。

 既に他県でも行われていて、成果も出ている方法だそうで、九十九里浜でも効果が期待されているようです。

 

 砂浜は海岸の浸食や河川からの流下などによって供給される砂が、潮流や地形の条件によって堆積した場所で、砂の供給と流出のバランスの上になりたっています。九十九里浜周辺では流出量が供給量を上回ってしまったために砂浜が後退しているということですね。

 供給が減った原因は、供給源となっていた海岸の浸食を止めるために消波堤を設置したから、と読売の記事には書かれていますが、その他にもダムができて河川からの供給量が減ったりしたことなども関連しているのでしょう。

 要するに、人為的なものに由来するということです。

 

 人間の技術で自然のバランスを崩すのは簡単でも、元に戻すのは難しい。

 自分達のしたことの悪い結果に対し、また自分達で対策するというのは必要ではありますが、対策の動機が、海水浴場として衰退してしまったから、というのでは、結局どこまで行っても自分達の都合ですか?という印象。

 後は、漁業的問題が出ているとかでしょうか。いずれも、関係者の方々が生きていく上で重要なことはわかっています。

 

 人の手が加わらなくても、非常に長い期間で見れば砂浜も成長と衰退があり、生態系もそれにあわせて変化するでしょうから、現状の砂浜の保全が絶対に必要とは思いませんが、ただ、もう少し別の理由は無いのですか?と思ってしまいます。

 

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2009年07月01日

「丸投げ」は建設業界の伝統

 とある旧家から見つかった古文書により、幕末頃の公共工事丸投げの実態の一端がかいま見えたようです。

 その工事は、横浜開港に関する道路と橋3橋分の工事で、橋の工事が元請けから下請け、孫請けへと丸投げされ、 途中の激しいピンハネで資金不足に陥ります。これでは開港までに工事が終わらず、諸外国にメンツが立たない、 と幕府が別の業者に「泣きついた」そうです。

 現在で考えると、工期の大幅な遅れに対して発注者が受注者に文句を言うことがあっても、別の工事業者に「泣きつく」 というのはちょっと考えられませんね。制度の違いもあるのでしょうが、 当時の幕府はそれほどに弱体化していたということでしょうか。

 

 さて、泣きつかれた業者は清兵衛さんという人だったそうです。

 

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posted by いさた at 20:03 | Comment(3) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月22日

こんな電子納品データでは...

 守秘義務もあり、あまり詳しくは書けませんが、とある工事物件の図面修正の仕事が来ました。 設計自体は新しい仕事なので当然電子納品されていて、CADデータはしっかりとあります。

 一昔前までは、CADで書かれた図面であっても、契約時の紙図面が正式なものということで、 工事の時には紙図面を手修正してくれ、という事が多々ありましたが、 最近はCADで修正すれば良いのでだいぶん楽にはなりました。

 

 しかし、しかし・・・今回の仕事は、よくよく話を聞いて内容を確認してみると、 p21ファイルとオリジナルのDWGと発注の紙図面、どれも図面内容が合っていない、ということが判明・・・orz

 

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2009年05月27日

続・土木設計技士資格

 4月の初めに今年から新しく始まる資格試験「土木設計技士」について記事を書きました。現在は国家資格ではありません。

 一時は受験の検討もしてみたのですが、やはり「二兎を追う者は一兎をも得ず」、 技術士一次試験への再チャレンジに絞ることにして、受験は見送りました。取得後の役立ち具合がよくわからない、 という点も見送った理由の一つですが。

 

 そして、今日はその土木設計技士の願書締め切り日。たまたま、申し込みサイトを見ていたら「6月11日まで締切延長」 になっていましたf(^^;

 

 思ったように受験者が集まっていないようですね・・・・この様子だと、合格判定基準もかなり緩くなるのでは。

 今のところ実務上のメリットが期待できないこともあり、あまりに難しい試験では受けようと思う人も増えないでしょう。 来年度以降の受験者確保のために、合格率の高さをアピールしなければならないでしょうから。

 制度の趣旨は別として、実情からは先行き不安な資格だな、という印象を受けます。

 

職業訓練法人 全国建設産業教育訓練協会
富士教育訓練センター・土木設計技士
http://www.fuji-kkc.ac.jp/doboku-elearning.asp

 

(関連記事)
土木設計技士資格?

 

posted by いさた at 17:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月03日

土木設計技士資格?

 今年度から、「土木設計技士」という資格試験がはじまるそうで、願書の配布が文末のサイトではじまっています。 資格の趣旨としては、『技術士のようなコンサルティングエンジニアだけではなく、 実務型のテクニカルエンジニアの存在と責任を明確化させる』ということのようです。

 資格として、技術士が判断や提案と言ったコンサルティングを主とするなら、 土木設計技士は設計実務の手仕事を主とする、といったところなんでしょうか。もっと平たく言えば、元請は技術士、 下請や孫請は土木設計技士?

 

 受験関係の書類も、サイトからダウンロードしてWordに直に打込んで郵送してくれ、ということになっていて、 ダウンロードやソフト操作と言った技術的な問い合せには応じない(土木設計技士には当然必要なスキルだからという建前)ともなっています。

 また、試験前には学習用のウェブサイトで自習できるようにするようです。合格発表はサイトへの掲示と、 メールによる連絡だそうです。これで受験料は12600円なり。

 こういうのが今風なのでしょうが、手抜き、おっとコスト削減というべきか?とにかくそのような感じを受けています。 何となく、実体があるのかどうか不安な感じというか・・・

 

 土木設計技士は今のところ国家資格でもないし、業務受注に際して評価されるような資格でもありません。また、 今年が初めての資格試験なので、どんな内容や傾向の問題が出るといったこともわかりません。 (学習用のサイトである程度発表されるようでもあります)

 資格取得のメリット・デメリット、という事を論じられるような段階では無いように思いますが、 今の時点では合格によるメリットは無いでしょうね。これから数年、十数年と試験が継続して行われ、 それなりに業界で認知されるようになってくれば、また状況は変ってくると思いますが。

 

 土木設計技士の試験は、7月26日と秋の技術士一次試験よりも早くに行われます。学習用のサイト利用とあわせ、 技術士一次試験の前哨戦と位置づけ、当落は別として受けてみても良いかな、受験料を支払う価値はあるだろうか? と思案中です。願書の提出は4月27日から1ヶ月間。

 

職業訓練法人 全国建設産業教育訓練協会
富士教育訓練センター・土木設計技士
http://www.fuji-kkc.ac.jp/doboku-elearning.asp

 

posted by いさた at 15:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月31日

国道整備の凍結発表18件

 国土交通省が国道の新設や改築事業について、費用便益分析を行った結果を公表し、 18件の事業の凍結を発表しました。当面事業は行わず、再評価を行って事業自体の存続・廃止を検討するそうです。

 判断は、便益÷費用で算出される費用便益比で行われ、 この値が1.0以上になれば費用をかけた以上の効果があるものとみなしているようです。詳細な調査法は不明ですが、 便益として「走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少」の3つを考えているようですね。

 

 国土交通省の発表資料には全事業の結果が出ており、凍結となったのは18件で主に地方部の道路。 北海道や沖縄に目立つ印象です。

 その他にも、費用便益比が1.0に近い事業がいくつもあり、これらについては「要注意」的な扱のようです。 リストを見ると、身近なところで第2京阪道路は、費用便益比が1.1と、実はそんなに高くないんですね。 これぐらいの値の事業はいくらでもありますね。

 要注意事業は、関係自治体の意見を聞く、などとしていますが、事業の行方はこの意見にかかっているのでしょうか。 陳情や強力な要望が有無を言う?

 

 道路整備の継続・廃止は難しい問題です。 道路を走行することに関する便益だけで一様に判断するのはちょっと無理があるように思います。 道路の開通や改良で行きやすくなる事による、地域振興に対する効果もあるでしょうし。

 ただ、そう言った効果を数値化して定量的に判断するのは困難なので、こちらもこちらで難しいものがあります。 定性的な判断が必要になるでしょうが、では誰が責任を持って判断するのか? というとそれができる人や組織はまず無いでしょう。

 結局は、今のような形で判断していくしかないのでしょうか。

 

 凍結した事業も、コスト削減ができればまた復活するようなニュアンスはあります。凍結されれば、 景気対策に影響が出ると言う意見もありますが、ではここで自治体の意見として「道路はもういいから、その分の予算を福祉、 あるいは農業振興にまわしてくれ」といった選択肢があるのなら、別の面で景気対策にもなると思います。

 そういう仕組みができれば面白いでしょうね。

 

国土交通省
費用便益比(B/C)の点検結果について

 

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posted by いさた at 14:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月03日

阪神高速 路外PA実証実験

 阪神高速で、「路外パーキングエリア」のサービスを始めるため、梅田と西宮で実証実験を開始したそうです。

 システムは、ETC搭載車限定で、阪神高速を降りて提携駐車場・施設に止めると路外パーキングの利用者と認識され、 2時間以内に高速に戻れば高速料金は不要、という仕組だそうです。ちなみに、駐車場は有料。

 

 都市高速でPAを建設しようとすると、非常にコストがかかってしまいますが、 この点を何とか克服しようという面白い試みですね。実験して大きな問題が無ければ、 本格的にサービスを始める予定だそうです。

 

 阪神高速は身近なので、もしかすると実験中のサービスを使ってみるかもしれません。近いので、 途中で休憩という目的ではなく、梅田へクルマで買物に行く時に少しお得かな?という感触ですね。

 しかし、梅田出口から大阪駅周辺へ往復すると、ヘタをすれば小一時間近くロスをする可能性もあるので、 制限時間2時間というのは、休憩だとしてもちょっと慌ただしいかもしれません。3時間あれば余裕だと思いますが。

 

 本格的にサービスを開始するのであれば、 提携する店やサービス施設が豊富にあることが利用者にとって重要かと思います。店舗側も、 提携した方が集客上のメリットがあるかも知れません。

 非常にうまく機能すれば、高速沿線に結構な経済効果が生れるかも知れません。逆に、 高速の料金収入は落込んだりして・・・・(汗)

 

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2009年03月02日

思ったほど水がたまらないダム

 農林水産省が、灌漑用にと熊本県で建設している大蘇ダムで、 設計の想定以上に水が地下に浸透して計画通りに水がたまらないため、 2009年度から予定していた給水を行えない事態に陥っているそうです。

 これは、先日テレビで見たような記憶もあります。

 

 計画通りの貯水を行うための対策のメドは今のところ立っていないようですね。事業スケジュールも、 既に20年以上も後ろにずれているようですが、さらにずれ込むのは必至のようです。

 ダム事業でのスケジュール遅延や事業費増加は珍しいことではありませんが、造ったものの水が貯まらない、 では事業としては「失敗作」「無駄」です。これで、また事業費も膨らんでいくのでしょう。

 

 「設計で想定できなかった、予見できなかった」は不可抗力というニュアンスですが、 果してどこまで本当なのでしょう。土のこと、地盤のことはまさに自然相手で難しいですが、結果論として「想定が甘かった」 のでは。

 そう言ってしまうと今度は責任論が発生するので、決してそんなことは言えないか・・・

 

 浸透した水はどこに流れて行っているのでしょうね。川の地下を伏流している、 あるいはダム周辺から広範囲に流れをつくっている?

 阿蘇山のあたりは、熊本など周辺の平野への地下水の供給源になっているのではないかと思います。もし、 このダムが計画通りに貯水できるようになったら、今度は思いも寄らなかった場所で地下水が減った、 何てことが起きなければ良いですが。

 

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2009年01月06日

京大農場を土ごと移転?

 京都大学の付属農場が大阪は高槻にあり、これを京都は木津川市の学研都市に移転する計画があるそうですが、 その中で、場合によっては農場の土ごと移転するかもしれない、ということです。

 この移転話、産経ニュースの記事を読んでいるといろいろな思惑がからんでいてちょっとややこしい。

 

 まず、昭和3年にできたという農場は、実は弥生時代の遺跡の中にあり、 史跡公園をつくりたい高槻市は農場を移転して欲しい。京大側は遺跡の敷地内で、地下の遺構を破壊する可能性があるので、 今の敷地内では新規の施設建設がほぼ不可能な状態のようです。

 ここで、研究施設を誘致したい学研都市が移転の誘いをかけて、京大が乗気になったようですが、 移転先の土が農業には向いていないことがわかったので、土を移動させてはどうか・・・と考えているみたいです。この場合、 高槻と学研都市は淀川をはさんで結構離れているのですが、この距離の間で、 10万トンもの土を移動する可能性もあるとのこと。

 

 さらに、この移転費用は現農場の売却益で賄う方向のようですが、本来、売却益の半分は、 国庫に上納しないといけないらしく、そんなことをすると移転が不可能なので、上納しないでいいように、 文部科学省との交渉も必要だそうで。

 また、上納不要となっても、土の移動で移転費用がかさんだり、規模縮小となってしまうようならば、 移転自体が中止になる可能性もあり、と結局、現時点ではよくわからない状態のようです。

 

 ただ、仮に農場が移転して、跡地が史跡公園になるとすれば、今まで耕作に使われてきた土壌が掘り返されて、 全てとは言わないまでもどこかに捨てられる可能性が高いように思います。

 畑の土も、そうそう簡単にできるものではないし、ただ捨ててしまうのももったいない話。土ごと移転する、 というのはなかなか良い案では?と思います。問題となるのは、コストと、 今の時勢ならダンプをバンバン走らせるのは環境にとっていかがなものか、と言った点でしょうか。

 

 ここらで、橋下知事も、この話に混ざって(いや、もう混じっているのかも知れませんが)、 ここは彩都に移転してもらうべく営業してみてはどうでしょうかね。京都から見れば、今の高槻から遠くはなりますが、 土を運ぶ距離は学研都市よりは短くて済むでしょうから。

 

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2008年12月16日

道路橋の損傷が顕在化、補修計画づくり

 読売のサイトから引用したのは、地方自治体が管理する道路橋(おおまかに都道府県道や市町村道に架かる橋)のうち、 1000橋近くが損傷や老朽化のために、通行止や通行規制になっている、と言うもの。

 地方自治体管理の橋は全国に約13万4400橋あり、 そのうちの8万橋は過去5年以内に一度も点検を受けていないそうです。全体のうち、 6割は点検を受けていないということですね。

 

 通行規制のあるものは0.75%ぐらいですが、調査をすると、もっと増えるでしょうね。全て調査したと仮定すると、 この比率なら、1000橋が2500橋ぐらいまで膨らむかも知れません。

 橋を設計・建設した当時は、半永久的とか、100年といった単位で使用できる考えていたようですが、 実際は30〜40年程度経過すると、老朽化や損傷が出てくる傾向のようです。

 原因はいろいろと考えられるでしょうが、 (当時の)人間の知恵や技術では及ばなかったところがいくつもあるのでしょう。例えば、疲労の問題など・・・・ ある程度の知見や経験は、現在の技術にフィードバックされているはずですが、現在の技術でつくられた橋でも、 時間の経過と共にわかってくる問題点もあるのでしょうね。

 現在の設計・施工は耐用年数100年が目標ですが、この様子だと、 現実的には50〜60年ぐらい後には同じように損傷の問題が出てくるか。

 

 国土交通省は、2013年度末までに全ての橋を点検し、補修計画をまとめるように要請するようです。 財政難に考慮して、調査費用は半額を助成する方針でもあるようです。

 これから、補修・保全がメインになる、ということは以前からわかっていたことですが、 来年あたりから加速されていくようですね。こうなってくると、 昔の事を知っている経験豊かな技術者へのニーズが高まってくると思いますが、どこにでもいるわけではありませんし、 年齢的に、年々少なくなっていく傾向にあります。

 携る人により、補修計画自体の品質が大きく変化する、ということが良く起きるようになるのかもしれません。しかし、 業務として見ると、点検や補修計画づくり、といったものは、手間がかかる割に、なかなか商売になりづらい。

 

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2008年10月23日

九州新幹線高架橋の埋設型枠に欠陥

 鹿児島市と熊本県八代市を結ぶ九州新幹線の高架橋に使われた埋設型枠に欠陥があり、型枠が剥離してはがれる、 といったケースが起きているそうです。

 扱いが比較的大きいのは、問題のある型枠材「ASフォーム」が、 麻生一族である株式会社麻生が販売したものであるから、のようですね。ま、ネガティブキャンペーンでしょうが、 ちょっと弱いかな、と思います。

 

 それはさておいて、興味引かれるのは技術的な面です。

 この型枠材が剥離・落下して、例えば人や車に当る、といった事態が考えられますが、 橋本体の耐久性にまで影響は無いのでは。型枠材自体を橋の耐力に含めて考えたり、 あるいは型枠により橋が保護されるということで、鉄筋のかぶりを減じる、ということは普通はやらないので。

 ただし、鉄道の場合、独自の設計基準を持っているので、少し違う可能性はありますが、 たぶん基本的なラインは同じでしょう。

 

 埋設型枠の効用として、急速施工が可能(脱枠が不要)、また鉄筋コンクリート自体を保護し、 コンクリートが剥離して落下するのを防ぐ、といったことがありますが、今回の場合、 後者の効用は期待できない(型枠材の方が先に落下してはね・・・)ということになります。

 対策としては、型枠材がはがれないようにアンカー等で固定する、または問題のある材料は撤去してしまい、 別のコンクリート面保護を施す、ということが考えられます。

 

 欠陥が明確になれば、麻生の費用負担の元に対策をすることになるのでしょうが、 構造物の瑕疵担保はどうなっているのでしょうね。建設自体は7〜8年前のようなので、まだ時効ではないのかな。

 瑕疵担保となると、JRと建設会社間の問題になると思いますが、施工はどこがしたのでしょうね。

 

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2008年10月21日

日本一短い川が誕生

 和歌山県に、日本一短い川が誕生、その名も「ぶつぶつ川」。長さ13.5m。

 日本一短い、というのは、管理者が町から県にかわり、やや専門的に言うと、河川法の適用を受ける河川になった、 ということで、そう言った河川の中では一番短い、ということのようです。なので、誕生、と言っても、 川自体は以前から存在しています。

 

 これまでの、北海道島牧村のホンベツ川の30mを抜いた、ということのようです。雑学的知識としては、 知っていれば話の種にはなるかもしれませんね。

 和歌山県は観光名所になってくれれば、と言った淡い期待を抱いているようです。13.5mの川に見どころがあれば、 日本一物件として有名になるか?f(^^;

 

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2008年05月27日

建設業の異業種参入

 引用したasahi.comの記事は、大分県の建設業者が、お茶の伊藤園による茶葉の育成事業に参入している、 という記事です。

 先細りが続き、先行きが見えない公共事業だけに頼っているわけにもいかず、 現在の技量を少しでも活かせる異業種に参入して、生残り策を模索している、ということになるでしょうか。 農業関連の事業に建設業者が参入する例は、割とよく聞かれます。

 

 世界的な食糧の高騰が続く状態では、日本国内も減反などではなく農業振興に切替え、40% を切ってしまった食糧自給率を高める対策を早急に打つ必要があるのは自明であるところ。

 そういう面では、これからの農業関連の仕事は希望が持てると思いますが、農業政策を見ていると、 こちらも先行き不透明ですね。先日、食糧自給率の目標を「45%」と発表していたと思いますが、この目標は 「多少の努力で達成できそうな数字」であり、世界的な食糧危機に対応していくための目標とは思えない。

 

 先細る公共事業ですが、建設業として生残る道を探すのも一つ。あるいは応用できそうな技術や、 農地として使える場所がある建設業者は、農業関連に進出するのが得策かもしれません。

 農水省の目標など関係なく、農作物を、輸入頼りから、国内で供給する割合を高めていく、 という方向にシフトしていくのではないでしょうかね。

 

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2008年04月10日

瀬戸大橋が開通20周年

 岡山と香川を結び、初めて本州と四国を結んだ瀬戸大橋が、今日10日で開通20周年を迎えたとのこと。13日には、 5時間の間全面通行止めにし、記念イベントを行うそうです。

 道路の採算性という面からは疑問が投げかけられる本四架橋ですが、やはりクルマで走って本州と四国を行き来できる、 というのは便利。それでも3ルートも必要か、という議論はあるでしょうが。

 

 現在、高度経済成長期に作られた橋は老朽化が進み、一部では緊急の補修が必要になっているものもあります。 将来に渡って半永久的に使い続けることができる、と当時の知見をもとに築造したものの、理論どおりにはいっていません。 実物の耐久テストの結果、寿命にして40〜60年、といったところでしょうか。

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2008年03月31日

シースの品質試験結果を偽造

 シース管の品質試験結果が偽造され、実際には試験をされていないものや、一部の試験を省略したものが、 試験で問題が無かったものとして、実際に納入され、高速道路の橋の部材に使われていました、 という記事が朝日に出ていました。NEXCOが課す品質試験は項目が多く・細かく、試験の費用や時間がかかるということが、 製造側が偽造を行う一因となっているようであります。

 こういった件は、明るみに出ずに、関係者間だけの問題であれば・・・・・後日試験を実施して問題無し、となれば、 そのまま流されてしまったことでしょうが、広く報道されると、いろいろとコメントしなくてはならなくなりますね。

 試験結果をねつ造する方もする方ですが、発注者である旧道路公団と、現NEXCOも偽造の事実を見逃していました。 まぁ、そんなきっちりとチェックしていない、ということが見て取れます。

 

 さて、試験結果を偽造したり省略したのは事実ですが、では要求性能が満たされていないのか、というと、 そう言うわけでもないようです。試験を省略したケースでは、追試した結果はOKであったようです。 試験を行っていなかったものは、これから試験を行うことになるのでしょうか。

 技術的にはOKであっても、手続的にはNGであった、ということでしょう。品質は確保されていたが、 品質確保を明確にするための手続に問題があった、ということであって欲しいですね。

 

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2007年12月20日

二色の浜の砂で「偽装」?

 大阪は貝塚にある、大阪府下では数少ない砂浜である二色の浜公園に搬入された砂が、 契約条件に合わない砂だったという事が発覚。管理者である大阪府は、搬入した業者に撤去を命じ、 作業がはじまっているそうです。

 条件は「佐賀県唐津湾の海砂100%」だったそうですが、実際に運び込まれたものは石を砕いて作った「砕砂」 が混じった砂だったようです。故意なのか過失なのかわかりませんが、砕砂混じりの方が安いのでしょうね、きっと。

 大阪府が提示した条件違反、ということになりますが、公園利用者にとっての実害、 というのは果してどれぐらいあるのでしょう。人間が手間をかけて砂浜に砂を補給しないとダメ、ということは、 自然の力によって砂が流れていっている、ということになります。こういった補給は「養浜」というのでしょうか?

 人間の手を加えて、なんとか維持している砂浜。悪い言い方をすればこれも自然の砂浜を「偽装している」 ということになるでしょうかねf(^^;

 

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2007年11月22日

栗本鉄工所 円筒型枠強度偽装

 栗本鐵工所が、橋梁用の円筒型枠の強度を偽装し、 さらに納入する際にカタログよりも薄い鋼板を使用していたことが発覚。

 一般にわかりやすくするには、鉄製の円筒型枠、という表現になるようですが、要するにホロースラブの中のボイド、 ということですか。

 

 今回の偽装は、昭和40年頃から組織的に続けてきたということなので、実に40年以上、 下手をすれば半世紀近い歴史のあるものです。「赤福」以上の歴史を誇っています。これは、指名停止などの処分間違いなし、 ネガティブ情報に登録されることになりますね。

 談合・偽装と公共事業に関わる業界は、確実にイメージダウンしていってます。 他のメーカーでも同じようなケースが出てきそうだ・・・・

 

 まぁ、設計上、橋の耐力に型枠は考慮していないだろうから、耐力としては問題がないのでしょうが、 あまりに型枠が変形すると、コンクリートにひび割れを発生させる可能はありますね。となると、ひび割れがひどければ、 やはり耐力に影響してきます。

 現状どうなのかは調査の結果待ちになりますが、さてどうなっているのでしょう。対策と言っても、 型枠を取替えるわけにもいかず、ひび割れがある箇所を補修するぐらいしか無いのでは。

 

 栗本鉄工所の社長の「会社の常識が社会の非常識」は、なかなか上手い言回しですね。簡単に言えば「非常識な会社」 ということですが、この言回しだと非常識度があまり高くない印象になります。

 

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2007年09月27日

ベトナムで工事中の斜張橋が崩落

 ベトナムで建設中の斜張橋が崩落し、少なくとも50人以上の犠牲者と、 90人以上の負傷者が出る大惨事になっているとのこと。まずは被害に遭われた方々にお見舞申上げます。

 先日、アメリカで老朽化した橋が崩れ落ちたり、日本でも老朽化した鉄橋の一部が破断しかけたりと、 トラブルが続いていますが、これは建設中の橋が崩れ落ちる事故です。

 しかも、これは日本のODAで建設されている橋で、大成・鹿島と他1社(どこだ? )という日本のゼネコンが工事を請負っている橋です。事故原因はこれから調査しないとわかりませんが、施工中なので、 何か予測できなかった事態が起きたのかも知れません。毎日の引用記事にあるように、 日本とは異なるベトナムの自然環境が何か影響をしているのでしょうか。

 

 かの中国でも、竣工して間もない橋が崩落するという事態が起きていた記憶がありますが、 よもや日本企業が造る構造物がチャイナ・クオリティと同様とは思いたくありません。

 

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2007年08月03日

自治体の8割は橋の定期点検をせず

 国土交通省の調査により、全国の自治体の8割以上で橋の腐蝕やひび割れなどの劣化をチェックする定期点検を 「行っていない」ことがわかったそうです。調査は今年の2月に行ったということで、昨日のアメリカ・ ミネソタ州の事故とは関係がありませんが、公表時期が重なったのは何か因縁があるのかも知れません。

 調査自体は、今後、補修・補強による構造物の維持に方針を転換することが関係していると思いますが、 行っていない自治体に対して、国レベルの点検を行うように促すというのも現実問題として難しい気がしますね。

 点検をしていない理由が予算不足や人不足であれば、規模の小さい自治体での点検実施はかなり難しいでしょう。 しかし、都道府県・政令指定都市ぐらいの規模の自治体は、点検はキチンとして欲しいと思いますね。 この規模でも点検をしていない自治体がありますが。

 自治体の点検実施には、国としても、何らかのフォローが必要ではないでしょうかね。私が危惧するのは、 せっかく点検して劣化しているのがわかっても、予算不足で補修や補強、また橋を架け替えるといった対策がとれない、 という事態ですね。

 

 劣化を承知でそのまま使い続けて、ミネソタの事故の二の舞、三の舞が発生、というケースは避けなければなりません。 ならば通行止にして回り道して下さい、というのが考えられますが、こんな橋がどんどん増えると、 交通がどんどん不便になります。やがては物流に影響が出て、経済にも影響が出てくるでしょうね。

 みんながスローライフの意識に転換すれば、交通の不便さもあまり気にせず過していけるでしょうか。

(関連記事)
橋や下水道の「寿命」を調査、補修・補強を中心に転換
[アメリカ] ミネアポリスで橋が崩落、車50台以上落下

 

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2007年08月02日

[アメリカ] ミネアポリスで橋が崩落、車50台以上落下

 アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスで、夕方のラッシュアワーにミシシッピ川にかかっている高速道の橋梁が崩落し、 車が50台以上川に落下するという事故が発生。死者も出ています。現在も懸命の救助活動が続けられているとのこと。 被害はまだ拡大するかもしれません。

 大地震が起きたわけでもないのに、橋が崩落した、という事故は信じられませんね。 今はまだ事故原因の解明をしている時ではありませんが、設計者としてはなぜこのような事態となったのか、 非常に関心があります。

 問題の橋は鋼橋で、40年前に竣工。最近、路面の補修工事をしていたといいますが、何か関係があるのでしょうか。 桁に金属疲労による亀裂や湾曲が見つかっていたという情報もありますが、 本当であればこちらが要因になった可能性が高いです。老朽化していたとしても、 40年でこれほどまで傷んでいるとは思えません。
 しかし、なぜ急激に全体が崩落するようなことが起きたのでしょうね。40年前とはいえ、 急速な破壊へと至らないような配慮をして設計はされているのではないかと思いますが・・・・

 40年前と言えば、日本もまだ高度成長期で、橋もたくさん造られています。アメリカでの出来事ですが、 これからたくさんの橋が老朽化してくる日本も、決して他人事ではないですね。他山の石とすべきです。

 

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2007年07月12日

橋や下水道の「寿命」を調査、補修・補強を中心に転換

 国土交通省が、来年度から約5年間で、全国の橋や下水道、トンネル、 港湾施設など土木構造物の老朽化の状況を集中調査を行うとのこと。公共事業費が削られる一方で、 60年代につくられた大量の構造物の耐用年数が近づいていて、従来のすぐにスクラップ&ビルドでは対応できない、 ということですね。補修・補強でできるだけ使い続けよう、という方針に転換。

 業界では、このような方向への展開はもう何年も前から言われていて、ようやく転換なったか、という感じがします。 どうしても作り直す必要があるところは作り直すんでしょうが、頻度は少なくなるのでしょうね。ただ、古い構造物は、 今の耐震基準は満足しないものが多いでしょうから、補修・補強するとして、 どう折合いをつけていくのかが問題になるでしょう。

 補修や補強となると、設計分野では、補修の対象になる古い時代の構造物に関する知識が必要だったり、 古いものは設計図書が失われているので、復元設計が必要になったりと、新規の設計以上に技量と経験が必要で、 難しいところがあります。
 何より、そんな手間のかかる内容に比べて、設計費が安い(^^; これは補修・ 補強設計が増えてくれば改善されるのかもしれませんが。

 現在、公共事業は設計施工分離ですが、補修設計となると、 新しい構造物以上に施工に関する条件や工法の選定が重要になるはずです。今使っているものを、 使用禁止や通行止をせずに補修できるか、といったようなことですが、このような検討になってくると、 設計専業のコンサルタントよりも、実際に施工している建設会社の方に分がありそうです。

 設計施工分離から、設計施工一体、というような方向になってくる可能性もありますね。

 

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2007年05月23日

交差点のコンパクト化で交通事故を減らす

 交差点をコンパクト化して、交通事故を減らす試みを、年内中に東京の表参道交差点をはじめ、 東京都内で7〜8箇所で行うとのこと。先がけて交差点のコンパクト化が行われているところでは、事故が減る効果が出ており、 この試みでも効果が期待されています。

 仕掛けは、ドライバーから交差点が小さく見えるようにし、また四隅のカーブを小さくして曲りにくくすることで、 ドライバーにスピードダウンや慎重な運転を促すというもの。注意深く運転するように仕向けて、交通事故を少なくしよう、 という趣旨ですね。

 交通事故を少なくする、という視点からのアプローチですが、車の通行をしやすくする、 という道路設計のアプローチとは逆ですね。実際に交差点をコンパクト化すると、渋滞問題との兼合いが出てくるだろうから、 事故を減らすためには、今紹介されているコンパクト化とはまた別に、渋滞を緩和しつつ事故も少なくできる、 というような方法を考える必要があるかも知れません。

 コンパクト化の効果が認められれば、交差点設計の考え方が変るかも知れませんね。 そこまで至るには長い時間が必要だとは思いますが。

 

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2007年05月14日

自転車道の整備指針をまとめる方向へ

 国交省と警察庁が共同で、自転車道の整備指針をまとめる方針になったそうです。今年度に指針作成に着手する、 ということなので、まとまるのは今年度末か来年度初めぐらいでしょうか。

 自転車が関係する事故や、歩行者と自転車の事故が増加していることから、できるだけ自転車道を整備する、 という方向になったようです。子供を連れて歩いていると、歩道を爆走する自転車にたびたび怖い思いをさせられているので、 歩道と自転車道を分けた方がいいとは思います。(向うは、子供がフラフラしないようにちゃんと見ておけ、 と思っているのかもしれませんが)
 かといって、自転車で幹線道路の車道を走れば、今度は四輪車から見れば邪魔者になってしまい、 専用レーンの方が安全性は高いのでは?とも思いますね。

 ただ、自転車専用レーンも、限られた道路幅の中では、実現するのはなかなか難しいでしょうね。 専用の歩道を設けるのも難しいような場所もあるので、自転車道自体の優先順位は、歩道の次、ぐらいではないでしょうかね。 「国家百年の計」として、とても長い目で見て行けば、少しずつながら出来ていくのでしょうが、 引用記事で上がっているような、オランダなどの自転車道先進国並になるには、相当な年月が必要だと思います。

 整備指針がいつまとまるのかはっきりしませんが、もし年度末にまとまると、 忙しい時期に駆込みで変更の嵐が吹くかも知れませんね。道路幅員を見直して自転車道をつけろとか、 基本的条件が変る変更になる可能性が高そう・・・・

 

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2007年05月01日

アメリカ タンクローリー炎上で高架橋崩落

 これも昨日の出来事ですが、アメリカカリフォルニア州オークランドの高速道路でタンクローリーが横転・炎上し、 炎の熱で高架橋の一部が溶けて崩落したとのこと。なお、事故は日曜日の未明で交通量も少なかったため、 タンクローリーの運転手が火傷を負った他は、死傷者はでなかったそうです。運が良かったですね。

 元記事の写真を見ると、ジャンクションの一部が崩落しています。復旧には数週間かかり、 通勤時には大渋滞が予想されるとのこと。既に大渋滞が起きているのでしょうか?クルマ社会なので、 影響は相当深刻かもしれません。
 しかし、復旧が数週間なら割と早い気もします。日本的な感覚なら復旧には数ヶ月というところでしょうか。復旧といっても、 橋を再建するのではなく、仮設橋やら迂回路やらで通行できるようにする、という意味なのかも。

 これと同種の事故は日本で起きる可能性も考えられます。ですが、高熱にさらされる、 というのは構造設計では想定外の出来事なので、ハード的な対策を行うのも難しいでしょうね。 炎上したら出来るだけ早く鎮火させて、高熱に長時間さらされるのを防ぐぐらいしか手は無さそうです。

 さて、オークランドの事故はこれだけの大事故になってしまいましたが、 やはり事故を起した運転手が賠償するのでしょうか。高架橋をかけ直すとなると、費用は十億円単位となると思いますが。

 

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2007年04月25日

関越道の橋梁で不適切な施工が発覚

 NEXCO東日本が、関越道にある2橋で不適切な施工がなされていたと発表。引用したYOMIURI ONLINEの記事は、何とか一般の人にわかりやすい表現を、という努力がうかがえますが、 やっぱりわかりづらい(^^;

 専門用語で書けば、「沓かアンカーバーか落橋防止かわからないが、とにかくアンカー孔モルタルのうち、 半分は砂を使っていた」ということです。1973年に施工ということなので34年前のことですね。 橋の耐震補強工事の過程で発覚したのでしょうか。
 NEXCOによれば「必要な強度は確保されている」そうです。後付チェックなので、どんな内容かわかりませんが、 無収縮モルタルの区間だけを有効として耐力チェックしてOKだった、という感じでしょうか。

 新工法として無収縮モルタルの代りに砂を使えば、モルタルが半分で済むし、コストダウンにつながるか? アンカーボルトの定着長を短くしても良いかも  :-P

 

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2007年02月19日

滋賀県知事がダム凍結方針を転換

 滋賀県知事が、県内の5つのダム計画について「凍結・見直し」を掲げていたのですが、 そのうちの一つのダムについて、ダム推進へと方針の転換を示したそうです。

 県知事はダム計画に対し強硬に反対していた訳ではなく、ダムに代るよい対策が見いだされなかったため、 ダム推進を認めることになったようです。他のダムについても、最近急に脚光を浴びた「穴あきダム」 方式を容認する可能性がある、とこと。
 かたくなな対応ではない、現実的な対応をとった、というところでしょうか。マニフェストに掲げた方針を転換した、 ということでは現知事に投票した人の思いを裏切る形になったかも。

 現滋賀県知事は、ダムの凍結より新幹線新駅の計画凍結の方が、取沙汰される機会が多いのですが、 このダムの方針転換を受けて、新駅建設推進派は、勝算が出てきた、とほくそ笑んでいるかも知れませんね。

 

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2007年02月16日

「穴あきダム」が流行か?

 もうしばらく前のことになりますが、田中康夫知事時代に「脱ダム宣言」をした長野県で、脱・脱ダムとなる、 新しいダムの建設が発表されました。

 長野のケースは、正確には、計画・建設を凍結をしていたダムを、「穴あきダム」 という形式に変更して建設する方向になった、ということなんですが、今度は、熊本県の川辺川ダムの建設に関して、この 「穴あきダム」方式を検討するよう、国交省に要請をしたそうです。

 「穴あきダム」というのは通常は水を貯めず、洪水時に水を貯めるため、環境への影響を小さくできる、 という特徴があるようです。治水目的では一定の効果がありますが、利水目的はダメですね。しかし、 環境への影響を重視する向きには、選択肢の一つとして流行しそうな気がします。

 ダム建設賛成派・反対派、ケースバイケースでどちらの武器にもなりそうな「穴あきダム」ですが、 これでダムの建設が進むようになれば、建設会社の仕事が増えるのは間違いないでしょう。

 

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2007年02月10日

非破壊検査結果と抜取り検査結果の食い違い

 福井県の原子炉建屋のコンクリート劣化調査で、コンクリートの設計基準強度を調べたところ、 非破壊検査による結果と抜取り検査による結果に大きな食違いが出たとのこと。原因は今のところわかっておらず、 これから究明が進められるそうです。

 検査方法が違うので多少の誤差があるのはやむを得ないですが、結果が倍ほども違う、 ということでは非破壊検査の信頼性が問われますね。非破壊検査は、建築や土木構造物の検査・調査でよく使われているので、 原因がわからないと困るでしょうね。
 もし、非破壊検査の検査法に何らかの問題があったとすれば、技術的には、 より正確な測定法を開発する良い機会ともとれます。責任論からすると、問題があるのは非常にマズイでしょうけれども。
 ただし、今回の抜取り検査結果ではバラツキが大きかったということなので、抜取り検査の方にも問題があるかもしれません。

 引用記事を見ていると、どうも設計上は21〜24Nのコンクリートを使用している感じです。 抜取り検査の結果が正しいとして、劣化により半分程度まで強度が低下する、という点にはちょっと疑問を覚えます。

 コンクリートの品質は打設・養生時の条件がかなり影響します。特に強度が低かった試料では、 打設時に何らかの問題があって、もともと強度が出ていなかった可能性がありますね。実は「シャブコン」だった、 なんてオチではありませんように・・・・

 



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2007年01月11日

風力発電の風車が倒壊

 青森県の風力発電の風車一基が根本から倒壊。人的な被害は無かったとのこと。 昨日のテレビニュースでも取上げられていて、見事に根本から倒れていました。 基礎コンクリートの鉄筋周りできれいに倒れていました。

 風力発電の風車は、ヨーロッパの設計基準が世界基準で、日本の台風のような強い突風が吹く環境は、 想定していないようです。
 支柱の高さが68mだそうですが、基礎は簡単、というか意外に小さい印象を受けました。規模からして、 基礎は短い杭でも打っているのかな、と思っていましたが、ほぼ直接基礎ですね。ヨーロッパではこれでも特に問題は無い、 もしくは青森県の現地はかなり地盤が良い、ということなんでしょうか。

 

 原子力安全・保安院が調査に乗出した、ということですが、原因解明には時間がかかるのではないでしょうか。 事故原因は単一ではなく、色々な要素が複合しているでしょうから。

 私は、主な原因は、年間を通じて風向きが変ることで、
  1)支柱が前後左右に振動
  2)それにより基礎の鉄筋が集中している部分も振動
  3)鉄筋に沿った部分のコンクリートに徐々にひびが入り、強度が低下(鉄筋が集中しすぎ?)
  4)遂には、支柱に沿った円周状にひびが入り、基礎が支持力を失う
  5)強風に耐えられず、倒壊
 と、一種の疲労破壊を直感的に想像したのですが、さて調査結果はどうなるのでしょう。 基礎の構造(配筋)自体に問題があるようにも思えますね。杭にするなり、またはもう少し根入れ長があれば、 倒壊にはいたらず、傾くぐらいで済んだかも知れないですね。

 24基あるうちの1基のみ倒壊、ということなので、施工時に何らかの問題があったのではないか、 と疑われているようです。それが事故の一因である可能性もあるでしょう。
 疲労破壊だとすれば、この1基だけが早く壊れたのは、施工に問題があったのことによるかもしれませんが、 他の風車も倒壊はしていないにしろ、同様な現象が進行しているかも知れません。

 

 いずれにせよ、これから日本で風力発電を推進して行くのであれば、この事故を教訓にして、 日本の風土にあった風力発電設備の設計基準を考えていく必要がありますね。

 



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2006年08月30日

国交省、防護柵構造を緊急調査

 福岡の幼児3名が死亡した事故を受けて、国土交通省は、全国の国道の、 歩道部の防護柵について緊急調査を始めたそうです。

 調査結果をふまえて、防護柵設置基準の見直しも検討する、ということで予想通りの展開。橋梁設計では、 しばらくの間、防護柵に関してセンシティブな状況が続きそう。
 現在工事中の橋などは、急遽、防護柵の仕様変更を検討したりしているのでしょうね・・・

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歩行者自転車用防護柵

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2006年08月28日

歩行者自転車用防護柵

 福岡の海の中道大橋で、追突された乗用車が海に転落し、子供3名が死亡した事故。歩道部の高欄を突破して、 海へ転落したそうです。

 現在の基準では、歩行者・自転車用防護柵に対して、車両の衝突に耐える性能は要求されていないのですが、 この事故を契機として、防護柵の設置基準の一部見直しが図られることになるかもしれません。

 例えば、歩道部の防護柵でも、車両が橋梁から逸脱しない程度の性能が必要、といった感じでしょうか。その場合、 防護柵本体もそうですが、その基礎となる床版や地覆についても、同様な性能が必要となります。
 新設する場合は、性能を満たすように設計すれば良いですが、既設のものへの対処法が問題になるでしょうね。

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2006年07月04日

PCケーブル キックバック

 引用記事で言うところのピアノ線、まあ専門的に言えばPCケーブルで、ピアノ線と言われる方が違和感がありますが、 メーカーと業者間のキックバックが明らかになりました。

 キックバック自体が違法かどうかはともかくとして、資材価格を高止りさせる効果はあったでしょうね。まあ、 公共事業の積算価格(の調査方法)にも問題はあると思うので、一概に民間だけの問題でも無かろう、というのが正直な感想。
 国交省が対策の検討を始めるようですが、価格のみに注目するのではなく、品質を担保できる仕組みを考えていかないと、 シンドラーエレベータのような事態を招いてしまいます。

 末端ながら、公共事業に関係する身からすると、また恥ずかしいことになりました・・・

 

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posted by いさた at 20:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月28日

ガードレールを突き破って転落

 阪神高速北神戸線で、乗用車がガードレールを突き破って10m下に転落する事故があったとのこと。 近くの神戸電鉄や落下した駐車場では、二次的な人の被害は無かったようなので、まずは良かったというところでしょう。

 それにしても、こういう転落事故が防ぐためにガードレールを設置しているのですが、乗用車に突破される、 という状況は、何が原因で起きたのでしょうか。
 ガードレール自体の強度は、普通、 乗用車の衝突ではまず突破されるようなことは無いと思われますが(高速道路に設置するものならなおさら)、 衝突のはずみで回転やジャンプして飛越えたとか、想像を超えるスピードで衝突してガードレールが壊れてしまったのか。

 

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posted by いさた at 11:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月01日

河川の蛇行復元

 自然再生法という法律は知りませんでしたが、その法に基づいて、河川改修で直線化した河川を再度曲げ戻し、 蛇行状態を復元することになったそうです。対象は北海道は釧路川で、河川改修後、 釧路湿原が消失していっていることに対する対策ということです。

 引用記事からは、詳しい計画内容が不明ですが、湿原を回復しよう、そのためには川の流れを元通りにしよう、 という意気は良し、ただし、その具体的手法については議論や検討が必要だと思います。

 

 自然の回復は何十年、何百年というスパンで見ないと成果が見えてこないでしょうし、河川の蛇行を復元する、 ということだけでは対策としては不十分だと思われます。旧河川の川幅を広げて・・・という下りがありますが、 川幅を広げると氾濫が少なく、湿原の回復効果はあまり期待できないかもしれません。
 自然の回復、復元という事に関しては、人間の建設技術はまだまだ未熟であるし、自然に関しては謎である部分が多い、 と思っています。

 

 河川を曲げ戻すのは良いとしても、よく氾濫を起すような、本来の旧河道を復元できるのか、 というのはちょっと疑問ですね。河川構造令に従えば、蛇行はするけれども、 洪水を抑制するために要所要所でコンクリートなり石積なりの護岸ができるはずだと思うのですが・・・・

 

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posted by いさた at 15:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月10日

重工よ、お前もか

 自動車の方は、そろそろほとぼりが冷めてきたようですが、今度は重工の方が報じられました。

asahi.com 関電美浜原発復旧で配管ミス、部品番号削る 三菱重工
http://www.asahi.com/national/update/1110/TKY200511100114.html

 昨年、蒸気噴出事故を起した美浜原発の復旧工事で、三菱重工の作業員が、同形状・同材質で、 異なる製造番号の管を間違って接続したそうです。その上司が、正しい製造番号の管に取替える、という意味で「直すように」 と指示したところ、作業員は「製造番号の刻印を直す」と解釈して、いったん製造番号の刻印を消去・打直しして、 つじつまをあわせていたそうです。
 関電が気づいて、配管のやり直しをさせたそうですが、関電は再発防止策は必要ない、としていて、原発の品質管理者として、 国の心証を悪くした、ということだそうです。

 

 管のことは詳しく知らないのですが、製造番号の違う管であっても、機能的に同じ性能が発揮できるのであれば、 管の使用については問題はないように思います。
 製造番号が後々の管理に不可欠なのであれば、図面なり、管理台帳なりを変更すればいいように思いますが、 それは事務手続みたいな面の問題があるのでしょうかね。設計と違う、ということで大問題になるのでしょうか。
原発に関わることなので、私が想像する以上に、「ミス」ということに敏感なのかもしれません。

 今回のケースで問題があるとすれば、「直すように」という指示を、刻印を改ざんする方に解釈してしまう、 ということであり、三菱重工では、そういう解釈がレアケースなのか、それとも一般的なのか、ということでしょうね。
 曖昧な言葉でもあり、指示した上司側は何とでも言い訳できますが、どうも、刻印を改ざんする、 という意味の方がとおりが良いのではないでしょうか?

posted by いさた at 17:19 | 大阪 | Comment(0) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月18日

設計の想定を上まわる

asahi.comより「過去最大の揺れ検出か 地震で自動停止の女川原発」http://www.asahi.com/national/update/0817/TKY200508170392.html

先日の宮城県沖地震の加速度が、建屋の設計で想定した最強地震以上であったそうです。

原子力発電所の設計の考え方とは異なる点が多くあると思いますが、土木の設計基準(耐震に関するもの)は、 大きな地震で被害が出る度に、見直しがされてきています。
例えば道路橋示方書では、関東大震災(プレート型)と阪神・淡路大震災(直下型)を想定して、両方に耐えうるであろう、 という基準になっています。

ただし、ここ数年の大きな地震のいくつかは、局所的であれ、上記の地震を越える揺れがあったのではないかと思いますが、 今のところ設計基準の見直しには至っていません。(どこかで研究はされているのでしょうが、 基準という形になっていないだけかもしれません)

確かに、設計の想定を上回る地震であった場合、 構造物が壊れるのではないかと言う懸念が起きるわけですが(実際には想定を越えても幾ばくかの余裕はあるはずなので、 即時破壊したりといったことにはならないと思います)、過去発生した最大規模を基準にする、と言うやり方では、 どうしても後追いになってしまう、また基準をどんどん強化すると、構造物をどんどん強固にせねばならない(高価になる)、 というジレンマから抜出せない気がしてなりません。

土木構造物の場合、ジレンマから抜けだすやり方に変えていかないといけないかもしれません。
例えば、ある規模以上の地震では、構造物の部分的な破壊を許容する、破壊しても再建が容易な構造物にする、 というような発想が必要なのかもしれません。

posted by いさた at 01:42 | 大阪 ☀ | Comment(0) | TrackBack(2) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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