富山県の滑川市民会館の耐震診断結果が、市職員の指示で本来の調査結果より低い値に改ざんされている疑いがあるそうで、現在内部調査を行っているとのこと。
建築の場合、Is値(構造耐震指標)というのがあり、この指標値を算出することで建物の耐震性を評価しているようです。
問題の市民会館のケースでは、調査報告によるとIs=0.68で、これは0.6以上で「倒壊の危険性は低い」そうです。
この結果に対して市職員が改ざんの指示を出し、最終的にIs=0.217にしたとのこと。0.3未満の場合は、「倒壊の危険性が高い」と評価されるとのこと。
以前大きく問題になった構造計算の偽装は、耐震性不足を満足と改ざんしていましたが、これは逆のケースですね。
改ざんの理由は、耐震工事の理由づけのためと考えられるようです。
前市長によると、会館は老朽化していて耐震云々に関係なく改修する方針だったそうで、無理に理由づけをする必要は無い、と話しているとのことですが・・・
これは、例えば耐震性が低い場合、改修工事に際して国や県から補助金が出る(結果的に市としては工事費を安くできる)とか、そういう制度を利用したいがための改ざんのような気がします。
そういう制度があるのかどうか詳しく知りませんが、何度も調査した会社に書換えさせたということは、どうもそんな動機があるように思います。
改ざんの動機が、どういうレベルから出てきたものなのかも問題でしょうね。担当者の独断、あるいは部の意志、もしくは、市長レベルとか?
技術者として気になるのは、結果的に報告書の改ざんを行うことになった調査会社は、倫理的にどうなんだろうか、という点。
もちろん、資格試験問題としてはアウトになるのは明らかでしょうが、これが「報告書を書直さないと業務費は払わない」といった展開だったら?現実的な対処方法は考えさせられるものがあります。
続きを読む