私の仕事での立場は、受発注の関係から言えば、下請や孫請になります。ちなみに、スポンサーは発注者で、 発注者から直接仕事を受ける立場は元請、元請から仕事をもらうのが下請ですね。孫請は、さらに下流になり、 ひ孫請とかも存在することがあるらしいです。
で、そのような関係から言えば、私は設計の成果品を作り、客先にチェックしてもらう立場にあります。もちろん、
セルフチェックはしますが、良心的な客先は、自分でもチェックします。良心的でないところは・・・書くのは控えます。
そんな感じで、もう幾度となくチェックを受けてきたのですが、チェックにもいろいろなレベルがあるな、
と思えるようになりました。
−レベル1:電卓・校正の鬼
とにかく、数式があれば電卓で検算し、誤字・脱字があれば指摘してきます。しかし、それ以上のことはありません。
最近はExcelのような表計算や、一貫設計プログラムだったりするので、昔ほどの意味は無くなってきていると思います。
−レベル2:値の出典を考える人
使われている寸法などの値が、報告書のどこに載っているか、を考えてチェックしています。報告書内の、
数字の整合性を見ている、とも言えます。値の出典にはうるさいですが、その値が適切かどうかまでは見ていません。
レベル1的なチェックもしますが、鬼、というほどでもないですね。
−レベル3:値が適切かどうか、を考える人
このあたりにまで来ると、レベル2に加え、値が適切かどうかまでチェックしてくれます。
設計のフローや内容を理解している人がチェックすると、このようなチェックになるようです。しかし、あくまでも、
チェック対象となっている報告書の枠組内で物事を見ていて、枠組自体についてはチェックをしていません。
レベル1的なチェックは、必要最低限なところだけ、という感じでしょうか。
−レベル4:考え方が適切かどうか、を考える人
さらに、レベル3に加えて、設計の考え方自体や、枠組自体が適切かどうかをチェックしてくれます。
このようなチェックができる人は、経験から自分の判断基準があり、それに照らし合せながら、設計の結果を見ているようです。
照査漏れになっている内容の指摘や、モノを決定する際の考え方の確認など、このレベルの人にチェックをしてもらうと、
チェックされる側も勉強になります。
レベル1的なチェックをすることはまずありません。
−(番外):設計基準の適用(いわゆる根拠)、を考える人
これまでの書いてきたレベルとは、少し違うので番外、としましたが、とにかく、この設計項目に対応する設計基準は、
何という基準書の何ページか、ということをチェックする人です。設計の技術的内容よりも、検査時にスムーズに回答できるか、
ということに主眼があります。
理想的には、レベル1〜4までまんべんなく、がよさそうですが、
時間とコストの制約からなかなかそういうケースは少なくて、どこかのレベルに偏ることが多いです。
レベル3や4の人は、電卓の鬼的なことはまずやらないので、そのレベルだけでは細かなチェックが抜けてしまう・・・とか、
レベル1、2だけだと、成果品としての辻褄はあっているが、実は非常にまずい設計だ・・・というような感じでしょうか。
番外の方は、私自身はあまり関わることはないですが、実はこのチェックへの対応が、
意外とエネルギーと瞬発力が必要だったりします。
私がセルフチェックをする場合は、レベル3、4当りに力を入れていますが、 やはり経験豊かな人から指摘されることはたびたびで、まだまだ精進が必要だなーと思います。技術者たるもの、 やっぱり一生精進ですかね?