鳩山法務大臣が、成人年齢の引下げの是非を法制審議会に諮問。1年ほどかけて、成人年齢の引下げについて議論し、 結論を出す予定だそうです。昨年成立した国民投票法にある、検討を加えるという規定がきっかけであり、若年者の 「精神的成熟度と保護のあり方」を観点に、主に成人年齢を18歳に引下げることについて議論をするとのこと。
精神的成熟度と自身で責任を負えるかどうか、という実態から考えれば、成人年齢は引下げどころか、 引上げを考える必要があるように思います。ただ、18歳に引下げることで、 18歳で大人となるにふさわしい教育に変る可能性はあると思います。
18歳に引下げることで影響があるのは、選挙権や酒・タバコ、 また少年法の適用範囲や国民年金の加入時期などでしょうか。少年法の適用範囲は、 逆に18歳よりもっと引下げる方が良いかも知れません。年金の加入年齢は、 財政状況を考えると18歳に引下げたいところでしょう。酒やタバコは、引下げることでより実態に近づく、 ということになるのではないでしょうか(^^;
各論で考えれば、引下げ、あるいは現状維持、といった結論が考えられますが、総論となると難しい問題ですね。 それぞれの思惑が交錯するようなところもあり、簡単に結論が出てくる問題ではありませんが、これから数年先より、 18歳を迎える子供たちにとっては大いに関係するところですね。
YOMIURI ONLINE
「成人18歳」の是非を諮問、結論は1年後の見通し
民法が20歳と定めている成人年齢について、鳩山法相は13日午後、法制審議会(法相の諮問機関) に引き下げの是非について諮問した。
明治時代の民法制定以来、110年以上変わらなかった成人年齢の引き下げについて、 本格的な議論を始めるものだ。結論は1年後に出る見通し。
諮問のきっかけとなったのは昨年5月に成立した憲法改正の手続きを定めた国民投票法だ。同法の付則が 「2010年の施行までに公職選挙法、民法その他の法令について検討を加える」と規定したことを受け、政府は 「年齢条項の見直しに関する検討委員会」を設置。昨年11月に計191本の関連法を関係省庁が検討する方針を決めた。
法制審は民法学者だけでなく、社会学者、大企業・中小企業経営者、消費者団体、家庭裁判所、 高校教師などの代表から幅広く委員を選任。委員は他の法律への影響などは考慮せず、 「若年者の精神的成熟度と若年者の保護のあり方」の観点から成人年齢を18歳に引き下げることの是非を主に議論する。 総務省は「民法の成人年齢が引き下がらない場合、公職選挙法だけが引き下がると、整合性に問題が生じる」としており、 各省庁は法制審の議論を見ながら、引き下げの是非を検討する。
(2008年2月13日13時18分 読売新聞)
毎日.jp
成人年齢:「18歳成人」…賛否は真っ二つ
大人は何歳から? 注目の論議が13日始まった。法務省は 「若年者の保護のあり方や精神的成熟度から検討する」と、国民投票法(投票年齢は原則18歳以上) に引きずられない姿勢を強調するが、海外では18歳を成人とする国も多い。選挙権や飲酒・ 喫煙などにも影響する可能性をはらみ、各界の意見は真っ二つに割れている。【まとめ・坂本高志】
「親しい精神科医や何人かの学者が私に言ったが、日本人は30歳を過ぎなかったら本当の成人ではない。 騒ぎが起こるから、と父兄が同伴する成人式など世界にない」。石原慎太郎・東京都知事は1日の会見で、 成人年齢引き下げを「こっけいな試み」とばっさり。選挙権の引き下げにも反対した。
東国原英夫・宮崎県知事は「(18歳は)肉体的にも精神的にも大人であるべき年齢。 他国の多数も18歳としている」と民法や公職選挙法の改正を容認する。 01年の成人式で騒ぐ新成人をしかった橋本大二郎・前高知県知事も「いつの時代も『今の若いやつは』と言われるもの。 高齢層が厚くなる中、若い人に社会参加を与えることは悪いことではない」と語る。
若者の成熟度は疑問視する一方で18歳への引き下げは賛成という意見も。演出家のテリー伊藤さんは「 『立派な大人』というメッセージを大人が早いうちから送るべきだ。30歳でも大人になっていない人が多いが、 周りの大人の責任。親が子離れしないから子が成人できない」と指摘する。しかし、昨年20歳になったプロ野球・ 西武の銀仁朗捕手は「社会人として働く人はともかく、今の普通の18歳を成人と扱ったり、 責任ある投票権を与えるのはどうか」と反対派だ。
◇飲酒には慎重論
三宅占二・キリンビール社長は 「自動車の運転免許や結婚など18歳以上が成人扱いになっている場合もあり引き下げは賛成」と語る。ただ、 10代の飲酒には「アルコール分解能力が未熟で、成長期の脳細胞への悪影響などの問題も指摘される。 日々適正飲酒の啓発活動に取り組んでおりスタンスは変わらない」と慎重な姿勢だ。
多種多様な意見が飛び交う中、法制審議会は約1年がかりで結論を出す見込みだ。
◇満20歳は1876年から
日本では江戸時代、大人と認められる元服は数えで15歳だった。 成人年齢が満20歳となったのは1876年、明治政府が出した「太政官布告」からだ。
日本の成年・未成年の変遷を研究する実践女子大の広井多鶴子准教授(教育制度論)によると、布告が 「満20歳」を選択した背景には、21歳としていた当時のフランス民法があった。「『外国並みにしなくては』 という政府の意識が反映したのではないか」と言う。
現在、英仏独と米国の多くの州などの成人年齢は18歳。一方「20歳派」は韓国、 ニュージーランドなどだ。
毎日新聞 2008年2月13日 21時43分
「成人」といっても名ばかりで、実体が伴っていない、という状況でしょうか。
>不合格者続出で国が立ち行かなくなる
そんなことになったら、成人年齢なんていうことはもう考えずに、ただ今の「形式」を守り続ける、という方向になりそうですね。
思考停止。
20歳で暴れる人がいるのに18歳で大人になれなんて横暴だと思います。
酸いも甘いも知らないのに
大人になることは必要なんでしょうか?
まだ十代なのに責任だけをとれなんて正直、私にとっては怖いことです。
コメントありがとうございます。
この記事は、去年の2月頃に書いたものです。1年ぐらいかけて検討するということなので、来月か再来月ぐらいには結論が出てくる感じでしょうか。
>酸いも甘いも知らないのに
>大人になることは必要なんでしょうか?
人生経験で言えば、20歳で大人、というのも苦しいところでしょう。
それよりは、法律上の大人・子供の線引きをできるだけ統一したい、という目的の方が強いのでは。
現状の議論だと、引き下げは望ましくない、という方向だ、というのを効いたことがあります。