オーストラリアで肝臓移植を受けた15歳の少女が、いつの間にかドナーと同じ血液型・免疫システムに変り、 免疫抑制剤の必要が無くなった、という症例が発表されたそうです。世界初と見られるとのこと。
臓器の移植を受けると、後はずっと免疫抑制剤を飲続けないとダメだそうです。今回の例のメカニズムが分れば、 抑制剤を飲続けている人にとっては、副作用が抑えられる、あるいは薬が不要になる、といったことになるかもしれません。 また、将来、移植手術の際に何か対策をすれば、免疫抑制剤が不要となるかもしれませんね。 臓器移植の障壁がある程度克服される可能性があります。
血液型や免疫システムが他人のものに置き換わってしまう、というのも不思議ですが、 同時に自分のアイデンティティの一部が失われ、体内から侵略を受けているようにも感じますね・・・・・ あまりそう言うことを気にしていると、臓器移植は受けられないかも知れませんが。
今回の少女は、Rhがマイナスからプラスに変ったということですが、Rhの型が一致しない場合、 輸血などで問題があったと思います。臓器を移植して大丈夫だったのでしょうか(^^; (存命なので、 何とかなっているのでしょうが)
産経ニュース
移植で提供者の血液型に 豪少女、世界初の症例か
2008.1.26 11:56
肝臓移植を受けたオーストラリアの少女(15)が、臓器提供者(ドナー) と同じ血液型と免疫システムに自然に変わり、拒絶反応を抑える免疫抑制剤の必要がなくなったことが分かった。 米医学誌に極めて特異なケースとして掲載され、医師は「こうした例は世界的に知られていない」としている。
25日付のオーストラリア各紙によると、少女は6年前、ウイルス感染で肝機能が低下、 移植手術を受けた。
免疫抑制剤を服用していたが、術後9カ月ごろに体調が悪化。調べたところ、「O型Rhマイナス」 だった血液型が、ドナーと同じO型Rhプラスに変わり、移植した肝臓中の幹細胞が少女の骨髄に根付いていた。 免疫システムがドナーのものにほぼ取って代わられ、骨髄移植と同じ効果が得られたという。
担当したシドニーのウエストミード小児病院の医師団は「メカニズムの解明はこれから」としているが、 ドナーが12歳と若かったことや、少女の白血球が少なかったことなどが理由ではないかと推測。今後、 免疫抑制剤の副作用に苦しむ移植患者の治療に役立てられればとしている(共同)
こういう移植医療の場合ですと、いわゆる何年か経って、どれくらい生き残っているかが問題になるようですので、この少女がいくつまで生きられるかが気になるところです。
それにしても、今回の一件が、新たな移植医療の可能性を開くかもしれないということですので、そちらが期待できますね。
免疫抑制剤が不要になった、ということはかなりの長期間生きられるのでは。
臓器移植を受けた人々への福音になるでしょうか。