雷雨の夜に出現する赤いコートの殺人鬼。現場に「No man」とも「Not man」 とも読めるメッセージを残す。殺人は、極悪非道の麻薬密売グループのメンバーを狙ってくり返される復讐劇。
殺人鬼の正体は、記憶を消されて普段は人間として暮すエイリアン。 自身が攻撃を受けたりするとエイリアンの本性が覚醒し、殺戮本能のまま、無差別に人を殺す。地雷のような存在だが、今時の 「キレる」を体現しているような存在でもある。
男がエイリアンとして覚醒したのは、麻薬の密売を夫婦で見てしまい、グループのメンバーに射殺された時。 その殺戮本能の故、グループメンバーだけでなく、自身の妻をも殺してしまう。
その事実に耐えられなかったのか、以後、「妻が密売組織に殺された」と記憶をねじ曲げ、 男は自分の殺戮本能を満たそうと殺人をくり返していた。
ジンと男の対峙の中でその謎が明かされてゆくが、それまで女のイメージで進んできた殺人鬼の姿が、 実は男だったと明かされる映像の流れは、ややどろどろとしたホラーを感じさせるもの。
覚醒してしまった以上、殺戮を止められないエイリアン。セブンXにアイスラッガーとエメリウム光線で倒されるが、 倒されて救われたのかもしれない。
エージェントたちは、エイリアンに襲われる密売グループメンバーをあえて助けなかったように見えた。 エイリアンの悲哀、人間の非を感じ取って、純粋に任務を遂行できなかったと言うことか。
エイリアンが残していたメッセージは「Norman」、 男と同じように人格がおかしくなってしまった小説の中の殺人鬼の名前だったそう。
最後に、エレナがジンに語る「思い出さない方がいい記憶がある」というのが引っかかる。エイリアンの事をさし、 過去の記憶がないジンのことをさし、また視聴者に投げかけているようにも思える。
全体として救いのないホラーテイスト、人間の業といったものを投げかける話だったと思います。
重苦しいトーンでしたが、夫婦が雨の夜に映画館で出会ったシーンで、背景のポスターに「明日を捜せ」とあったのは、 セブンシリーズならではのちょっとした遊びでしょうか。