今年の4月に行われた、小6と中3が対象の全国学力調査の結果が公表されました。全体的に、 基礎的な知識は身に付いているが、応用面が弱いという傾向だそうです。その他、平均点に関して、地域による差や、 就学援助を受けている子供の割合による差が見られたそうです。
今後、文科省が教育委員会や学校に詳細なデータを提供し、学習指導計画などに活用してもらうそうです。 調査に参加した児童・生徒にも各自の成績が手渡されるようです。応用力が弱いという傾向なので、 そちらを改善する方向に動いていくことになるのでしょうか。
過去の学力テストは学力競争過熱の一因とされて、中止になりました。 現在の学力調査を今後も継続する予定だそうですが、過去の教訓をふまえて続けることが出来るでしょうか。
以前、市町村レベルで同様な学力テストを行っているところでは、学校を良く見せたい・ 自身の成績を良く見せたいという、教諭の都合により学力テストへの取組みが異常に厳しくなったり、 中には採点で細工をしたり、といった事例のニュースを見たことがあります。
全国学力調査も、回を重ねて行けば、そうなる可能性は十分にあります。ただ、今の世の中なら、 モンスターペアレンツのクレームで中止に追込まれる、なんて事態もおきそうですね。
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43年ぶりに全国学力テストが行われる
asahi.com
全国学力調査、「活用」に課題 文科省が結果公表
2007年10月24日19時04分
文部科学省は24日、 小学6年生と中学3年生合わせて約222万人が4月24日に受けた全国学力調査の結果を公表した。平均正答率は、主に 「知識」を問うA問題が70〜80%台だったのに対し、知識を「活用」できるかを主に問うB問題が60〜70% 台と10〜20ポイント低かった。また、都道府県別の平均正答率で一部に開きがあったほか、 就学援助を受けている子どもの割合や地域の規模と正答率との相関関係もみられ、「教育の格差」が一部に表れた。
文科省は「知識については相当数の児童・生徒がおおむね理解しているが、活用は課題がある」と分析。 今後、教職員の加配(定数を上回る追加配置)などによって、正答率が低かった自治体の教育委員会を支援する方針だ。
「学力低下」と言われたことが調査の一つのきっかけとなったが、近年の類似データがないため、 単純に判断することは難しい。ただ、漢字の読み書きや計算問題など、 過去の調査と同様の問題では正答率が上がっているものが多い。
都道府県別では、 各科目で41〜47の都道府県が公立校の全国平均からプラスマイナス5ポイントの範囲内に収まった。しかし、 沖縄県が全科目で最低で、北海道や大阪府、高知県も低い科目が多かった。一方、小学校の全科目で秋田県が最も高く、 中学校は国語Aで富山県、その他の3科目で福井県が最高だった。ただし、都道府県別の平均正答率には私立、 国立校は含まれていない。
1960年代の学力調査で格差が問題になった都市部と地方を比較すると、大きな差はなかった。しかし、 活用問題は大都市(東京23区と政令指定市)がへき地よりも平均正答率が高く、小6は国数ともに5ポイント、 中3数学が3ポイントの開きがあった。
就学援助を受けている子どもが多い学校は、少ない学校より平均正答率が低かった。ただ、 就学援助を受けている子どもが5割を超える学校は小中ともにばらつきが大きかった。
国公私立で比べると、全科目を通じて国立、私立が公立より平均正答率が約10〜20ポイント高かった。 ただ、私立は約4割が参加しなかった。
国際調査で日本の子どもの課題と指摘されている、記述式問題の無回答率は全21問中、11問で10% 未満だった。とくに多かったのは中学数学Bで、7問中4問で20%以上の無回答率だった。
文科省は調査結果を学習指導要領改訂の参考にするほか、都道府県、市町村の教育委員会と学校に対して、 それぞれに関する詳細なデータを提供し、今後の学習指導計画に活用してもらう方針。 都道府県と政令指定市に検証改善委員会を設置してもらい、学校支援のプランを作成させる。
市町村、学校ごとの結果公表はそれぞれに委ねられている。調査を受けた子どもたち一人ひとりが、 問題ごとに正答したかどうかなどを記した個票は既に作成、配送しており、学校を通じて手渡される。