イラン南東部で日本人大学生が誘拐されたらしい。今のところ、 パキスタンからイランに入った横浜国大生ではないかと言われています。
身代金目的かと思われるようですが、人質の安否や犯人グループなど、 現段階でははっきりしたことはわかっていません。今後の展開を見守るしかありませんが、 とにかく無事に帰ってこれることを祈ります。
YOMIURI ONLINE
イランで邦人大学生誘拐、外務省が対策本部設置
外務省は10日、イラン南東部を旅行中の日本人男子大学生(23)が誘拐されたとの情報をもとに、 小野寺五典外務副大臣を本部長とする緊急対策本部を設置した。
同省によると、今月8日に在テヘラン日本大使館に大学生本人から「何者かに拘束された」 との連絡が入った。同省は情報収集を進めるとともに、高村外相が10日、 イランのモッタキ外相に電話で邦人の無事解放に向けた協力を要請した。
同省は情報確認の結果、男子大学生が誘拐されたのは「間違いない」と見ている。同省は、 犯人像や要求内容などについては「公表できない」としている。
イラン東部のアフガニスタン国境付近や、南部地域では、 武装勢力と治安部隊の衝突が発生するなど治安が悪化。外国人を狙った誘拐事件が相次いでいた。
外務省はイラン東部の国境付近で「渡航の延期を勧める」、 今回事件発生現場に近いと見られる同国南東部の国境付近では、「渡航の是非を検討してください」との海外渡航情報 (危険情報)を出していた。
最近、海外で邦人が誘拐された例としては、今年4月に南米パラグアイで、 土地管理会社社長ら邦人2人が誘拐され、同月中に無事解放された。また、2004年10月には、 イラク滞在中の香田証生さんが拘束され、殺害された。同年4月7日には、 イラク中部ファルージャ近郊で日本人3人が拉致され、犯人グループは自衛隊のイラクからの撤退を求めた。 14日にバグダッド郊外でさらに2人の日本人が拉致されたが、5人とも後に無事解放された。
◆南東部、武装勢力が暗躍◆
男性が誘拐されたと見られるイラン南東部には、ケルマン州やシスタン・バルチスタン州がある。 同州の州都ザヘダンは、日本人を含むバックパッカーなどが、パキスタンから陸路イランに入ると、 最初に滞在する町として知られる。
同州では、アフガニスタンなどから麻薬密輸を行う武装集団とイラン治安部隊との間で、 たびたび武力衝突が起きている。今年2月には、イラン革命防衛隊のバスが爆破され、11人が殺害される事件が起きた。 武装集団の中には、反政府闘争を続ける「神の戦士」など明確な政治目的を掲げる組織が知られる一方、 麻薬取引など非合法な活動を行う専らカネ目当ての夜盗集団に近いグループまである。
同州では、今年8月、ベルギー人夫婦が誘拐され、約1か月後に解放される事件も起きている。
(2007年10月11日1時55分 読売新聞)
イラン南東部を旅行中の日本人男子大学生(23)が誘拐された事件で、高村外相は11日、 外務省内で記者団に対し、大学生は在イラン日本大使館へ「拘束された」と自ら連絡してきたことを明らかにした。
8日深夜と10日午後10時半ごろ(日本時間)に連絡があり、本人は無事だったという。 誘拐されたのは横浜国立大学生で、政府関係者によると、同校を休学し、5月から海外を旅行していたという。
政府はイラン政府に対して、大学生の早期救出を最優先するよう求めている。
国営通信は現地消息筋の話として、イラン治安部隊が大がかりな捜索活動を始めたと伝えた。
イランのモッタキ外相は10日夜の高村外相との電話会談で「(大学生が)だいたいどこにいるか、 場所は特定されている」とした上で、イランの治安当局が武装グループをほぼ特定し、すでに接触していることを伝えた。
外務省幹部は11日、「犯人は、政治的目的ではないようだ。身代金目的と見られるが、はっきりしない。 イスラム原理主義のようなグループでもなく、盗賊のような集団と見られる」と語った。別の幹部は 「武装グループは凶暴な組織ではないようだ」と述べた。
町村官房長官は11日午前の記者会見で「イラン当局に犯人側との接触を要請している。 犯人側の要求はわからない」と述べた。その上で、イラン南東部に出している危険情報を、現在の 「渡航の是非を検討してください」から、「渡航の延期を勧める」に引き上げる方向で検討していることを明らかにした。
(2007年10月11日14時36分 読売新聞)
政府関係者は11日、誘拐された大学生について、「大阪府に実家がある横浜国立大学4年生、 中村聡志さんの可能性が高い」と語った。
高村外相によると、大学生はイランの隣国のパキスタンからイランに入った後に誘拐されたという。 イラン国営通信は11日、大学生がケルマン州で城塞(じょうさい)遺跡見学に向かう途中、 武装グループに拘束されたと伝えた。イラン警察当局者は10日夜、本紙に対し、 大学生が同州バムで行方不明になったことを明らかにした。
この警察当局者は、大学生が「(世界遺産の)アルゲ・バム城塞を訪れるためバムを訪問し、 10月6日にホテルを出た後、行方がわからなくなった」と述べた。ただ、 国営通信は大学生が8日に拘束されたとしている。
(2007年10月11日14時38分 読売新聞)