東京都東村山市にあり、かの有名な宮崎駿監督作品「となりのトトロ」の着想を得たという「淵の森緑地」。 そこに隣接する雑木林の開発計画を進めていた民間業者が開発を断念し、 東村山市が公有地として保全されていくことになったようです。
淵の森自体が、市民運動から公有地化された経緯があり、周辺の緑についても公有地化するよう、 上の協議会が募金を募るなどの活動している、ということですね。金儲けのための論理が勝り、開発優先の風潮の中で、 これは緑の保全の成功例ですね。珍しい、幸せなケースではないでしょうか。
都市近郊の自然環境の保全は、都市計画で何らかの保護、法規制がかけられていたり、 レッドデータブックに出てくるような希少種が棲んでいるとか、あるいは非常に強硬な開発反対運動がある、 といった場所でないと、なかなか難しいだろうと思います。こうしてうまく保全され、ニュースとして取上げられるのは、 やはり宮崎作品・監督自身のネームバリューと高い評価によるところが大きいのでしょうね。
「ゆとり」という言葉が、ネットの中で悪い意味で使われる場合もある、なんていう話題も見ましたが、 都市のゆとりである身近な美しい自然環境を保っていける、心のゆとりが必要ですね。
(関連サイト)
淵の森保全連絡協議会
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YOMIURI ONLINE
「トトロの森」の風景残せた!…業者が開発断念
東京都と埼玉県にまたがり、宮崎駿監督がアニメ映画「となりのトトロ」の構想を練った場所とされる 「淵の森緑地」近くの雑木林で、開発計画を進めていた業者側が、東京・東村山市と市民団体に対し、 開発断念の意向を伝えていたことが14日、わかった。
市は雑木林を地権者から買収し、公有地化を目指す方針だ。
開発が計画されていたのは、淵の森緑地に隣接する約1500平方メートル。 宮崎監督が会長を務める市民団体「淵の森保全連絡協議会」によると13日、 地権者と開発業者を仲介している不動産業者から、「開発を断念する。緑が残ります」と伝えられ、 市にも同様の意向が示されたという。宮崎監督は「本当にたくさんの方の助けがあった。 あの風景を残すことができてうれしい」と話している。
同協議会は保全を求めて募金活動を続け、6月には宮崎監督が市に対し、募金の目録を手渡し、 市も公有地化を進める方針を表明していた。
(2007年9月14日12時11分 読売新聞)
asahi.com
「トトロの森」守った 東村山市が買収、業者撤退へ
2007年09月14日09時15分
アニメ映画監督の宮崎駿さんらが緑地の保全を要望していた、東京、埼玉にまたがる「淵(ふち)の森」 の対岸にある雑木林は13日、東京都東村山市が地権者から買収し、公有地化される見通しになった。 宅地開発を掲げて市と地権者の間に立っていた不動産業者が、解約金などを受け取って手を引くことで決着した。
「淵の森」は、1級河川・柳瀬川沿いに残る約4600平方メートルの雑木林。 約30年にわたって近くに住んでいる宮崎監督は、子どものころの東京の豊かな緑の面影を見いだし、アニメ 「となりのトトロ」のアイデアを得たという。
今春、対岸の宅地化計画が明らかになり、6月、東村山市が公有地化の方針を打ち出した。 価格面で交渉は難航したが、購入資金に充てられる、宮崎監督が会長を務める「淵の森保全連絡協議会」 への募金が2400万円を超すなど、市を後押しした。
宮崎監督は「本当にたくさんの方の助けを受けてあの風景を残すことができてうれしい。 これから生きた川との付き合いが始まるので、身が引き締まる思いがしています」と話している。