アニメを見るとき、それがセル画なのかデジタル制作なのかなどと意識することも無いのですが、 今やデジタル制作が主流になり、セル画で作り続けているのは「サザエさん」のみだそうです。サザエさんも、 TVがデジタル放送になりよりクリアな画質になって、 アラが目立つようであればセル画によるアニメ制作を止めるかも知れないとのこと。
アニメの世界でも、デジタル=大量生産の工業製品、セル画=手作りの工芸品のような図式になっていくのでしょうか。
手作りだからこその温かみにこだわるのであれば、テレビのレギュラー番組ではなく、
オリジナルDVD作品や映画といった形式で、より芸術性を高く、というような方向に行くのかも知れません。
ただ、人材不足や高齢化が問題になってきているそうなので、やがては技術自体が失われる可能性がありそうです。
デジタル制作のサザエさんというと、アニメではなくCMのキャラとして出てくる場合がそうなのでしょうか? もしデジタル制作に切り変ったら・・・最初は綺麗な画に違和感があるでしょうが、やがて慣れるのでしょう。 声優さんの交代時のように。
asahi.com
消えるTVアニメのセル画 残るは「サザエさん」だけ
2007年08月29日11時23分
テレビアニメを長年支えてきた、透明フィルムに手で描く「セル画」が近々姿を消しそうだ。 コンピューターによる制作が主流になり、いまやセル画によるテレビアニメは放送39年目の「サザエさん」(フジ系) だけ。地上デジタル放送への移行も控え、風前のともしびだ。(アサヒ・コム編集部)
サザエさんのセル画が東京都世田谷区の長谷川町子美術館の「39(サンキュー)サザエさん展」 (9月2日まで)で配られた。ジャンケンに勝てば、セル画がもらえる趣向。手にした静岡市の高城清子さん(59)は 「手描きのセル画がこんなにきれいだとは」。
従来のテレビアニメは、セル画を重ねて撮影し、制作されるものだったが、「ちびまる子ちゃん」 (フジ系)が99年に、「ドラえもん」(テレビ朝日系)が02年にコンピューターによる制作に変わるなど、 残るはサザエさんのみになった。
サザエさんを制作するエイケン(東京都荒川区)はセル画にこだわり続ける。田中洋一部長は 「セル画の映像は微妙に線が揺れ、温かみのある画像になる。それが視聴者に安心感を与える」。
1秒間に24枚、1話で約1400枚のセル画を使い撮影される。 フィルムを回す過程でも微妙な揺れが生じ、味わいを深めるという。
ハイビジョン映像は精細な映像を表現できる半面、セル画との相性は良くない。 静電気で付いたチリが見えたり、厚みによる影で輪郭がぼやけたり、色のばらつきが見えたりするという。
田中さんは「視聴者からサザエさんは他に比べ映像がきたないと苦情が来れば、 セル画を断念せざるをえない」という。
さらに業界のデジタル化の中で、セル画を描ける人材も高齢化し、不足気味だ。 サザエさんを制作するのはエイケンなど3、4社。約120人が携わるが、国内でまかなえず、全体の20〜30% は中国で描かれている。
セル画専用の絵の具もピンチだ。大手の太陽色彩(東京都板橋区) はピーク時に月2000万円あった売り上げも、今や50万円だという。北村繁治社長は「日本の文化。 蓄財を切り崩しても絵の具作りを続けたい」と話す。
サザエさんは朝日新聞でも長期連載した。
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〈セル画〉 アニメーション制作用に、透明のシートに絵の具で描いた絵。考案された当初、 材質がセルロイドだったためにセル画と呼ばれる。背景を描いた紙の上に、数枚のシートを重ね、 動きのある部分のみを差し替えて、16ミリや35ミリフィルムなどで撮影する。 アニメファン向けにセル画を販売する店もある。
いつの間にか、アニメにも技術革新の波が来ていたんですね。まったく知りませんでした。しかし、引用されている記事の最後にある絵の具会社の方の弁、大変に素晴らしいですね。是非、健闘していただきたいと思います。
セル画アニメは日本の文化、という思いは素晴しいと思います。
道具も必要ですが、技術を持った人がいなくなる、という点は心配ですね。