昨日、世界自然遺産の知床半島近くの海域で、クジラウォッチング船がちょうど捕鯨の現場に遭遇し、 「捕鯨ウォッチング」になってしまった、という事態が起きたようです。
捕まえたツチクジラに対する捕鯨は日本が独自に管理しており、捕鯨を行った海域も禁漁区域ではなく、 ルール上は問題がないようです。が、引用した毎日インタラクティブの記事は、反捕鯨色がにじみ出ていますね。 北海道新聞の方は、割と中立的な感じがします。
ニュース記事を読む限り、知ってか知らずか、ウォッチング船が捕鯨している現場へ近づいていったようです。 そんなところに近づけば「捕鯨ウォッチング」になる可能性は十分にあるし、 命のやりとりを見るなんて考えてもいない観光客が捕鯨のシーンを見たら、そら気分も悪くなるでしょう。私は、 捕鯨船に近づいていったウォッチング船に問題があると思います。
こういった事態が問題だというのなら、例えば、捕鯨漁場(これはもう決っていると思います)、 クジラウォッチングができる海域(これは曖昧か?)、捕鯨漁場とその海域を十分隔てるための緩衝海域、と定めて、 ウォッチング船と捕鯨船がお互いに近づかないようにするぐらいしか解決策は無さそうですね。
これをきっかけに、捕鯨反対、と叫びたいのかも知れませんが、それは筋違いだと思いますね。
毎日インタラクティブ
クジラ:ウオッチングの観光客の目前で捕獲 知床沖
知床沖の根室海峡で24日、和歌山県太地町と北海道網走市の捕鯨会社が共同操業する小型沿岸捕鯨船 (32トン、7人乗り組み)が、クジラ・ウオッチング船の前でツチクジラを捕獲した。現場は禁漁区域でなく、 捕鯨船はクジラを追っていて偶然、この海域に来たとみられる。世界自然遺産登録海域の近くで、 結果的にクジラの生態を楽しむ観光客の前で捕鯨した事態になり、波紋が広がりそうだ。【本間浩昭】
ウオッチング船「エバーグリーン」(19トン)に乗っていたウオッチングガイドの佐藤晴子さん(42) によると、現場は羅臼港(羅臼町)の東約14キロの沖合。午前10時44分ごろ、約3. 5キロ先に捕鯨船とクジラの噴気を発見し、近付くと、クジラが銛(もり)を撃ち込まれていた。約20分後、 クジラは船首に引き寄せられた。
双方の距離は約100メートル。約20人の観光客は、クジラが捕鯨船に横付けされるまで「かわいそう」 などと言いながら様子を見ていた。フランス人夫婦の妻は「ちょっと気分が悪くなった」と話していたという。 近くには別の2隻のウオッチング船がいたが、このうち1隻は子供が泣き出したため途中で引き返した。
ツチクジラは体長10メートル強、体重11〜13トン。国際捕鯨委員会(IWC)の管轄外のため、 資源状況について国際的合意はない。捕鯨は日本独自の管理の下で行われ、全国で年間66頭の捕獲枠が定められている。 網走を基地とする捕獲は年間4頭が割り当てられている。
エバーグリーンの長谷川正人船長(46)は「私は見せるのが仕事。彼らは捕るのが仕事。でも、 何とかならないものか」と話していた。一方、網走市の捕鯨会社は羅臼町に対し、「観光船が接近し、大変危険だった。 危険運航に当たると思われるので、注意してほしい」との要請を出した。
毎日新聞 2007年8月25日 15時00分 (最終更新時間 8月25日 15時06分)
北海道新聞
観光客「ショック」羅臼沖業者「近づかないで」 くじらウオッチング船眼前で捕鯨
(08/25 12:29)
【羅臼、網走】知床の世界自然遺産登録海域に近い根室管内羅臼町沖で二十四日、 クジラウオッチング中の観光船の目の前で、捕鯨船のツチクジラ捕獲作業が行われていたことが二十五日、分かった。 捕鯨船側は「観光船側の危険運航」と抗議する一方、クジラの生態を楽しもうとしていた観光客からは「かわいそう」 との声が上がった。
観光船は羅臼町の知床ネイチャークルーズ所有の「エバーグリーン」(一九トン)で、当時、 観光客約二十人が乗っていた。捕鯨船は網走・下道(しもみち)水産と和歌山県太地町の会社が共同所有する「第7勝丸」 (三二トン、六人乗り組み)。
場所は羅臼港の東約十キロの沖合で、世界遺産登録海域からははずれ、 ツチクジラの漁場の一つとなっている。第7勝丸は二十四日午前十時すぎ、捕鯨砲でツチクジラを撃ち、 追いつめた上でもりでとどめを刺した。
エバーグリーンの長谷川正人船長によると、両船は当初五百メートルほど離れていたが、 最後は約百メートルに近づいたという。ほかにも二隻の観光船がいた。周りの海は血で赤く染まり、観光客からは 「ショック」との声が出、「気分が悪くなった」と話す外国人客もいた。長谷川船長は「距離は十分とっており、 危険はなかった」としている。
捕獲されたクジラは二十五日早朝、網走港に水揚げされ、体長約九・五メートル。 ツチクジラは国際捕鯨委員会(IWC)の管理対象外で、今年は水産庁が六十六頭の捕獲枠を定め、網走と函館、 道外三カ所の計五カ所を拠点に八業者五隻の小型捕鯨船が操業している。
下道水産の下道吉一社長は「(観光船との接近は)初めての経験。 われわれは生業として捕鯨を行っているが、クジラが暴れる可能性もあり、船で近づくのは危険」とし、 羅臼町役場に抗議した。同町のクジラ観光船は昨年、前年より二隻多い四隻に増えており、脇紀美夫町長は 「お互い気を付けてほしい」として事実関係を調べる考えだ。
キャッチャーボートの砲手に憧れてたオイラは捕鯨の様子を見たいけどね。
>歴史的には捕鯨が古いのでは・・・
少なくとも日本ではその通りでしょう。
>そうである以上は観光船は捕鯨船を尊重すべきでしょう。
国際的に捕鯨はいかがなものか、と揉めていますから、思想的なものが絡んでくるとそうも言えなくなる空気がありますね。
>キャッチャーボートの砲手に憧れてたオイラは捕鯨の様子を見たいけどね。
ウォッチング船の客は、望まないものだったにしろ、ある意味なかなか見れないものを見れて、貴重な体験だったと思いますね。