2007年08月03日

中越沖地震は原発に対する「歴史的な実験」発言

 新潟県が設けている原発の安全管理技術委員会の座長が、柏崎刈羽原発へ立入り調査した際の会見で、中越沖地震は 「歴史的な実験かもしれない」と発言したそうです。座長は、本日、一身上の都合により座長・委員を辞任したとのこと。

 これは、一身上の都合とは言っても、やはり発言の責任を取って辞任ですね。ただし、 原発の安全に対する責任論は別として、純粋に技術的・学術的に考えると、この元座長が言うように、確かに「歴史的な実験」 ですね。

 実物の原子炉に設計の想定を大きく上回る地震動が加わるとどうなるか。 人間がやろうと思って出来ることではありません。結果、施設のいくつかに問題は発生したが、 原子炉本体に致命的ダメージが無かった(はず)のは、「堅固である」といっても良いのでは。この経験は、 原発の耐震性を高める技術のために、非常に役立つのは間違いないと思います。

 とは言っても、原発の安全管理にもの申す立場の人が、会見で言うのはちょっとマズイ。「原発は”絶対” 安全なんじゃないのか」「なんでこんな活断層の近くに原発をつくったんだ」「設計の想定が甘すぎる」など、 責任問題の観点からすれば、実験するために柏崎刈羽原発をつくったのか、とか曲解されかねない。 原発周辺で暮している人たちも、不穏に思うでしょうね。

 

 技術的・学術的な目で実際に原発を見、致命的ダメージがなかったということで安心して、少し気が緩んだが故に、 こういった発言が口をついて出てしまったのかも知れません。しかし、社会的には、NGになる表現でしたね・・・・・

 

asahi.com
地震は原発に「貴重な実験」 発言の技術委座長が辞任

2007年08月03日21時08分

 「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」座長の宮健三・法政大大学院客員教授が、 中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発に2日に立ち入り調査した後の記者会見で、地震は同原発にとって 「貴重な実験だった」と発言した。宮氏は3日、「一身上の都合」を理由に、座長と委員の職を辞任した。

 中越沖地震で、同原発で火災や放射性物質が漏れるなどのトラブルが相次いだため、同委員会と県、 柏崎市、刈羽村が2日、東電との安全協定に基づき、同原発を立ち入り調査した。

 宮氏は会見で「7月16日に起きたことは大変ショックだった」と述べたうえで、原発の耐震性について 「非常に堅固だった」と解説した。

 報道陣に「安心したか」と尋ねられると、「安心した。何というか、代え難い実験だったんですね。 歴史的な実験かも知れない」と答えた。

 同委員会は、同原発などで発覚したトラブル隠しをきっかけに、県が03年2月に設置。 原子力や地震工学などの専門家を集め、宮氏は発足当初から座長を務めていた。

 

posted by いさた at 22:14 | Comment(2) | TrackBack(0) | 仕事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
学術的な用語と一般の用語では意味合いが違います。
このような上げ足取り的な報道姿勢にこそ、問題にすべきだろうと思います。
Posted by のびぃ太 at 2007年08月06日 22:34
>このような上げ足取り的な報道姿勢にこそ、問題にすべきだろうと思います。

 報道にも恣意的なものを感じますが、この件ではやはり発言する者が、場所と相手と自分の立場を考えて、言葉を選ぶべきであった、と思います。
Posted by いさた at 2007年08月07日 12:50
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