フジテックが製造した1万基以上のエレベーターに、設計指定よりも強度が低い鋼材が使われ、
強度不足の恐れがあるとのこと。最も低い場合で設計上の70%しかないそうです。
問題の鋼材を納入したJFE商事建材販売は、鋼材の検査証明書を偽造して、強度が低く安い鋼材SPHCを、
設計通りの鋼材SS400に見せかけていたということです。フジテックが了解済だったかは、
JFE商事とフジテック側で主張が違っています。
ミートホープのミンチではありませんが、鉄も見た目ではまずわかりませんね。偽装をした動機はなんでしょう。
1.安い鋼材を納めて、高い鋼材分の代金をもらっていればJFE商事が儲ります。
2.安い鋼材をその値段で買って、つくったエレベーターを高く売ればフジテックが儲ります。
3.フジテックが儲った分、JFE商事に少し分け前をやれば、お互いに多少儲ります。
この中のどれかが真相に近いのか。やっぱり3.ですかね。だとすればフジテックも了解済のことですよ。
エレベーターの設計がどんなものか知りませんが、本来の70%の強度しかないのであれば、 地震が来た時には鉄の降伏点を超えていそうです。 ちなみに、鉄が降伏点を超えると、変形が戻らなくなり、 急に弱さを見せるようになります(なので、降伏点と呼ばれます)。降伏点を超えてさらにいくと、最終的に破断します。
多分、普通の設計なら、地震が来ても降伏点は超えないように考えるだろうから、 設計をやり直したらNG連発なのではないでしょうか。ただ、SPHC鋼材は規格として降伏点が決っていないようなので、 どう判断するのでしょうね。
通常使っている状態では、さすがに降伏点には至らないでしょうが、いわゆる許容応力度を超えているでしょうから、 厳しい使用状態におかれることになり、製品としての寿命は本来期待されている期間よりも短いと予想されます。 エレベーターの取替え需要が発生して、フジテックが儲るかも知れませんが、 使っている側としては困った話ですね(^^;
asahi.com
エレベーターで強度偽装 JFE系商社が鋼材をすり替え
2007年07月12日21時33分
国土交通省は12日、エレベーター大手のフジテック(滋賀県彦根市) が02年以降に製造した全国1万基以上のエレベーターに設計よりも強度の低い鋼材が使われ、 うち560基は強度不足の恐れがある、と発表した。 納入業者が設計上の鋼材よりも強度も値段も低い鋼材にすり替えていたことを認めている。強度は最も低い場合、 設計上の70%しかなく、地震で停止した際、レールなどが変形すれば、 利用者の救出や復旧に支障をきたす恐れがあるという。560基について、 同省は積載量の制限と補強工事を要請するとともに、強度の低い鋼材が使われた全基の強度計算のやり直しを求めた。
国交省によると、強度の低い鋼材が使われていたのは、エレベーターのガイドレールの取り付け部分や、 人が乗る「かご」の底を支える金具などで、大手鉄鋼メーカー、JFEスチール系列のJFE商事建材販売(大阪市) が納入していた。
同社は、強度が低い鋼材の納入時に強度の高い鋼材の検査証明書を発行したことを認め、 「フジテック社員との合意による不正だった」と説明。フジテックは「すり替えは知らなかった」と反論しており、 同省はフジテックに再度の報告を求めた。
同省によると、設計より強度の低い鋼材が使われていたのは、マンションやオフィスビル、 病院や駅などに設置しているエレベーター1万2727基とエスカレーター634基にのぼる。
フジテックによると、JFE商事建材販売から受けた報告では、鋼材の偽装は02年9月から始まった。 フジテックは、橋や船舶、車両などに使われる「SS400」という鋼材を指定していたが、JFE側は、強度が劣り、 価格も5〜6%安い「SPHC」鋼材に、「SS400」鋼材の検査証明書を添えて納めていたという。
今年1月と5月に取引した鋼材に「SS400」と「SPHC」が混在していたことから、 フジテックが確認を求めたところ、6月末にすり替えが判明。JFE側が偽装を認めたという。
緊急会見したフジテックの内山高一社長は「公共性の高いエレベーターでこのような問題が起き、 申し訳ない」と述べた。JFE商事建材販売の岩瀬光治社長は「フジテックとの合意に基づいていたとはいえ、 実際と異なる証明書を出したことは深く反省している」と話した。
フジテックは業界5位で、全国で約3万6000基を保守管理している。
今更この程度のことが出てきたところで全然驚きません\(^^)/
五十歩百歩か・・・