2007年06月13日

「蒙古」は蔑称だったのか

 モンゴルを意味する「蒙古」という言葉は、漢民族が考えた言葉で、モンゴルの人たちに言わせると蔑称に当るらしい。 Sankei Webの記事からは、日本でこれから蒙古と呼ばない活動を展開していく、という風に読めます。

 私はこの記事を読むまで、「蒙古」が差別的な意図での呼び方とは知りませんでした。まあ、 中華思想のかの国が考え出した呼び方だそうなので、差別的意図があっても不思議ではありません。モンゴルにとっての「蒙古」 は日本にとっての「倭」のようなものか。

 蒙古襲来や、蒙古斑といった歴史的事実や慣例語は問題にしない方針、というのは現実的対応ですね。 あまりに踏込んでいくと言葉狩りになってしまう。民族の事情により、中国に向って主張できない、 というのはちょっと情けない気もする。漢字文化圏として、朝鮮半島でも同じ運動を展開するのか。あるいは、 もう先行しているのか?

 蒙古が蔑称である、という認識は、日本ではあまり高くないような気がするのですが、運動を展開することで、 かえって寝た子を起こすような事態になる気もします。明らかに差別的意図で「蒙古」と使われるケースが出てくるのでは・・・ ・

 

Sankei Web
「蒙古」と呼ばないで! モンゴル留学生ら「漢民族作った蔑称」

. 日本とモンゴルの交流が盛んになるなか、モンゴル留学生や日本の著名人が「蒙古」 という言葉の使用をやめるよう呼びかけている。「蒙古」には「無知で古臭い」といった意味があるためで、 大相撲のモンゴル力士たちも支援している。

 このほどモンゴル留学生会などが主催する祭典「ハワリンバヤル2007」が開かれた都内の会場で、 「私たちはモンゴルを蒙古と呼びません」というパンフレット(意見広告)が来場者に配布された。 両国の賛同者による合同声明の形で意見を掲載。大相撲の安馬も賛同の署名を行った。

 「蒙古」には「無知で古臭い」という意味のほか、「暗い、覆いかぶせる」という内容があるという。 東京外大モンゴル語学科教授で日本モンゴル学会理事の二木博史さんは 「蒙古という呼び名は漢民族ができるだけ野蛮な表記にしようとしてできた言葉。モンゴル人を蔑視(べっし)している。 原則的に民族名や言語の名前はカタカナ表記にすべきだと思う」と訴える。

 日本人の「蒙古」という呼び名は鎌倉時代から始まったといわれる。 かつて大阪外大は蒙古語学科を設けていたが、1962年にモンゴル語学科に変更した。 NHKでは2001年3月14日放映の「その時歴史は動いた」で、蒙古は差別的な意味を持つとして「蒙古襲来」を 「モンゴル襲来」として放送した。

 しかし、現在でも多くの大学や団体などで「蒙古語」と呼ばれ、「日蒙辞典」や「訪蒙」 として使われているケースも目立つ。中学、高校の歴史教科書には元寇の「蒙古襲来」の表記が残り、 赤ちゃんのお尻をさす「蒙古斑」も使われている。関係者は史実や慣例語は基本的には問題にしない方針で、 できれば使わないでほしいという姿勢だ。

 ただ、この運動を難しくしている問題が存在する。中国への配慮だ。 中国は少数民族としての蒙古族と行政区としての内蒙古自治区を有する。中国では当たり前のように「蒙古(モング)」 と呼ぶ。蒙古の名前がついた製品もある。モンゴル留学生たちは「呼び方変更運動は決して政治的なものではない。 民族主義的な発想でもない」として中国を刺激することを避けようとしている。

 日本モンゴル協会長で早大の吉田順一教授は「中国には蒙古を使わないでという要望はできません。 日本人への啓蒙という意味で静かに運動していくつもりです」と話している。(露久保孝一)

(2007/06/13 06:22)

 

posted by いさた at 14:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 思い事(なるほど) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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