枚方市の清掃工場工事で談合があったとして、大阪地検特捜部が強制捜査を行いました。大林組の顧問をはじめ、 6名が逮捕されていますが、うち1名は大阪府警の警部補です。逮捕された警部補は、 汚職事件や談合事件を担当するやり手だそうで、枚方市とゼネコンの間の橋渡し役で、 受注工作に関わった疑いがもたれているとのこと。
枚方市も関わる一種の官製談合のような感じがしますが、このような談合事件で現職の警官、 しかも談合事件担当が逮捕された、というのは聞いたことがありませんね。容疑が事実なら、 談合を摘発ではなくて幇助していた、ということになります。大阪府警も強制捜査されるようですが、信頼失墜も甚だしい。
捜査が進んで、実態が解明されてくるでしょうが、どのような展開になるのか。
asahi.com
清掃工場建設工事で談合の疑い 枚方市など強制捜査へ
2007年05月29日
大阪府枚方市が05年秋に発注した清掃工場の建設工事をめぐり、 大手ゼネコンなどが談合した疑いが強まり、大阪地検特捜部は、枚方市役所などに対し、 近く競売入札妨害容疑で強制捜査に乗り出す方針を固めた。工事は大手ゼネコンなどでつくる共同企業体(JV) が高値で落札しており、自治体の公共工事をめぐる談合事件に発展する可能性もある。
関係者によると、談合の疑いがもたれている工事は、 枚方市が05年11月に入札を実施した清掃工場の建設工事。
入札方式は制限付き一般競争入札で、大手ゼネコンなど2社でつくるJVのほか、 別の大手ゼネコン2社がそれぞれ単独で入札に参加した。予定価格は56億4896万円だったが、 JV側が55億6千万円で落札。落札率は98.4%で、95%を上回る高値受注だった。
入札は2度実施され、1度目は希望するゼネコンがなかった。 2度目は工事の範囲や発注金額を増やすなどして実施されたという。工期は09年3月までとされる。
2007年05月30日
大阪府枚方市が05年秋に発注した清掃工場の建設工事で、大手ゼネコン「大林組」(大阪市中央区) の顧問らが談合していた疑いが強まり、大阪地検特捜部は29日、大林組顧問の森井繁夫(63)、中堅ゼネコン「浅沼組」 (大阪市天王寺区)常務の田島洋(64)、大阪府警捜査2課警部補の平原幸史郎(47)ら6容疑者を競売入札妨害 (談合)の疑いで逮捕した。いずれも容疑を認めているという。特捜部は、森井顧問らが談合を取り仕切り、 平原警部補も市とゼネコンの間の橋渡し役をしたとみて、事件の全容解明をめざす。
汚職事件などを調べる捜査2課の現職警察官が、談合事件で逮捕されるのは極めて異例。
ほかに逮捕されたのは、大林組社員清見敏郎(51)▽同、衣笠亨(41)▽大阪府泉佐野市の建設会社 「国土建設」代表取締役山田睦司(ちかし)(46)の各容疑者。
調べでは、森井顧問ら6人は共謀し、枚方市が05年11月に入札を実施した「第2清掃工場」 の建設工事で、入札に参加した別の大手ゼネコン2社の幹部らと談合。大林組と浅沼組が組んだ共同企業体(JV) が最安値の入札額を示して受注することを事前に申し合わせ、同JVが予定価格(56億4896万円)の98.4% にのぼる55億6千万円の高値で落札した疑い。
平原警部補は、公務員の汚職事件や談合事件を担当する府警捜査2課に所属。 枚方市を含む地域を担当していたこともあった。市側とゼネコン側の調整役だったとされる山田取締役の知人で、 情報をやりとりするなど受注工作にかかわった疑いがあるとされる。
第2清掃工場(鉄筋6階建て、延べ2万平方メートル)は、 従来のごみ処理施設の老朽化に伴って建設が計画された。大林組と浅沼組のJVが受注した翌月に着工。 すでに半分以上の建設が進み、来年5月の完成をめざしている。
大林組広報室は「現時点では状況が把握できず、コメントは差し控えたい」。浅沼組の担当者も 「事実関係が分からず、コメントできない」と話している。
2007年05月30日
枚方市の中司宏市長は30日午前11時から市役所で緊急に記者会見し、「平原警部補とは面識があり、 談合情報を伝えられたこともある。3年前、平原警部補から大林組の森井顧問を紹介された」と明らかにした。 「2人が談合事件にかかわっていたと知り愕然(がくぜん)とした」と述べ、官製談合の可能性や自身の関与は否定した。
会見によると、20年前に中司市長が府議に当選したとき、平原警部補があいさつに来て知り合った。 市長になった後も、平原警部補は「捜査2課特捜刑事として情報を聞きたい」と年1回は市役所に来ていた。
平原警部補は、同市の清掃工場の入札について「談合情報があるから注意するように」 と市長に伝えてきたという。中司市長は「内容はよく覚えていないが、大林組などの固有名詞も出たと思う」と説明。 市長は助役を通じて関係部署に情報を伝えたという。
また、3年前に平原警部補から「食事をするから」と大阪市内の料理店に呼び出されて行ったところ、 そこに森井顧問がいて、3人で約1時間食事したという。これについて、中司市長は「市政一般の話題で、 清掃工場の話題も出たかも知れない。私からは『談合があっては困る』と話した。 店の支払いは平原警部補がしたかも知れないが、覚えていない。今思えば、呼ばれて出向いたことは不用意だった」 と述べた。
中司市長は29日夜、朝日新聞の取材に対し、森井顧問について「ちょっとよく知らない」と答えていた。