大阪での話。近々、新御堂筋の北端から山をトンネルで抜け、北へ向う「箕面グリーンロード」が開通します。しかし、 そのトンネルを造ったために中で水がわき出して地下水の流れが変り、近隣の川の水量が減っているそうです。 近くにある古くからの景勝地「箕面の滝」も水量が減っていることがわかったそうです。
あの「ヴィソラ」のさらに北へ延びているトンネルは、グリーンロードという道だったのですね。
新しく開発する住宅地のアクセス道路ともなるようです。トンネルから水がわき出したのは平成11年とのことなので、
もう8年も前からのこと。事業者である大阪府道路公社が、ポンプアップして川に水を戻しているそうですが、
全て戻せるはずもなく、水量は減っているそうです。
箕面の滝も、上流にダムがあったりと、自然のままというわけではありませんが、「ポンプ頼み」
というのは情けない話ですし、川の水が減ると、川の生き物、やがては流域全体になんらかの影響が出てくるでしょうね。
しかも、ポンプアップを続けると、年間3000万円の電気代が半永久的にかかるそうで、 コストのみならずエネルギー消費ももったいない話ですね。トンネルは有料で、普通乗用車が片道600円ということです。 阪神高速東線の料金といい勝負ですが(^^; ポンプアップの電気代だけなら、 通行料に上乗せすれば解決するかもしれません。他の問題は解決しないのですが・・・・でも、あまり通行料が高いと、 利用し難くて何のための道か、という議論も出てきますねぇ。
トンネルの向うの住民の利便性と、自然環境へのダメージを天秤にかける話ですが、 うまい解決策はないものでしょうか。
Sankei Web
箕面の滝「人工滝」に トンネル工事の影響で水量減
. 大阪府北部の箕面市と大阪市内方面を結ぶ有料道路「箕面グリーンロード」のトンネル工事の影響で、 景勝地として知られる箕面大滝の水量が減少していることが17日、分かった。事業主体の府道路公社では、 ポンプでくみ上げたわき水を滝の上流などに返しているが、 水量を維持するのに年間3000万円の電気代が半永久的にかかるという。 トンネル工事をめぐっては地元でも賛否が分かれており、「無駄な開発で、 自然の滝が電気仕掛けの人工滝になってしまった」との声も上がっている。
箕面トンネル(5.6キロ)は今月30日に開通。府が箕面市止々呂美(とどろみ)で開発を進め、 今秋から分譲されるニュータウン「箕面森(しん)町(旧水と緑の健康都市)」と、新御堂筋(国道423号) を車で8分で結ぶグリーンロード(7.2キロ)の大半を占める。
公社によると、工事が始まった平成11年からトンネル内で水がわき出し、 貫通した15年の湧水量は毎分平均9.4トンを記録。その後は減少傾向にあるものの18年度も6.8トンの水が出た。 このため地下水位は低下し、周囲の5つの河川の流量が減少。箕面大滝に注ぐ箕面川でも、水が減少する地点が現れた。
そのまま工事を続けると滝の水が減る恐れが出たため、公社はポンプを設置して地下水を川に返している。 ポンプアップされる水量は5河川分で毎分計2.1トンになり、 年間3000万円の電気代が半永久的にかかる見通しという。
こうした対策に地元府議の一人は「自然への悪影響は計り知れない。無駄な開発で、 箕面大滝が電気仕掛けの人工滝になってしまった。電気代もばかにならず、そこまでして必要な道路だったのか」 と批判する。
公社は「水量の減少は事実だが、 滝の流量の増減は降水量や箕面川上流の箕面ダムの放水量などさまざまな要因がある。 わき水を返すことで自然に配慮している」と理解を求める。
一方、道路の恩恵を受ける地域の住民の中には歓迎する声が少なくない。 山間部に位置する止々呂美地区は、アクセスの悪さなどで昭和40年代から過疎化。 ニュータウンや道路建設も過疎対策としてスタートしており、 道路開通で新御堂筋までの時間が33分から8分に短縮される。
箕面市止々呂美地域まちづくり協議会の酒井精治会長(67)は「地元の人はトンネル開通を喜んでいる。 普通車で片道600円の通行料も安くはないが、それを上回る便利さがある」と話す。
環境か、利便性か−。開通後も論争が続きそうだ。
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【箕面大滝】 大阪府箕面市の明治の森箕面国定公園にある滝で、落差が33メートルあり、 「日本の滝百選」にも選定。江戸時代の摂津名所図会でも「箕面瀧」として紹介されている。 最寄りの駅から3キロ程度という都心部に近い景勝地として親しまれ、 モミジの名所で紅葉の季節には大勢の観光客らでにぎわう。