エキスポランドと言えば、USJ開園以降も生残ってきた、数少ない関西の遊園地ですが、昨日、ジェットコースター 「風神雷神2」が脱輪事故を起し、1名が死亡、19名が重軽傷を負うという事故が起きてしまいました。 事故を目撃した十数人の客も気分が悪くなるといった不調を起し、病院に運ばれたとのこと。よりによって、 連休中で特に人出が多い時期に惨事が起きてしまいました。
コースターの車軸が破断して、脱輪したようです。事故原因はまだ特定できていませんが、エキスポランドの点検・
整備に問題は無かったか。車軸の破断という事態を起した点検の「質」はどのようなものだったのか。
法律で義務づけられているのは年1回の目視検査のみ。ただ、
エキスポランドではそれに加えて分解検査も行っていたとのこと。しかし、今年は開園35周年の新アトラクション導入のため、
目視検査のみ1月末に行い、分解検査は今月15日から行う予定だったと言います。
定期検査時に分解も同時に行っていればあるいは・・・とも思われますが、後の祭り。エキスポランドの事故を受け、 各地の遊園地も緊急点検を行ったそうですが、こちらの点検の「質」はどうなのでしょう。
事故で亡くなられた方のご冥福を祈ると共に、怪我をされた方々にお見舞申上げます。
2007.05.11 追加
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[エキスポランド事故] 車軸が折れたのは金属疲労
asahi.com
コースター脱輪、女性死亡19人けが 大阪・万博公園
2007年05月05日22時19分
5日午後0時50分ごろ、大阪府吹田市千里万博公園の遊園地「エキスポランド」で、 ジェットコースター「風神雷神(ふうじんらいじん)2」(6両編成)が脱線し、 2両目にいた女性客が車両とレール左側の手すりに挟まれて死亡、他の乗客19人が重軽傷を負った。大阪府警は、 車軸の一部が折れて車輪が脱落し、車両が左側に傾いたとみて、業務上過失致死傷の疑いで吹田署に捜査本部を設置し、 6日にもエキスポランド社(山田三郎社長)など数カ所を家宅捜索する方針。
国土交通省によると、運行中のジェットコースターの乗客死亡事故は国内初とみられるという。 エキスポランドは、6日の全面営業停止を決めた。
捜査本部の調べでは、亡くなったのは滋賀県東近江市の会社員小河原良乃(こがわら・よしの)さん (19)。2両目の左前列に乗車し、傾いた車両と点検用通路の手すり(高さ1.1メートル)の間に頭部を挟まれ、 即死状態だったという。
2両目の左後列にいた、小河原さんの友人の滋賀県豊郷町の古川小百合さん(20)が頭を打ち重傷で、 11〜45歳の男女計18人が軽傷を負うなどして病院に運ばれた。ほかに、 事故を目撃した入場客ら十数人が気分が悪くなるなどの不調を訴え、病院で治療を受けた。
風神雷神2は「風神」「雷神」の2編成(各6両)。定員24人で、 1両に4人が直立した状態で乗り込み、両肩付近の安全バーで固定される。事故を起こした風神には当時、20人が乗車し、 2両目には4人がいた。
コースターは、各車両の左右にある五つの車輪でレールを上下と外側から挟み込む状態で走行する。 今回の事故では、2両目の前部左下にある車軸の一部が破断し、車輪が脱落したとみられている。車軸は直径5センチ、 長さ約40センチで、合金材「SNC」製という。92年の営業開始以来一回も交換されていなかった。
コースの全長は約970メートル。風神は、終点手前約250メートル付近で停車。 その手前約30メートル付近で車輪などが落下し、さらに約240メートル手前の急降下が始まる付近で、 ボルトが付いた車軸左側の先端部(こぶし大)が落ちていたという。捜査本部は終点手前約520メートル地点で、 車軸が折損した疑いがあるとみて調べている。
エキスポランド社の説明によると、風神雷神2は、建築基準法などで、年1回、 目視の定期検査が義務づけられており、同社は毎年2月ごろに実施。あわせて車両を分解する点検も自主的に行っていたが、 今年は開園35周年記念のアトラクションを新設するため、分解点検は今月15日から始める予定だったという。
2両目の車両は停車した際、レール左側の点検用通路の手すり側に約30度傾いて、接触していたという。 死亡した小河原さんが乗っていた席は、事故の衝撃で、安全バーが破損していたという。
同社によると、風神雷神2は92年、遊戯機械メーカー「トーゴ」(04年に会社更生法適用)が製造し、 同ランドに設置された。最高時速は75キロ。約2分20秒で1周し、風神と雷神が交互に走行する。 乗車資格は身長140センチ以上となっている。
風神雷神2とは別タイプの「風神雷神」は90年5月、大阪市で開かれた「国際花と緑の博覧会」で、 運行中に乗客48人を乗せたままレール上で立ち往生する事故を起こした。
2007年05月06日08時29分
大阪府吹田市のジェットコースター死亡事故で、 エキスポランド社が今年2月に吹田市に提出した事故機の定期検査報告書で、今回の事故で破断が起きた車軸も含め、 全検査項目を「A判定(=良好、指摘なし)」としていたことがわかった。
破断につながるような傷やゆがみがあれば事前に発見できた可能性もあり、 同社の定期検査が適正だったかどうかが、原因解明と責任追及の焦点となる。
国土交通省などによると、事故のあったジェットコースター「風神雷神2」 は建築基準法などで年1回の定期検査が義務づけられている。今年は1月30日に実施し、 2月16日に市へ報告書が提出された。
報告書は、モーターやブレーキ、座席などの検査結果を「良好・指摘なし」から「要注意」「要修理・ 法不適合」までABCの3段階で評価するが、同社は「台車・車輪装置」も含めて全項目をA判定としていた。
同社は例年、事故機の定期検査の際、あわせて車両を分解する点検も自主的に行っているが、 今年は開園35周年記念の新アトラクションをつくるため、今月15日から始める予定だったという。
2007年05月06日01時08分
大型連休中の遊園地で、看板のジェットコースターが起こした死亡事故は、 一歩間違えば凶器になる高速マシンの怖さを改めて示した。車軸が折れた理由は、まだ分からない。 各地の遊園地は緊急点検に追われたが、不安はぬぐえない。
◇
全長約1キロのアトラクション「風神雷神2」が停車したのは、ゴール手前約250メートルだった。
横に傾いた立ち席の部分がレールの左側にある点検用通路の手すりに接触し、止まった。
エキスポランドによると、死亡した女性が乗っていた2両目の前部左下にある車軸(直径5センチ、 長さ40センチ)が、車軸と車輪をつなぐねじの部分で破断していた。
事故機の停止位置よりかなり手前に、ナットがくっついた車軸の一部が落下していた。 こぶしほどの大きさだった。
「原因は分からないが、ねじをつなぐところで加工上のミスがあったのかもしれない。 単純に金属疲労の問題も考えられる」。エキスポランドはそう説明した。
事故機は92年から稼働しているが、過去に不具合があったことはないという。
メーカーのトーゴ(横浜市)は会社更生法が適用されているが、部品は子会社が提供を続けており、 点検の責任はエキスポランド社にある。このジェットコースターの場合、年1回の定期検査が義務づけられ、同社では、 さらに部品をばらして、磁石などで車軸に微細な傷がついていないか調べていたという。今年も定期検査は2月に行ったが、 この精密な点検は連休明けの予定だった。
1カ月ごとの点検も行われているが、これは目視。ねじのつなぎ目を磁石などで調べることはなく、 「金属疲労まではチェックできない」。
毎日の始業前点検でも車輪・車軸はチェック対象となる。5日朝も目視による点検は実施されたが、 異常は見つからなかった。
国土交通省によるジェットコースターの安全基準は、建築基準法と関連政省令で定められている。 外見は列車のようでも、法律上は観覧車や回転木馬と同じく「工作物」の扱いだ。
設置するには、自治体または民間検査機関による建築確認の手続きが必要だ。その際に、 構造の強度やブレーキなどが基準通りかどうか審査を受ける。
設置後に義務づけられている定期検査報告は、自治体によって回数は異なる。年1回以上、 車軸にさびや腐食がないか、ブレーキにゆるみがないかなどを3段階でチェックし、 自治体に報告書を出さなければならない。
現場での検査と報告書の作成は、ほとんどの施設では、エレベーター検査と同じく「昇降機検査資格者」 があたっている。
◇
各地の遊園地では5日、乗り物の緊急点検が行われた。一部の施設では、事故の詳しい原因が分かるまで、 コースターの運転を見合わせるという。
年間で約2500万人が訪れる千葉県浦安市の東京ディズニーリゾート。
エキスポランドの事故機と同型のコースターはないが、「ビッグサンダー・マウンテン」 など五つのジェットコースターの運転台数を午後3時半ごろから減らし、 ねじの緩みや傷がないかなどを係員が1台ずつ調べた。異常は発見されず、6日以降は通常どおり営業する。
富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)には、人気の「キング・オブ・コースター・フジヤマ」など、 事故機と同じトーゴ社製のコースターが計3機あるが、特に対応はとっていないという。広報担当者は 「詳しい事故原因が分からないので何ともしようがない」。毎日の始業前・始業後の点検のほか、 半月や1カ月点検などを行っているという。
一方、よみうりランド(東京都稲城市)は、事故情報が入った直後の午後2時半ごろから、 トーゴ社製の立ち乗りコースター「ループコースターMOMOnGA」を運休にした。広報担当者は「(事故機と) 基本的に同じ設計ということもあり、原因が分かるまでは運休を続ける」。82年に導入したが、 これまで大きな故障はなかったという。
事故機の類似機にあたる「風神雷神」を運行する三井グリーンランド(熊本県荒尾市)でも、 午後2時から運転を中止し、車両を点検した。
ルスツリゾート(北海道留寿都村)でも、八つあるコースターのうち、立って乗るタイプの 「スタンディングコースター」の運転を、事故の詳細が分かるまで見合わせるという。
国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)では、事故を知った管理会社が午後3時ごろから、着座式の 「林間ジェットコースター」の車輪部分を中心に点検した。安全を確認し、約15分後に運転を再開した。
白樺湖リゾートファミリーランド(長野県茅野市)は、6日もジェットコースター「ボブスター」 を平常通り運転する予定。毎朝、法定の点検を行っているといい、 「いつも通りシートベルトのチェックなどを徹底するよう、改めて指導する」としている。