アメリカのバージニア工科大で銃の乱射事件が発生、32人が死亡するという、 アメリカでは史上最悪の銃撃事件となっています。容疑者は自殺したとのこと。ささやかながら、 犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。
状況は混乱していて、事件に至った動機や背景などはまだわかっていません。学生寮で発砲した第1の事件があり、 その約2時間後にキャンパスでの乱射事件が発生しています。 第2の事件発生を防げなかった大学に批判が集中しているとのこと。
銃社会の悪い面があからさまに出てきた事件です。アメリカは、 こういった事件の再発を防ぐことができるのでしょうか。防げないから、何度も同じような惨劇が繰返されるのでしょうが・・・ ・
事件に関する詳しいことはこれから調べられることでしょうが、asahi.comの記事からは、 容疑者の個人的な怨恨(恋愛のもつれ)が動機のように思えますね。容疑者はアジア系かも、ということですが、 よもや日本人ではあるまいな・・・・
asahi.com
バージニア工科大で乱射、32人死亡 米最悪の銃撃事件
2007年04月17日11時30分
米バージニア州ブラックスバーグにあるバージニア工科大学のキャンパス2カ所で16日午前 (日本時間同日夜)、銃の発砲、乱射事件があり、大学によると学生ら32人が死亡、15人が負傷し、病院に運ばれた。 2カ所目の事件の男性容疑者は自殺した。2件とも同一犯との見方もある。 AP通信によると91年にテキサス州で23人が死亡した事件を上回り、犠牲者数で米史上最悪の銃撃事件となった。
大学の記者会見などによると、最初の事件は同日午前7時15分(日本時間午後8時15分)ごろ、 キャンパス南部の学生寮「ウェスト・アンブラー・ジョンストン」で発生し、学生の男女2人が撃たれて死亡した。 午前9時45分ごろにはキャンパス北部の教室棟「ノリス・ホール」に拳銃と大量の弾薬で武装した男が侵入。 複数の教室などで発砲し、確認できただけで30人の学生・教員らが死亡、容疑者も自殺した。
ワシントンの日本大使館は、この大学の学生や周辺に住む48人の日本人全員の無事を確認した。
FOXニュースが目撃情報として伝えたところでは、 2番目の事件で発砲したのは若いアジア系の男とされ、教室棟の入り口を鎖で閉鎖。女子学生を並ばせて、 友人の女子学生の居場所を聞き出そうとしたという情報がある。けが人の中には、窓から飛び降りた学生もいたという。 現場から拳銃2丁が押収された。
大学は最初の事件後にメールなどを通じて学生に窓から離れた屋内にとどまるよう通知。 大学を担当するバージニア・テック警察や州警察などがキャンパスに展開したが、約2時間半後の事件を防げなかった。
AFP通信によると、米国連邦捜査局(FBI)は16日、「テロ行為の形跡はない」との声明を出した。
米メディアは二つの事件は同じ容疑者による犯行とみられると報じ、 最初の事件の発生でなぜ直ちに大学閉鎖の措置をとらなかったのか、大学側の責任を追及している。記者会見でチャールズ・ スティーガー学長は「事件が関連しているのか、わかっていない」と話した。
米国内の学校で起きた銃撃事件としては、16人が射殺された66年のテキサス大事件や、 99年にコロラド州コロンバイン高校で生徒2人が計13人を射殺した後、自殺したことがある。
CNNによれば、今月2日に文書による大学への爆破予告が警察に届いた。また、 13日には爆破予告があり、予定されていた授業が取りやめになった。
ブッシュ大統領は16日午後、ホワイトハウスで事件について声明を発表し、 「学校は安全に学ぶ聖域であるべきで、その聖域が破られた時、衝撃は米国のすべての教室、すべての社会が受け止める」 と話した。また、CNNによれば、バージニア州のティモシー・ケイン知事は17日、 会議出席のため滞在していた東京で非常事態を宣言。AP通信によると、知事は急きょ帰国の途に就く前、 「バージニアにとって悲劇の日だ」と述べた。
2007年04月17日12時10分
撃たれるのを避けようと、教室の床に横たわって撃たれたふりをした学生がいた。逃げられる学生は次々、 2階の窓から飛び降りた。米史上最悪となる銃撃事件が16日、バージニア工科大キャンパスで起きた。 午前7時過ぎに男女2人が学生寮で射殺。大学は直後に学生にメールで屋内にとどまるよう伝えたが、 この間にも登校してくる学生がいた。2時間以上がたち、大量の警察官がキャンパスを捜索するさなか、 教室の中から再び銃の乱射音が響いた。
「危ない。こっちに来てはだめだ。銃を持ったやつがいる」。心理学専攻2年のクナル・ナンバラさん (20)は午前9時55分、講義に向かう途中、前を歩いていた学生たちに突然、叫び声とともに押し戻された。
何かまた起きたのか――。大学では昨年も銃撃事件が起き、つい先週も爆破脅迫騒ぎがあった。 ナンバラさんが学生寮に戻り、パソコンのメールをチェックしたところ、 銃を持った人間がいると通知するメールが学校から9時26分に届いていた。
なぜ……。学校側の対応は、後手後手に回った。事件の最中にも、 ナンバラさんのように登校しようとした学生たちがいた。
2度目の銃撃事件があったノリス・ホールには、事件から半日が過ぎても、 心配のあまり様子を見に来る学生が絶えない。ホール玄関を警察官が出入りする様子を、 十数人が50メートルほど離れて見守っている。
事件は、月曜日の始業時間に合わせるように発生した。
ワシントン・ポスト紙が目撃者の学生の話として伝えたところでは、容疑者の男は午前9時50分、 ドイツ語の授業をしていたノリス・ホールにある教室に押し入り、教授の頭を撃ったあと、 2丁の拳銃で1分半ほどの間に30発ほどを撃った。教室にいた全員が床に伏せた。
FOXニュースが目撃者の話として伝えたところでは、容疑者は若いアジア系と見られ、 友人の女性を探しているようだった。女子学生を一列に並ばせて、友人の女性の所在を聞き出そうとしたという。その後、 無差別の発砲を始めた。窓から飛び降りる学生や、銃撃を防ぐために床に転がって撃たれたふりをした学生もいたという。
目撃者の女子学生がCNNに話したところでは、男は教室の中に2メートル入ってきて、 最初は教授を撃ち、それから25人ほどいた学生に無差別に発砲した。男は半袖シャツに黒いベストを着ており、 まるでボーイスカウトのように見えたという。
この女子学生は、床に伏せて死んだふりをして助かったと証言。「銃撃は徹底しているようだった」 と話した。いったん去った後、数分後に、教室内で話し声がするのを聞きつけたためか戻ってきて、再び発砲したという。
建築科3年のフィリップ・グレープスさんは朝日新聞に「友人が事件のあった教室で授業を受けていた。 部屋には16人がいて、事件を知って高齢の教員を残して全員が窓から飛び降りた。みんな叫んでいた。 友人は背中から植え込みに落ち、背中の傷を見せてくれた。大変だったのだと思った」と話した。
2時間のうちに、何かができなかったのか。CNNに学生は「全く狂っている。 学校が学生にメールを送っている間に、多数の人間が死んだ」と話した。なぜ最初の事件後にただちにキャンパスを閉鎖し、 徹底的に捜索しなかったのかとの疑問の声が、米メディアに次々と紹介されている。
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〈キーワード:バージニア工科大学〉 1872年創立。 大学院と八つの単科大学から成る同州最大の州立総合大学で学生数は約2万6000人。留学生も多数在籍。 ノーベル物理学賞を受賞したロバート・リチャードソン氏や、スペースシャトル飛行士ロジャー・クラウチ氏ら、 科学技術分野で著名人が輩出している。アメリカンフットボールの強豪としても有名。