太平洋戦争当時の東京大空襲の被災者や遺族が、日本国に損害賠償と謝罪を求める訴訟を起したとのこと。 民間人被災者の救済をせず放置した国の責任、また日本国政府の戦争責任を問いたい、ということです。
軍人への補償が手厚い一方で一般被災者には援助がなされない格差がある、ということですが、 これは致し方ないところでしょう。国が戦え、といって戦場に送る以上、軍人本人やその家族への補償をするのは当り前。
現在なら、大地震といった天災による被災者へは何らかの援助があります。同じように戦争による被災者にも援助を、
ということなのでしょうか。それについては、気持はわかります。被災されてから、現在に至るまでに大変な苦労・
思いを乗越えて生きてこられたのでしょう。
が、天災と戦争ではやはり事情が異なるのでは?とも思います。どうなのでしょう、他の国では、
空襲の被害者は本当に全員が救済されているのでしょうか?私自身、戦争の経験がないため、的はずれな想像かもしれませんが・
・・。
引用記事では、『原告側は「東京大空襲が国際法違反の無差別爆撃だったことを裁判所に認めさせ、
戦争を始めた政府の責任を追及したい」として、旧日本軍が中国・
重慶で繰り返した爆撃などが米軍の作戦に影響を与えた点についても責任を明確にしたい考えだ。』とあります。
どうも、東京大空襲をアメリカに行わせたのは、日本軍の作戦の影響であり、
さらにはアメリカとの戦争に踏切った日本政府の責任である、という話のようです。
国際法違反の無差別爆撃、ということであれば日本ではなく、アメリカ政府を訴える方がスジだと思いますが、 なぜこういうストーリーになるのでしょうね。ちょっと理解できません。
asahi.com
東京大空襲、国を提訴 被災者ら112人
2007年03月09日13時33分
62年前、一夜のうちに約10万人の命が奪われたとされる東京大空襲の被災者や遺族112人が、 国に総額12億3200万円の損害賠償と謝罪を求める集団訴訟を9日、東京地裁に起こした。 空襲被害を受けた民間人として初の集団訴訟。原告側は「民間人被害者に何も援助をせず、 切り捨て放置した国の責任を問う」として、国家補償が整備された旧軍人・軍属と一般戦災者との格差の是非を問い直す。 遺族を含めた原告の平均年齢は74歳で、最高齢は88歳。
原告側は「東京大空襲が国際法違反の無差別爆撃だったことを裁判所に認めさせ、 戦争を始めた政府の責任を追及したい」として、旧日本軍が中国・ 重慶で繰り返した爆撃などが米軍の作戦に影響を与えた点についても責任を明確にしたい考えだ。 一般戦災者への補償や死亡者の追跡調査、追悼施設建設も求める。
戦傷病者戦没者遺族等援護法は、軍人・ 軍属で障害を負った人やその遺族に年金を支給するよう定めている。同法を一般戦災者にも適用しないのは違法として、 名古屋空襲の被災者2人が国家賠償を求めた訴訟は、最高裁で87年に敗訴が確定。一、二審判決は 「援護法の趣旨は国の使用者責任で補償すること。民間被災者との差別には合理的理由がある」とした。
中山武敏弁護団長は「空襲については被害者すべてを救済するのが世界の『人権水準』。 一般戦災者を切り捨てた国による差別が今も続く苦しみを耐え難いものにしている」と訴えている。
基本的には「軍事目標内部あるいはその周辺にいる一般住民は、目標に対する攻撃に伴って生じた損害については自ら負担しなければならない」ことになっているはずです。ですので、この訴え自体がおかしいということになりますね。
ただし、もし損害を受けた場所が「軍事目標ないしその周辺」でないと認められれば、あるいは損害賠償を求めることも出来るかもしれません。しかしその場合の訴えるべき相手はアメリカ政府であり、日本政府ではありません。どちらに転んでも、勝てる見込みのない訴訟ですね。
日本の戦争責任追求が好きなプロ市民にかつぎだされてしまった、という感じもします。
最近はヘンな判決が出ることがままあるので、ダメ元で訴訟を起したのかも知れませんね。