慶応大などのチームが、細菌のDNAにデータを書込み、数百年〜数千年保存できる技術を開発したとのこと。 シミュレーションでは、10文字程度の情報ながら、世代間を引継がれてゆき、数百年〜数千年の間データを保持できる、 ということです。
この技術により遺伝子組換え生物に署名を施して特許権侵害を判定できるかもしれない、ということですが、 保持できる期間を実証するのは困難でしょうね。「署名」とか「データ保存」と書くとニュアンスが違いますが、 要するにDNAに長期間消えない「焼印」を押す、ということですね。
人間に対し悪意で使うことが可能であれば(まだそこまでは技術が行着いていないだろうし、倫理の壁もあるが)、 いろいろな差別につながる恐れのある技術だと思います。
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生きた細菌にデータを保存 慶応大などのチームが開発
2007年02月21日11時01分
生きた細菌を「メモリー」または「ディスク」として使い、 データを数百〜数千年保存する可能性を持つ技術を慶応大などの研究チームが開発し、米国の化学専門誌に発表した。 遺伝子組み換え技術で作った細菌に遺伝暗号で書かれた「署名」を記録し、 知的財産権を守る技術などに応用できそうだという。
生物が遺伝情報を保持しているDNAは一種の記憶媒体で、遺伝子組み換え技術で、 人為的なデータを書き込むことができる。しかし、 DNAが親から子に伝えられるときなどにDNA配列が変わる可能性があり、保存データが壊れやすいのが課題だった。
チームは枯草菌(納豆菌)のDNAの4カ所に、同じ内容のデータを別々の形式で保存。 菌の世代が代わってDNA配列が変化したり壊れたりしても、元のデータを読み取れるよう工夫した。
その結果、10文字ほどのデータであれば、 細菌が世代交代を続けても数百〜数千年は保存できることが計算機シミュレーションでわかった。チームは「CD― ROMやハードディスクより長く保存できることになる」としている。
国内で品種改良した作物が海外に流出、「海賊版」として逆輸入される場合がある。
チームに加わるヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの大橋由明マネジャーは「この技術を応用し、 遺伝子組み換えした生物に『署名』を組み込めば、特許侵害がわかるかもしれない」と話している。