引用したasahi.comの記事は、今話題のアパホテルの構造設計における設計荷重が基準値の半分、という、 ちょっとセンセーショナルな見出し。設計担当はもちろん田村水落設計。
記事の内容は次のようなもの。京都市調べによると、アパホテルは、
一般的な目安である建築基準法施行令に示した値の半分程度で構造計算がされている。施行令と違う荷重を使う場合は、
根拠を示す資料が必要なところ、資料が添付されていなかった。
設計者は、日本建築学会の指針を採用した、と説明した。京都市は
「施行令以外の目安を採用する場合は根拠を示す資料を付けるべきだった」とコメント。
京都市のコメントは、どうも、 構造計算書に設計で用いた建築学会の指針を添付していれば良かった(根拠があれば荷重の大小は問題ではない)と受取れます。 建築物の安全性云々よりも、書類上の整合性や、資料の不備があるかないか、準拠する設計基準は何か、 というところに重点が置かれているのでは?公共事業の場合に行われる会計検査みたいです。
結局、引用記事では、「基準値の半分」という見出しで、一般大衆にアパホテルへの不安・ 不信感を持たせる効果はあると認めます。ただし、本質的な問題である、 一般的な目安である施行令より少ない荷重で建築物を設計した場合、その建築物の強度に不都合があるのかどうか、 全くわかりません。
設計荷重の妥当性は、問題のアパホテルの利用状況に即して推定される荷重値と、 設計に用いられている荷重の比較によって判断されることになると思います。どの基準、という論点ではないので、 京都市や田村水落設計では結論づけられないでしょうね。決着するためには、 第三者が利用状況の調査をするなどして判断するしか無さそうです。
asahi.com
アパホテル2棟、荷重を基準値の半分で算出 京都市調べ
2007年01月27日13時59分
耐震強度不足が発覚した京都市にあるアパグループのホテル2棟の構造計算書で、 建物の床などにかかる力を示す「積載荷重」を、建築基準法施行令で目安にしている数値の半分程度で算出していたことが、 京都市の調べでわかった。荷重が軽ければ床や柱に使う資材を減らすことができ、コスト削減につながるという。
同施行令では、実際の使用状況に応じて計算するとした上で、 事務室や廊下などの用途によって積載荷重の目安を具体的な数値で示している。市によると、一般的なホテルの床は、 住宅の居室などに適用する「1平方メートルにつき180キロ」が目安だが、2棟は100キロで計算していた。 柱は130キロの目安に対して、60キロだったという。構造計算書は、田村水落設計(富山市)が作成した。
京都市によると、目安と違う数字を使う場合は根拠を示す必要があるが、 2棟の計算書には根拠を示す資料は付いていなかった。
京都市の聞き取りに対して、水落光男1級建築士は「日本建築学会の指針を採用した」と説明したという。 同学会は93年、ホテルの客室の積載荷重を1平方メートルあたり床が100キロ、柱が60キロという値を示している。
京都市都市計画局は「一般的には施行令の目安を採用するが、 そうでない場合は根拠を示す資料を付けるべきだった」としている。



