国の要請で地方公務員の退職手当が削減されることになり、退職金が減らされないうちに、と駆け込み退職する公務員が問題になっています。
例えば、埼玉県やさいたま市では1月末に120人が退職し、中には担任教師が辞める例もあって、職責を果たす、という点から見て、社会的な批判もあるようです。
教職員の退職がよく報じられていますが、警察官など他の公務員も同様に駆け込み退職者は結構いるようです。
自治体によっては、この駆け込み退職を警戒して、退職手当削減を来年度にしたところもあるようですが、これはこれで、経費節減を先送りにし、結果的に損失を出していると批判を受けています。
この駆け込み退職は、職員が悪いのか、それとも制度がまずいのか、簡単に二者択一できる問題では無いと思いますが、期待される姿は、手当削減を速やかに行って経費を節減し、職員はそんなことは気にもかけず、自らの職責を果たしてから退職する、というものでしょう。
しかし、現実は理想のようにはいかないわけで、駆け込み退職をした教職員の方々は、最後に「人間の生き方とは」という問いを生徒らに投げかけることになったと思います。
この問いには明確な答えはありません・・・・是とするか非とするか、それは個々の考え方次第。
最近聞かなくなったように思いますが、モラルや道徳、という観点からなら、ある答えが出てくるのでしょうかね。
YOMIURI ONLINE
静かに先生辞め、泣き出す生徒も…駆け込み退職
公立学校教職員らの駆け込み退職問題で、120人の教職員が退職した埼玉県とさいたま市では1日、新たに臨時教員や非常勤講師ら93人の教員が着任した。
採用手続きの遅れなどで、採用する予定だった10人が間に合わなかったが、2月上旬までには着任する見通し。担任30人はすべて後任が決まった。
県南部の中学校では、教務主任の男性教諭が31日付で退職した。辞めることを生徒には言わず、いつも通りに授業をした後、同僚の教員から花束と拍手でねぎらわれ、静かに学校を去った。
校長などは1日、新たに着任した男性臨時教員に付き添ってクラスごとに事情を説明すると、泣き出す生徒もいたという。同校関係者は「早期退職が社会的に問題になったこともあり、大きな騒ぎにしたくなかったのだろう。苦渋の決断だったろうが、責める同僚はいなかった」と話す。
県南部の小学校では、音楽を担当する女性教諭が31日で退職した。音楽の臨時教員はすぐに確保できず、クラスを分割して授業を行う際に担任とともに授業をしていた女性教諭を音楽担当とし、1日付で着任した臨時教員をその後任に充てる“玉突き人事”で急場をしのいだ。
(2013年2月2日11時48分 読売新聞)
国の要請を受けた自治体職員の退職手当削減を巡り、埼玉県などで教員らの駆け込み退職が起きる一方、今年度は削減を見送り、4月1日以降とする方針の自治体が北海道、青森、三重、山口、鹿児島など13道府県、札幌、京都、熊本など8政令市に上ることが、読売新聞の取材でわかった。
これらの自治体が年度内に実施した場合の節減額は、少なくとも100億円と見込まれる。駆け込み退職は起きていないが、できたはずのコスト節減を先送りした形だ。
青森県は「周知期間、職員の将来設計を考えた」、三重県は「万が一の駆け込み退職と、県民サービスへの影響を考えての判断」としている。
他の自治体では、21都府県が年度内に実施。残る13県12政令市は、2月議会に条例案を提出するなど、実施時期を調整している。
官民の格差是正を目的とする改正国家公務員退職手当法が昨年11月に成立し、国家公務員の退職手当引き下げが1月1日から始まった。総務省は、自治体も速やかに実施するよう、昨年11月までに文書で都道府県に要請していた。同省によると、法改正による国家公務員の人件費削減は約130億円。
(2013年1月31日10時34分 読売新聞)
産経ニュース
「駆け込み退職」何が問題?
2013.1.31 00:37
Q 学校の先生の「駆け込み退職」が問題になっているね。なぜこういうことが起きるの?
A 国家公務員(こっかこうむいん)の退職金(たいしょくきん)が減らされることを受け、一部の県では学校の先生など地方公務員の退職金を2月から減らすことにしたんだ。3月末まで勤めて定年退職するよりも、1月中に辞めた方が退職金を100万円以上も多くもらえる計算なので、定年を待たずに辞めようとする先生たちが続出したんだ。
Q 退職金が減ってしまうなら、辞めても仕方ないのかな。
A そういう意見もあるけど、先生が相手にしているのは子供たちだよね。お金のために子供たちを置き去りにして辞めるなんて教育者らしくないぞ、という批判があるんだ。
Q 確かに、ぼくの先生が突然辞めたら、さびしいよね。
A 先生たちの行動は子供の手本。だからこそ、「聖職者(せいしょくしゃ)」とも呼ばれるんだよ。