2013年02月02日

[笹子トンネル崩落事故] 原因の一端は接着剤にあり?

国交省が笹子トンネル崩落事故の調査結果を発表し、天井板をつり下げているアンカーボルトのうち、設計上の強度を保持していたのはおよそ4割程度だったとのこと。

ボルトは接着剤で固定されていて、この接着剤の量が少なかったものもあったようです。また、経年劣化で接着力が弱まった可能性も考えられるようですが、現状ではまだ結論を出すまでには至っていないようです。

 

コンクリート壁や、ボルト自体の強度には問題が無かったとのことで、ボルトを固定していた接着剤の接着力不足が事故の原因の一端のようです。

設計上は、実際にかかる荷重の3倍強を見込んでいるそうなので、安全率としては平均的な値を見ているようです。

 

接着剤の経年劣化がどれぐらい影響があるものなのかはわかりませんが、永久にくっついている接着剤も考えられないので、劣化はしていたでしょうね。

その進行速度が、設計当時の想定よりも早かったのでしょうね。これは、トンネルに限らず土木構造物一般に言えることですが。

 

施工不良のボルトもあるようですが、経年劣化の影響に関しては、他の同様な構造物の劣化度合いの判断にも影響するので、中立的な姿勢で調査分析を行って結論を出して欲しいですね。

 

一方、事故に対する責任論では、
「きちんと施工されていればボルトの固定に問題は無く、事故も起きなかった」
「設計で経年劣化を考慮していないから事故が起きた」
とか、施工者・設計者の責任追及(その裏返しは管理者は悪くないんだ〜、という叫び)に向けた流れができつつあるように感じます。

YOMIURI ONLINE
笹子トンネル事故、ボルトの6割が想定強度不足

国土交通省は1日、山梨県の中央自動車道・笹子トンネル上り線で昨年12月発生した天井板崩落事故で、天井板をつり下げるアンカーボルトの約1割が強度不足で荷重に耐えられない状態だったとする調査結果を公表した。

ボルトはトンネル上部の穴に接着剤で固定され、実際の荷重の3倍超まで耐えられる想定だが、計約6割がこの基準を下回っていた。接着剤の保持力が時間とともに低下した可能性もあり、同省では、設計で経年劣化を十分考慮していなかったとみて調べている。

同日、同省の調査検討委員会で報告された。ボルトは長さ約13センチで、コンクリート製のトンネル上部の穴に差し込み、特殊な接着剤で固定されている。計7412枚の天井板は鋼材ですべて連結されているため、ボルト1本当たりにかかる平均荷重は1・2トン。強度に余裕を持たせるため、ボルト1本につき約4トン超の荷重に耐えられる分量の接着剤を使用している。

しかし、同省が残されたボルト計183本の強度試験を行ったところ、16本が1・2トンの荷重に耐えられなかった。97本は4トン未満で抜けてしまい、想定上の強度を保っていたのは約4割の70本だった。
(2013年2月2日01時33分  読売新聞)

 

asahi.com
天井ボルト、6割以上が抜ける状態 笹子トンネル

【村田悟】9人が死亡した中央自動車道笹子トンネルの天井崩落事故で、国土交通省は1日、天井板をトンネルに固定するボルトの約6割が調査で抜けたと発表した。ボルトはたとえ下に引っ張っても、きちんと固定されていれば抜ける前にボルト自体が折れる設計で、接着剤の不足などで強度が足りなかった可能性があるという。

国交省がトンネル内の崩落していない区間で計183本のボルトを引っ張って強度を調べたところ、113本が抜けた。うち16本は、天井板やつり金具を支えるだけの力もなかった。16本は崩落現場の周辺に集中しており、一部はさびていた。

引き抜かれたボルトには、先端の一部にしか接着剤が付着していなかったものが多数あったという。また、関係者によると、崩落現場でボルトが抜け落ちた穴の調査でも、接着剤は穴のごく一部にしか残っていなかったという。一方で、トンネルのコンクリート壁やボルト自体には、強度に問題は見つからなかった。

posted by いさた at 12:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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