アメリカの食品医薬品局が、クローン牛、豚、ヤギの肉と乳は食用にしても安全とする報告書を発表。 クローンである旨の特別な表示は必要ない、としているそうです。
アメリカの狂牛病への一連の対応を見ていると、今回の報告書をあまり信じる気にはなれません。 クローンである旨の表示は必要がないとしているのは、まずは黙って国外に輸出して、 人体実験をしてから自国内で販売しようとか思っていたりするかもしれませんねえ。
日本の厚生労働省も、3年ほど前にクローン牛の肉と乳について、安全性を認める報告書を発表しているとのこと。 世界的な食糧不足への対策として、クローン動物を食用にするというのも一つの手でしょうし、 食糧自給率の低い日本では切実な問題だと言うことは理解できます。
しかし、クローン動物を食用にする場合に本当に安全なのかどうかには、かなり疑問を感じます。 人間が作り出したものでそう都合良くいくものだろうか、事前に気づくことができない危険が潜んでいるのでは無かろうか、 という畏れ、という感じでしょうか。
どうしても食用にするのであれば、せめて、クローン動物使用(もしくは、 クローン動物不使用)の表示を義務づけるぐらいのことはして欲しい。
asahi.com
クローン動物の肉・乳は「安全」 米食品医薬品局が発表
2006年12月29日21時17分
米食品医薬品局(FDA)は28日、体細胞クローン技術で作った牛、豚、ヤギの肉と乳は 「人が食べても安全」とする報告書を発表した。食品として利用する際も、特別な表示は必要ないとした。 世界で体細胞クローン動物の肉や乳が市場に流通した例はないとされるが、米国では近い将来、 食卓に並ぶ可能性が出てきた。ただ、食肉業界などは消費者の反発を懸念し、慎重な対応を求める声も出ている。
体細胞クローンは、成長した動物の細胞の核を、核を除いた未受精卵に移植して作る。 96年に英国で哺乳(ほにゅう)類初の体細胞クローン羊「ドリー」が誕生。その後、 牛や豚などでも体細胞クローンが作られている。
報告書は、体細胞クローン動物の「危険性の評価」「危険管理」「産業界向け指針」の原案。 健康な体細胞クローンの牛、豚、ヤギと、その子孫の肉と乳について「入手可能な大量のデータを評価して、 食用としてのいかなる危険性も見いだせなかった」とし、「通常の繁殖で生まれた動物と比べ、 危険が増すとは認められない」と結論づけた。羊は、検討のもとになるデータが少なく、 現段階では食用にすべきではないとした。
FDAは今後3カ月間、一般の意見を広く聞き、「危険性の評価」などを最終決定する。「安全」 と確定すれば、市場への出荷が解禁される。
米国では現在、体細胞クローン動物は市場に出荷されていない。関連業界が自主規制している形だ。 FDAは評価などの最終決定まで、自主規制の継続を業界に求めるという。
だが、出荷が解禁されたとしても、体細胞クローン動物が実際に市場に流通するかどうか、 見通しははっきりしない。
関連業界では「大多数の消費者が容認しないのなら、 FDAはクローン動物の市場への提供に慎重であるべきだ」(米食肉協会)など、慎重な姿勢が目立つ。 「消費者の反発を買えば、売り上げ減となりかねない」と反対する声すらある。
体細胞クローン動物をめぐっては、日本でも厚生労働省研究班が03年、 体細胞クローン牛の肉と乳について、普通の牛と比べ「安全性が損なわれることは考えがたい」と、 安全性を認める報告書を発表している。