昨日、ニュースで第一報を見たときは、「崩落」というので地山ごとトンネルが崩落したのかと思いました。
が、状況が判明してきてみると、換気のためにトンネル内に設けたいたコンクリート製の吊り天井が100mほどの長さに渡って崩れたそうです。
救出活動は現在も続いているようですが、亡くなられた方もおられ、過去に無い惨事になってしまいました。被害に遭われた方にはお見舞申上げるとともに、亡くなられた方にはお悔やみ申上げます。
さて、事故原因はまだはっきりとはしていませんが、天井を吊っていた金具のボルトの抜け落ちが確認されており、設備の老朽化と施設の維持管理の問題が原因としては有力なようです(もちろん、それ以外に他の要因が影響している可能性もあります)。
トンネルの設計は専門外ですが、老朽化が原因としても、一度に100mほどの長さに渡って連鎖的な崩落が起きるものなのか、疑問に感じました。
天井板の支持方法にもよるのでしょうが、そんな脆い破壊の仕方はしないように配慮されている気がしますが、笹子トンネルが竣工したおおよそ35年ほど前は、設計思想が違っていたのでしょうか。
それとも、保守点検で異常に気づいておらず、結果的に大規模事故につながってしまったのか?
近年はトンネルに限らず橋や港湾など、公共インフラの老朽化とその保守が大きな問題になってきています。
トンネル以外でも、これから老朽化が原因の事故が出てくる可能性が高いでしょう。アメリカで橋が崩落する事故も起きていますが、これから同様の事態が日本で起きないとも限らない・・・・
公共インフラの点検はだいぶ進んでいる(ことになっている)そうですが、この事故を契機に保守点検の方法論の見直しが必要かもしれません。
さしあたって、笹子トンネルと同様な構造のトンネルが高速道路と国道をあわせて約50箇所あるそうです。
打音検査による緊急点検がはじまっているとのことですが、それで異常を発見できるかどうか、手法的に問題は無いのでしょうか。
asahi.com
トンネル崩落、復旧めどたたず 県警・消防の捜索続く
2日午前8時ごろ、山梨県大月市と甲州市にまたがる中央自動車道上り線の笹子(ささご)トンネルで、天井のコンクリート板が長さ約130メートルにわたり崩落した。県警などによると、少なくとも3台の車が下敷きになり、うち1台から複数の遺体を発見、別の車の1人も死亡を確認し、もう1台でも複数が亡くなったとみられる。ほかに2人がけがをした。県警や消防が、取り残された人の捜索を続けた。
管理する中日本高速道路(本社・名古屋市)は天井部の老朽化が崩落原因の可能性もあるとしている。県警は、管理上の問題がなかったか業務上過失致傷容疑などで捜査を始めた。
国土交通省によると、高速道路でトンネルの天井が崩落した死亡事故は過去に例がない。
中日本高速によると、笹子トンネルは上下線で分かれ、上りは2車線で全長4784メートル。崩落が起きたのは甲州市側から約3.2キロ付近で、換気のため天井部に設置されていたコンクリート板(縦約1メートル、横約5メートル、厚さ約10センチ)が崩れ落ちた。1枚の重さは約1トン。板をつり下げている隔壁部分ごと崩落したとみられ、270枚が落ちた可能性がある。
県警高速隊などによると、下敷きになったのは乗用車とワゴン車、保冷車。このうち乗用車とワゴン車から火が出た。ワゴン車で複数の遺体を確認し、保冷車の男性も死亡。乗用車でも複数の死者が出たとみられる。トンネル内ではほかに20台以上が身動きが取れなくなった。
事故後、トンネル内はスプリンクラーが作動し煙が立ちこめた。二次崩落の危険性があるため、支柱で補強しながらの救助作業が続いた。
けがをした2人は、ワゴン車に乗っていた神奈川県三浦市の女性(28)と、別の車に乗っていた甲府市の女性(37)。ワゴン車の女性は「ほかに5人が乗っていて、自分は3列目にいた。5人のことはわからない」と話しているという。
中日本高速によると、天井板は1977年の開通時から取り付けられ、これまで板を固定するボルトや金具を補修した記録はない。定期的に点検し、最近では今年9月に作業員が目で見て確認したが、異常は見つからなかったという。
中日本高速の金子剛一社長は記者会見し、「多くのお客様にご迷惑をおかけしていることをおわびします」と謝罪した。
中央道は現場付近の一部区間が上下線で通行止めになった。復旧の見通しは全く立っていない。
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〈笹子トンネル〉 山梨県甲州市と大月市にまたがり、1977年に開通した。片方向2車線で、上下線で分かれ、全長は上りが4784メートル、下りが4717メートル。1日あたりの平均の交通量は上下合わせて約4万6千台。休日は長い渋滞が起きることがある。高低差は約50メートルで、直線部分が多い。トンネル内の制限速度は70キロ。
中央自動車道上り線の笹子トンネル(山梨県)の天井崩落事故で、中日本高速道路は3日、崩落した天井板をつる金具をトンネル上部のコンクリートに固定するボルトが崩落現場付近で抜け落ちていたと公表した。また、現場を視察した羽田雄一郎・国土交通相は、同様の構造になっている全国のトンネル49本を緊急点検するよう、高速道路会社などに求める考えを示した。
国交省によると、笹子トンネルと同様のつり天井は高速道路で40本、国道で9本あるという。緊急点検では、金づちなどでたたいた音で異常を確認する「打音検査」を行う。また、国と中日本高速で調査委員会も近く立ち上げる。
中日本高速はこれまで、ボルト部分について、腐食などがないかを目視で確認してきた。3日から始めた緊急点検では打音検査に切り替えた。
笹子トンネルは、長さ約5.3メートルのつり金具で天井板をつり下げていた。金具には鋼材が取り付けられ、ボルト(長さ230ミリ、直径16ミリ)でトンネル最上部のコンクリートに打ち込まれており、接着剤で固定してあるという。崩落現場では、複数のボルトがコンクリートから抜け落ちていたという。
は持つわけない。
言われるように、金属パネルやプラスチックなど軽いものにしておけば、落下事故も起きにくいでしょうし、仮に起きても大事故にはつながらなかったかもしれません。
ただ、設計・施工していた時点では、コンクリートの方が耐久性など有利という思想だったのかもしれませんし、現実はそういった構造物も改修するなどして使って行かねばならない状況ですね。
対策工事をするにしても、通行止による社会的影響など、新しくトンネルを造るのとはまた違った問題があります。
トンネルや橋など、構造物の寿命は100年を目指していますが、自然環境の中にあるものは人間が考えるようにうまくいきませんね。
丁寧なメンテナンスと組合わせたら、100年まで寿命は延びるのか?
どんなに頑強に作ったとしてもそれがいつまでも頑強であるはずがありません。生きるものがいつかはその生涯を終える時があるように、建造物もいつかはその耐久限度を超える時を迎えます。そのことをしっかり認識していれば、35年も経っているにもかかわらず根本的な対策を講じていなかったことは、刑事責任を問われて当然です。
>それは、危機意識が欠如していたからではないのでしょうか。
事故の直前の頃にリスクの指摘があったらしいですが、今の段階では、基本的に事故が起きるという予想がされていなかったのでは、と推測しています。
それは、危機意識の欠如ということでしょうね。
設計思想として50年、100年の耐久力があると考えている(それは過信だったようです)ので、35年「しか」経っていない、という意識でしょうか。