国土交通省の調査によると、震災などの災害時の輸送のために指定されている「緊急輸送道路」にある橋のうち、震度7の地震で倒壊、崩落の恐れがある橋が全国で約1400ヶ所あるとのことです。
緊急輸送道路は、地域の幹線道路が指定されていることが多いと思いますが、古くから交通量が多い道路の橋は通行止にして架け替える、というのは簡単ではなく、古い橋も多く残っていると思われます。
やはり古い橋を現行耐震基準で見直せば、強度不足のものが出てくるのはやむを得ないでしょう。
2005年から耐震補強が進められており、全国の緊急輸送道路にある5万5000橋のうち、阪神大震災クラスの地震でも崩落しないものは補強したものも含めて5万3600橋。残る1400橋が補強が行われていないようです。
残る橋は都道府県管理だそうなので、財政あるいは技術的な面から、国の耐震補強よりは事業のペースが遅いのでしょう。
5万3600橋が大丈夫そう、ということですが、今年4月に新しくなった耐震基準(道路橋示方書)の場合、どうなるのだろう、という疑問はあります。東日本大震災クラスを考慮した場合、強度が基準に達しなくなるものが出てくるのではないでしょうか。
耐震補強を進めることも必要ですが、緊急輸送道路を何ルートか決めておいて、一部が使えなくなっても迂回ルートを確保するような、冗長性を確保していく対策も必要でしょうね。
YOMIURI ONLINE
緊急輸送道路の1400橋、震度7で崩落も
震災時に物資輸送などで使用される「緊急輸送道路」で、震度7の地震で倒壊、崩落の恐れがある橋が全国で約1400か所あることが国土交通省の調査でわかった。
首都直下地震が予想される首都圏では約400か所に上る。昨年3月の東日本大震災でも緊急輸送道路上の橋が崩落しており、同省は橋を管理する自治体に早急な対策を求めている。
同省は2005年以降、緊急輸送道路上の橋の耐震化を進めており、進展状況の調査で明らかになった。今年3月末現在、緊急輸送道路上の橋(全長15メートル以上)は全国で約5万5000か所。耐震基準を満たしていない橋のうち、約1万1600か所は阪神大震災クラスの揺れを受けても崩落しないよう補強が完了した。
残る約1400か所は都道府県管理の橋で、補強も未実施のため震災で倒壊、崩落の恐れがある。このうち約3割は、首都直下地震の際に緊急車両が利用する1都7県に集中している。
(2012年7月19日09時51分 読売新聞)