イーホームズの藤田社長に、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の有罪判決が下りました。検察側が主張する、 見せ金の件と構造計算書偽造を見逃した件との関連は認められませんでした。確かに、検察側の主張はこじつけ気味で、 苦しいのは苦しい。
藤田社長自身、控訴はしない方針だそうですが、自らの耐震偽造に関する責任は無い、との立場は崩していないので、
いわば事件の本質と関係のないところで有罪となった、というところでしょうか。
藤田社長の主張は、国が悪い・建築確認のシステムが悪い、自分はシステムに従ってビジネスをしていただけで責任は無い、
ということだと思います。法律やシステムの規制・マニュアルを犯していない、よって責任は無い、という感じでしょうか。
しかし、これでは問題の建物を買ってしまった住民や、実際に建築物の設計や施工に関わる実務者の意識とは、
永遠に平行線なのか、とも思います。
実務者の良心からは、確認やチェックと言えば、国が認定したソフトを使っているからOK、
なんてことでは済ませられませんし、欠陥構造物が実際に出来て、永久ではないにしろ後世に残ると考えると、
いい加減なことはできないな、とちょっとした恐怖感を覚えます。
単に規則を犯していないから問題は無い、という意識は、 ものづくりの世界では余にもビジネスライク過ぎるように思います。株の取引ならそれでもいいんでしょうが・・・・
毎日インタラクティブ
耐震偽造:「本当に悪いのは国だ」藤田被告まくしたてる
「罰は受けるが、本当に悪いのは国だ」。耐震データ偽造事件を巡る初の判決で、 18日に東京地裁で有罪を宣告された民間の指定確認検査機関「イーホームズ」社長、藤田東吾被告(45) は判決後の会見でまくしたてた。一方、耐震偽装マンションの購入者からは改めて、やり場のない怒りの声が上がった。 【高倉友彰、篠田航一】
午前10時、東京地裁506号法廷。グレーのスーツ姿で出廷した藤田被告は時折、 天井を仰いだほかは表情を変えず、裁判長の判決文朗読にじっと聞き入った。 有罪と認定された見せ金増資と耐震偽装との因果関係を判決が否定すると、判決後、弁護人と硬く握手し、笑みを漏らした。
元1級建築士の姉歯秀次被告(49) =建築基準法違反などで公判中=による多数のデータ改ざんを見逃しながら、昨年10月に国土交通省へ事件を通報したと 「功績」を強調。公判でも確認制度の不備を訴え、自らは責任がないとする主張を続けてきた。
会見では「検察官が主張した耐震偽装との因果関係を判決は否定した。それで十分。非常にうれしい」 と控訴しない考えを表明。さらに「国が(データを偽装しやすい)認定プログラムを作ったのが問題だ。 国もマスコミも間違いに気付くだろう」と声を荒げ、一連の経緯を記した「暴露本」を出版することも明らかにした。
一方、イーホームズの建築確認を受けたマンション「グランドステージ東向島」(東京都墨田区) の元住民男性(33)は「怒りのぶつけようがない。 偽装を見逃した検査機関の責任をきちんと裁けなかったのは法の落ち度ではないのか。残念だ」と沈痛な面持ちで話した。
毎日新聞 2006年10月18日 11時18分
asahi.com
イーホームズ社長の藤田被告に有罪判決 東京地裁
2006年10月18日11時14分
耐震強度偽装事件にからみ、 国から確認検査機関の指定を取り消されたイーホームズの見せ金増資事件で、電磁的公正証書原本不実記録・ 同供用の罪に問われた社長の藤田東吾被告(45)の判決が18日、東京地裁であった。青柳勤裁判長は 「業績をあげるためには脱法行為もいとわず、安易で身勝手な考えが読み取れる」と述べ、懲役1年6カ月執行猶予3年 (求刑懲役2年)を言い渡した。一連の耐震偽装事件の裁判で判決は初めて。
青柳裁判長は、耐震偽装と見せ金増資の因果関係について、「証拠上明らかでなく、 量刑にあたり考慮すべきではない」と述べ、否定的な認識を示した。
検察側は立証にあたって、 イーホームズが構造計算書の偽造を見逃していた背景に同社の不十分な検査態勢や利益を優先する被告の経営姿勢があったとの構図を描き、 見せ金増資事件を耐震偽装見逃しの「主要な原因」と位置づけていた。
これに対し判決は「検査機関の指定を受けるため資本を偽った犯行と、 構造計算書の偽造を見逃した問題との間には、業務拡大に伴う組織や人の拡充程度、 国交省認定の構造計算プログラムの変更など、様々な要素が介在している」と述べた。
藤田被告は公判で起訴事実については全面的に認めたが、 「偽装の見逃しとは全く関係ない」と主張。弁護側も「検察官は見逃しの結果だけを指摘している。 自治体などほかの審査でもすべてが偽装を見逃し、不可抗力だった」としていた。
発覚してもバックに権力があればもみ消してもらえるから安心、といったところか。