asahi.comの引用記事なんですが、要するに、50代の女性が自分の娘夫婦の受精卵で代理出産し、
戸籍上は娘夫婦の養子となっている、という事例があった、というニュースです。
言うなれば、祖母が自分の孫を代理出産した、ということになるでしょうか。遺伝学的・生物学的には、
娘の卵子を祖母が育てると祖母側の影響のあるのだろうか、無いのだろうか?
私個人の場合、不妊というわけでなく、ごく自然に二児の親になりました。正直に言って、 代理出産という手段まで使って子供が欲しい、という人の心情は理解できません。男ですので、 女性の方の心情はもっとわかりません。
ですので、こういう意見になるのかもしれませんが、ここまで来ると、生き物としての生殖・繁殖ではなくて、
受精卵を「原料」に、人間の子宮を「工場」として、子供を「製造」している、という感じを受けます。
もし、私が不妊に悩んでいたとしたら、代理出産してもらってでも自分の子供を・・・とまでは思わないでしょうね。子供を
「製造」したいとは思わない。
現在、代理出産という技術があり、それを望む人がいて、実際にその技術で生れてくる子供がいます。
既成事実に対して、代理出産が違法かどうか、とか生れてきた子供の戸籍の扱い、といった問題もあるでしょうが、
まずは代理出産という行為が良いのか悪いのか、倫理面からの議論をする必要があると思いますね。
asahi.com
50代女性が代理出産、娘夫婦の受精卵で 国内初
2006年10月15日22時09分
50代後半の閉経後の女性が、娘夫婦の受精卵を子宮に入れて妊娠、昨春に出産していたことを、 諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘(やひろ)院長が15日、 東京都内で記者会見を開いて明らかにした。国内で「孫」を代理出産した事例の公表は初めてだ。 子どもは女性の子として届けた後、娘夫婦と養子縁組したという。こうした代理出産は、家族関係が極めて複雑になる。 日本産科婦人科学会(日産婦)は会告(指針)で代理出産を禁じているが、法律の取り決めはない。 是非や法整備をめぐる議論が活発化しそうだ。
根津院長によると、娘は30代で、約4年前に子宮がんで子宮を摘出。2年前に 「母が産むと言ってくれている」と院長にメールを送り、代理出産を相談した。
その後、女性と夫、娘夫婦の計4人が、約2カ月間に3、4回、院長と話し合った。院長は、 高齢出産が心臓や脳血管などに及ぼす危険性について蓄積されたデータがなく、命にかかわる危険もあり得ること、 女性がすでに閉経し自然に妊娠できない状況なので、女性ホルモンを使う必要があることなどを説明。 人間ドックの結果などから、女性に高血圧など特に心配な症状がないと判断し、娘夫婦の受精卵2〜3個を子宮に入れた。
女性は昨春、約2400グラムの赤ちゃん1人を出産。赤ちゃんの性別は明らかにされていない。 女性は出産後、自律神経失調症など更年期に特有な症状が強く出たが、女性ホルモンを一時補充することで解決したという。
根津院長は会見で、米国人の代理母が産んだ、 タレント向井亜紀さん夫妻の子どもの出生届を巡る裁判に触発され、今回の公表に踏み切ったと述べた。また、 「親子愛のもとで行われる実母による代理出産は、子どもの引き渡し拒否や補償などもなく、 (姉妹間や第三者による代理出産と比べて)一番問題が起こりにくい」と主張した。以前に公表した2例も含め、 これまでに姉妹などによる計5例の代理出産を手がけたとしている。
日産婦倫理委員長の吉村泰典慶応大教授は、学会の会告違反は明白で事実確認をするとしながらも、 「代理出産について国の方針が定まっていない現状では、法による禁止を見込んで決めた会告違反だけを根拠に、 除名などの処分を下すことはできない。学会レベルで議論するには大きすぎるテーマだ。 国内外での代理出産ですでに生まれた子どもの権利をどう確保するかを含めて、もっと社会全体で話し合う必要がある」 としている。
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〈キーワード:代理出産〉 子宮を失ったり、元々なかったりする女性に代わり、別の女性(代理母) が子どもを産む方法。夫の精子を代理母の子宮に注入する方法と、夫婦の受精卵を代理母の子宮に移す方法がある。
今回のように娘夫婦の受精卵を使って娘の母親が代理出産したのは、 87年の南アフリカでの例が最初とみられる。前の出産時の出血で子宮を摘出した25歳の娘に代わって、 48歳の母親が三つ子を産んだ。 94年には匿名の第三者から娘夫婦に提供された受精卵を使って娘の母親が代理出産した英国の事例や、 子宮内膜症で不妊の娘に代わって55歳の母親が出産した米国での例が公表された。
代理出産は欧州ではフランスやスイスなどが禁止し、英国は非営利のみ認める。中国衛生省は今年4月、 代理出産を禁じる方針を示した。米国は一部の州が州法で手続きなどを定めている。