パキスタンのムシャラフ大統領が、アメリカCBSテレビに対し、9.11テロ発生当時、 アメリカに協力するように当時のアーミテージ国務副長官に脅されていた、と語ったそうです。
脅し文句は「空爆で石器時代に戻る覚悟をしろ」といった調子で、かなり無礼なものだったらしいです。 アーミテージ氏本人は、発言を否定しているそうですが、こういった内容では双方の言分があわないことの方が多いので、 結局はよくわからないことになってしまいます。
しかし、脅しがあった、という点については、アメリカの態度として不思議には感じないので、 なにがしかの圧力はかけたのでしょうね。とにかく、脅しの効果かどうかはわかりませんが、 結果的にパキスタンはアメリカにいろいろと協力していますね。
ところで、ムシャラフ大統領の発言のタイミングがなぜ今なのか、ということですが・・・先日のベネズエラ大統領の 「ブッシュは悪魔だ」国連演説が影響しているのでしょうか。
毎日インタラクティブ
パキスタン大統領:「アーミテージ氏に脅されていた」
【ワシントン和田浩明】パキスタンのムシャラフ大統領が米CBSテレビに対し、 01年9月の米同時多発テロ直後、対テロ戦争に協力しなければパキスタンを空爆するとアーミテージ米国務副長官(当時) が脅していたと語った。アーミテージ氏は「空爆で石器時代に戻る覚悟をしろ」などと「極めて無礼な調子」 (ムシャラフ氏)で協力を迫ったという。放映に先立ち、CBS電子版が21日報じた。
ウサマ・ビンラディン容疑者ら同時テロを実行した国際テロ組織アルカイダの幹部は当時、 アフガニスタンの旧タリバン政権に保護されており、タリバンはパキスタンの情報機関などと密接な協力関係にあった。 01年10月に米軍が開始したアフガン攻撃で同政権は崩壊し、 ビンラディン容疑者らはパキスタンとの国境地帯に身を隠したとされる。
CBSによると、ムシャラフ氏は、米側の要求はパキスタンの情報長官に伝えられたと説明。 アーミテージ氏は、対タリバン作戦のためアフガン国境に近い基地の米軍への提供を求め、拒否するなら「空爆され、 石器時代に戻る覚悟をしろ」と発言したという。発言の時期は明らかにされていない。
これに対しアーミテージ氏は、引用された表現を使ったことは否定したものの、 強く協力を求めたこと自体は認めたという。ムシャラフ氏は「国益のために行動した」と説明。 パキスタンはその後タリバンと断交し、米国の対テロ戦争に協力した。ブッシュ米大統領はパキスタンを 「重要なパートナー」と評価している。
毎日新聞 2006年9月22日 12時46分
asahi.com
「ブッシュは悪魔」 ベネズエラ大統領の国連演説に拍手
2006年09月21日10時22分
国連総会一般討論で20日、ベネズエラのチャベス大統領が登壇し、ブッシュ大統領を名指しして8回も 「悪魔」と呼ぶ、国連史上例のない激しい演説をした。
チャベス氏は、前日ブッシュ大統領が同じ演台から演説したことを念頭に「悪魔が昨日ここにきた。 まだこの演台は、地獄のにおいがする」と述べてから、十字を切り、 両手を合わせて天を見上げるなどパフォーマンスを披露。演台を示しながら「ここで、私が悪魔と呼ぶ米国大統領が、 世界を所有しているかのような演説をした。精神科医に分析してもらうべきだ」とこき下ろした。
一般討論の演説は15分ずつと定められているが、9分近くオーバー。 前日6分近くオーバーしたブッシュ大統領よりも長かった。原稿なしで、大半を米国批判に費やしたが、 終了後は他の演説より長い拍手を受けた。
演説後、米国のボルトン国連大使は「これは侮辱だ」としつつ「あのような演説に反応はしない」 とコメント。記者団から「あの演説が大きな拍手を受けたことは、課題があることを示しているのでは」と問われ 「チャベス大統領はこの国で言論の自由を行使できる。彼が自国民に言論や報道の自由を認めないのはとても残念だ」 と切り返した。
国連本部では「演台を靴でたたいた旧ソ連のフルシチョフ首相演説以来の珍事。 総会の品位といったことよりも、こうした演説が喝采を受けてしまう国際社会の現状の方が深刻だ」との声も上がった。