30年以上前に使用されていた水銀系の農薬が土壌に残留、河川から海へと流出し、 現在も東京湾を汚染している可能性が高い、しかもそれは今後数十年続くらしい、ということです。健康被害に関する評価は、 今後の課題ということです。
水銀系の農薬は1970年代に使用が禁止されたが、80年代以降、東京湾の堆積物中の水銀濃度は、
自然状態と考えられる濃度の5倍程度で変動がほとんどないらしい。
ということは、長期間にわたり濃度を保てるほどの水銀が土壌に残留している、ということで、水質汚染もさることながら、
水銀の供給源となっている土壌汚染はより深刻な状態ではないだろうか。
健康への影響については言及されていませんが、水銀、と聞くと思い出すのは水俣病。一般の関心事は、 まず健康への影響だと思いますが、速やかに評価を行うべきです。
研究により明らかになったのは、過去に使用した有毒物質による汚染、とまさに「負の遺産」ですが、程度の差はあれ、 同じ事例は東京湾に限らないでしょうね・・・・
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土壌の水銀、東京湾を汚染 30年前の農薬が雨で流出
2006年08月31日09時54分
30年以上前に農薬としてまかれ、土壌に残留した水銀が雨で河川に流れ出し、 今も東京湾を汚染している可能性が高いことが分かった。静岡県立大環境科学研究所の坂田昌弘教授(環境化学) らの研究で明らかになったもので、使われた水銀量から推定すると、東京湾の水銀汚染は今後、数十年は続くと、 坂田教授はみている。ただ、専門家は「健康への影響を重大に考える必要はないのではないか」との見方を示している。
研究成果は、米国で今月開かれた第8回水銀国際会議で報告された。坂田教授や別の研究者の調査で、 東京湾の堆積(たいせき)物中の水銀濃度は、水銀系農薬の生産や使用が全面的に禁止された70年代に急減。 ところが80年代以降は下げ止まり、自然の状態で考えられる濃度の5倍ほどでほとんど変動していないという。
坂田教授らは03年12月〜05年1月、当時勤務していた電力中央研究所と共同で、 東京湾に出入りする水銀量を調べた。(1)大気から雨と一緒に降ったり、ガスや粒子として落ちたりする量(2)多摩川、 荒川、江戸川からの通常流入量(3)海底への堆積量(4)海面からの揮発量(5)湾外への流出量――の5項目だ。
この結果に基づき、湾内の面積や水の流入出量などを考慮し、湾全体の年間の水銀量を算出。「入」は (1)が37キロで、(2)が70キロで計107キロ。一方、「出」は(3)495キロ(4)49キロ(5) 13キロで計557キロだった。差し引きで年間450キロ「出」が多くなった。
降雨を考慮に入れて再度、調査を実施。降雨のない時と2回の台風時について、 多摩川で微量重金属の濃度を比べたところ、台風時に水銀は16倍と50倍に増加していた。 ほかの主な重金属はおおむね数倍程度にとどまった。坂田教授らは、農地の残留水銀が雨で河川に流れ出て、 東京湾に運ばれている可能性が高いと結論づけた。ただ、魚類に蓄積することによる人への健康リスクの評価は、 今後の課題という。



