北方領土で根室の漁船がロシア警備艇に銃撃され、4名の乗組員のうち、1名が死亡、 他の3名は警備艇に連行されたらしいです。
北方領土付近の漁船の操業については、民間協定が交されていて、 違反した場合はロシア側から取り締りを受けることがある、ということですが、 漁船側に銃撃されるような協定を破る行為があったかどうかは現在不明です。
根本的にはロシアとの北方領土の問題があり、現実はロシアが実行支配をしていますが、 死者が出るとは穏やかではない状況。外交問題になるのか。
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ロシア警備艇、根室の漁船を銃撃 1人死亡
2006年08月16日11時30分
16日午前7時40分ごろ、北海道根室市の根室湾中部漁協から根室海上保安部に入った連絡によると、 同漁協所属のカニかご漁船「第三十一吉進(きっしん)丸」(4.9トン、4人乗り組み)が、 北方四島海域の貝殻島付近でロシア・サハリン州国境警備庁に拿捕(だほ)された。その際、 ロシア側から漁船の乗組員が銃撃を受け、乗組員4人のうち1人が死亡した。第1管区海上保安本部(北海道小樽市) によると、死亡したとされるのは甲板員の根室市千島町1丁目、盛田光広さん(35)。乗組員によると、 盛田さんは頭部を撃たれたらしい。
1管本部がサハリン沿岸国境警備局に電話で確認したところ、(1)日本漁船を拿捕した(2) 乗組員1人が死亡、他の3人は無事(3)漁船は取り調べのため北方四島・国後島の古釜布(ふるかまっぷ) に連行している、との回答があった。
根室海保所属の巡視船「さろま」と巡視艇「かわぎり」が現場海域に急行して情報収集にあたっている。
第1管本部によると、亡くなったとされる盛田さん以外に拿捕(だほ)されたのは、 根室市温根沼の坂下登船長(59)と、いずれも甲板員の同市明治町1丁目、川村昭充さん(29)、同市昭和町4丁目、 紙屋春樹さん(25)の3人。
水産庁によると、貝殻島周辺はロシア側の主張する領海の境界線に近い。日ロの漁業協定では、 ロシアの主張する領海内で日本漁船によるタコやスケトウダラなどの漁が認められているが、 カニ漁は全面的に禁止されている。
同庁は、拿捕されたのは、 日本の領海内で操業する許可を北海道知事から受けている漁船ではないかとみて確認している。
2006年08月16日11時26分
北方領土海域で日本漁船が銃撃、拿捕(だほ)された事件を受け、政府は16日午前9時30分、 首相官邸にある危機管理センターに情報連絡室を設置した。二橋正弘官房副長官が外務省、 海上保安庁などに情報収集を指示。乗組員の安否のほか、 漁船が撃たれた場所や操業が違法なものだったのかどうかを中心に情報収集を急いでいる。 外務省はロシア側に事実関係を確認したうえで抗議する。
長勢甚遠官房副長官は同日午前、首相官邸で記者団に「大変遺憾なことだ。 しかるべき抗議もしなければならない。事態把握に努めたい」と語った。小泉首相には秘書官を通じて報告した。
内閣府などによると、日ロ両国は民間協定などで同海域での漁船操業について取り決めを交わしている。 違反行為があった場合には海域を実効支配しているロシアの国境警備隊が取り締まり、拿捕や威嚇射撃を伴うことがある。 ただ、カニ漁についての取り決めはないという。
政府は情報を慎重に分析している。同日昼には外務省の原田親仁欧州局長がロシア大使館幹部を呼び、 事実関係の確認を要求。死亡者が出たことに抗議したうえで、拘束されている船員の早期解放を求める。