2011年07月17日

[福島第一原発事故] 事故収束へのステップ1はほぼ達成?

 福島第1原発事故の収束に向けた工程表では、今日17日がステップ1の期限だそうです。政府と東電は、 これについてはほぼ達成できたとする見解をまとめており、19日に発表になる予定だそうです。

 「放射線量の着実な減少」が大きな目標であり、これについては放射性物質の測定結果から着実に減少している、 という判断のようです。

 確かに減少傾向にはあるのでしょうが、放射性物質が漏れ続けているのは間違いなく、 また汚染水浄化装置の度重なる故障など、とても順調とは言えない状況だと思われます。

 

 さらに、次のステップ2では原子炉を冷温停止状態にするのが目標で、 こちらは来年1月中旬の期限を前倒しで実現すると菅首相が意思表明をしたそうです。

 これは「脱原発」表明の時と同様に私的見解なのでしょうか、それとも前倒しのメドがある程度立っている、 という前提での発言なのでしょうか。前者の可能性が高そうですが。

 「工程表」は、とにかく目標達成出来るように関係者の方々にがんばっていただくしかありませんが、 自画自賛するような甘い評価でその局面局面をしのいでいくような姿勢はとって欲しくありませんね。

 

 さて、原子炉自体の事故処理が進んだとしても、すでに外部に放出された放射性物質の対策は、 牛肉のセシウム汚染問題が発生するなど、そう簡単ではないようです。

 例えば福島原発から100キロ以上離れた地域でも、 屋外にあった稲わらは安全基準値の400倍近い高濃度のセシウムが検出されるなど、 政府が想定する以上に広範囲にわたっています。原子炉が冷温停止に至るまでに間に、より広範囲に、例えば日本全体、 といったレベルで放射性物質が広まるのではないでしょうか。

 

 セシウムは半減期が30年と長期間であり、こんな放射性物質が水やら土やら空気中やら、広い範囲に拡散してしまうと、 こちらの除染の方がはるかに時間がかかります。

 果たして、放射性物質で汚染された土地から退去する、あるいは汚染された食物を摂らないよう注意する、 といったこと以外に、有効な対策を打つことが出来るのでしょうか。

 

 

YOMIURI ONLINE
工程表の第1段階ほぼ達成…避難準備区域解除へ

 政府と東京電力は、福島第一原子力発電所の事故収束までの道筋を示した「工程表」について、 今月17日に期限を迎える第1段階(ステップ1)の主な目標はほぼ達成できたとする見解をまとめた。

 細野原発相が19日にも新たな工程表とともに発表する。原発は安定的に冷却され、 水素爆発などが発生する危険な状態もほぼ脱したとして、福島県南相馬市の一部など5市町村にまたがる「緊急時避難準備区域」 の指定解除に向け、地元との最終調整を進めることも新工程表に盛り込む方針だ。

 工程表は4月17日に発表され、ステップ1、2の段階を経て、来年1月中旬までに原子炉が安全に停止する「冷温停止」 を達成する道筋を示した。

 今月17日までのステップ1では、「放射線量の着実な減少」を目標に、原子炉や使用済み核燃料一時貯蔵プールの 「安定的な冷却」、「汚染水の処理」などの作業手順を示している。

 政府と東電は、原発敷地内や原子炉建屋上空の測定結果から、事故発生以降、 放射性物質の放出は着実に減少していると判断した。
(2011年7月14日03時03分  読売新聞)

 

菅首相、冷温停止の「ステップ2」前倒しを表明

 菅首相は16日、福島県郡山市内のホテルで、 東京電力福島第一原子力発電所の周辺12市町村の首長らとの意見交換会に出席した。

 首相は、原発事故の収束までの道筋を示した「工程表」に関し、来年1月中旬までに原子炉を冷温停止状態とする 「ステップ2」を前倒しで実現する考えを示した。 出席者によると、同席した細野原発相が、17日が期限の「ステップ1」を 「ほぼ達成できた」と報告し、首相は「多くの皆さんが故郷に帰れるように『ステップ2』を前倒しさせたい」と語った。

 また、首相が「脱原発」方針を私的な見解だったと閣僚懇談会や国会で説明したことに関し、脱原発を支持する首長から 「本当にがっかりした」などと批判が出た。これに対し、首相は政府として見解を統一する意向を示したという。

(2011年7月17日01時27分  読売新聞)

 

汚染稲わら使用、郡山などの5戸も…84頭流通

 福島県の畜産農家で高濃度の放射性セシウムに汚染された稲わらが肉牛に与えられていた問題で、同県は16日、 新たに郡山市2戸、喜多方市2戸、相馬市1戸の計5戸の畜産農家でも汚染された稲わらが与えられ、 計84頭がすでに出荷されたと発表した。

 3月28日から今月13日にかけ、同県内に19頭、東京都に53頭、埼玉県に8頭、山形、 宮城県に各2頭がそれぞれの食肉処理場に出荷され、うち1頭の肉の一部は、愛媛・松山市で販売され、完売していた。

 15日に行われた福島県の立ち入り調査でわかった。同県内でこれまでに判明した南相馬市の17頭、 浅川町の42頭と合わせると、汚染された疑いのある牛の出荷は計143頭になった。

 喜多方市は福島第一原子力発電所から約100キロ・メートル離れている。また、 郡山市の1戸の稲わらから検出されたセシウムの最高値は、1キロ・グラムあたり50万ベクレルに上った。 牧草の規制値は同300ベクレルで、水分を含んだ状態に換算すると規制値の379倍に相当する。

 5戸の農家では、原発事故後約3週間〜2か月間、稲わらの一部を自宅近くの水田など屋外に置いたままにしており、 この間に放射性物質が付着したとみられる。喜多方市の1戸を除く4戸からは、 事故後も屋外に置かれていた稲わらから規制値を超えるセシウムが検出された。喜多方市の1戸では、 全て使い切ったためサンプルが採れなかったが、約1か月間屋外に置いていたことから、県は「汚染された可能性が高い」 と判断した。

(2011年7月17日01時40分  読売新聞)

 

 

posted by いさた at 02:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 環境問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

人気ブログランキングへ 【当ブログや記事を評価していただける方へ】
最後までお読みいただきありがとうございます。m(_"_)m
上のバナーをクリックしていただけると励みになります。

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック