昨日の夜、福島第一原発内にある大量の放射能汚染水を浄化し、原子炉の冷却に再利用するための浄化装置の運転をはじめた、というニュースが流れていましたが、5時間ほど運転したところで、放射性物質(セシウム)吸着装置にたまった放射線量が早くもフィルターの交換基準に達してしまい、運転を停止したそうです。
この浄化装置は、宇宙戦艦ヤマトで言うところの「コスモクリーナー」的な一種の救世主的装置でしょうか、昨夜のニュースでは、関係者の方々は本格運転がはじまって一段落、といった感じの表情でしたが、これでまた一転して暗礁に乗り上げた感じですね。
装置の仕組みは4段構えで、油の除去→セシウム除去→他の放射性物質除去→塩分除去となっているそうですが、それぞれに違うメーカーの技術を組み合わせたもののようです。
このような事態のためにじっくり研究して準備していた、といった類のものではないでしょうから、試運転時の水漏れなどは仕方がない面もあると思います。
不測の事態は何とか対応を考えて手探りででも進んでいかねばなりませんが、次々に問題が出てきますね。
セシウム吸着装置は、除去機器に何らかの問題があるのか、それとも測定機器に何か問題があるのか。急速に原因を究明しないと、建屋から汚染水があふれ出す事態になってしまうようです。
それよりも、単に東電などの発表以上に放射性物質が漏れている、という原因が考えられますが、元記事では触れられていません。
汚染水にしても、原子炉の建屋自体にどれぐらいの水密性があるのか疑問に思っていますが、そこに触れられることもありませんね。
詳しい状況がわからない、ということもあるでしょうが、施設の経年変化、あるいは地震の影響で建物のどこかにクラックが入っているかもしれず、汚染水が既に地下に浸透していっている可能性もあると思われます。
原発の施設に詳しいわけではないので、杞憂であればよいですが。
asahi.com
放射能汚染水浄化装置が本格稼働 継続運転には不安も
2011年6月17日22時3分
東京電力は17日夜、福島第一原子力発電所内に大量にたまった高濃度の放射能汚染水を浄化する装置の稼働を始めた。浄化した水を再び原子炉内に戻し、燃料を安定して冷却する「循環注水冷却」に欠かせない装置。だが、浄化装置は試運転で相次いでトラブルを起こしており、稼働後も運転が順調に続くかどうかは未知数だ。
東電は18日にも、循環注水冷却を始めるとしている。循環注水冷却が動き出せば、事故収束の工程表で示した「安定的な冷却」を7月中旬までに行うという目標を期限通り達成できるとしている。
原子炉の安定した冷却の実現と、外から原子炉に注水することで増え続けている放射能汚染水の処理は現在、事故を収束させるための最大の課題だ。循環注水冷却は、タービン建屋などにたまった高濃度の放射能汚染水を利用して、原子炉の燃料を冷やす仕組み。東電は、この仕組みが動くと両方解決できるとしている。
2011年6月18日12時22分
東京電力は18日、福島第一原子力発電所にたまっている高濃度の放射能汚染水を浄化する装置の運転を停止したと発表した。同日未明に放射性セシウムを吸着させる装置が、想定より早く基準の放射線量に達したためだという。17日夜の本格稼働からわずか5時間での停止。原因は不明で復旧のめどは立っていない。浄化した水を再び原子炉に戻し、燃料を安定冷却する「循環注水冷却」に18日に入る予定だったが、開始できなくなったという。
この装置は、セシウムを吸着する鉱物のゼオライトを入れた円筒形のカートリッジ(直径90センチ、高さ2.3メートル)が並んでいる。この間をパイプでつなぎ汚染水を通していく仕組み。計測装置で基準の毎時4ミリシーベルトに放射線量が上がるとカートリッジを交換する予定にしていた。吸着装置は米キュリオン社製で、交換基準は作業員が高線量の被曝(ひばく)をしないために設けられている。
東電によると、18日午前0時54分ごろ、稼働させた2系統のうちの1系統で、油などを除去する入り口側の部分で、放射線量の計測値が毎時4.7ミリシーベルトになった。残りの系統も3.9ミリシーベルトを示したという。この部分の交換は、1カ月に1回の想定で、これほど短時間で基準を超えることは考えにくいという。
東電福島事務所は「原因が判断できないので止めた」と説明している。現時点で水漏れなど異常は見られないが、原因を突き止めないと、運転再開はできない。