2006年07月04日

PCケーブル キックバック

 引用記事で言うところのピアノ線、まあ専門的に言えばPCケーブルで、ピアノ線と言われる方が違和感がありますが、 メーカーと業者間のキックバックが明らかになりました。

 キックバック自体が違法かどうかはともかくとして、資材価格を高止りさせる効果はあったでしょうね。まあ、 公共事業の積算価格(の調査方法)にも問題はあると思うので、一概に民間だけの問題でも無かろう、というのが正直な感想。
 国交省が対策の検討を始めるようですが、価格のみに注目するのではなく、品質を担保できる仕組みを考えていかないと、 シンドラーエレベータのような事態を招いてしまいます。

 末端ながら、公共事業に関係する身からすると、また恥ずかしいことになりました・・・

 

毎日インタラクティブ
キックバック:橋梁工事ピアノ線取引、“裏値引き” で10億円山分け

 橋梁(きょうりょう)建設工事に使うピアノ線(PC鋼線)の取引で、 メーカーから施工業者や卸業者に対し、納入価格の1〜2割のキックバックが常態化していたことが明らかになった。 国土交通省など発注元には明かさずに、40年近く続いていた。 卸業者のうち1社とメーカーの間で年3億〜4億円のキックバックが判明し、 業界全体では年間10億円以上に上るとみられる。資材価格を高止まりさせたうえ業者間で利益を山分けしていた形で、 公共工事に巣食う業界の体質が浮かび上がる。メーカー側は「値引きの商慣習」と釈明するが、 国交省は不透明だとして関係者から事情を聴くなど調査を始めた。

 業界団体などによるとPC鋼線の消費量は昨年度、全国で4万9989トンで、市場規模は約120億円。 住友電工スチールワイヤー(住電SW=兵庫県伊丹市)▽神鋼鋼線工業(同県尼崎市)▽鈴木金属工業(東京都千代田区) が主要メーカーだ。

 PC鋼線取引の大半は、鋼線の組み立て技術をもつ定着具業者がメーカーから一括で仕入れ、 施工業者に卸売りする。内部資料や関係者の証言で明らかになった01〜04年の直径12・ 7ミリのPC鋼線取引でみると、メーカーからキロ204円で購入した東京都港区の定着具業者が、 施工業者にキロ219円で卸した。公共工事への納入額は、国交省所管の公益法人が調査、公表する「実勢価格」があり、 当時キロ236円。施工業者はその価格で積算、公共工事の発注者に入札していた。

 定着具業者は鋼線納入後、メーカー側にキロ22円の「割り戻し」を請求。施工業者も、 価格の1割ほどをメーカーに請求し、キックバックさせていた。定着具業者は通常取引の利益とは別に、 月2000万〜4000万円、年間3億〜4億円をメーカーから得ていた。

 国交省は関係企業を呼び、実態把握を進めている。

 住電SWの親会社の住友電気工業広報部は「経緯は古い話で不明だが違法な点はない。ただ、今後、 あり方は検討したい」とコメントした。また、神鋼鋼線工業総務課は「受注競争の中で通常ある値引きだ。 施主が知っているかは分からない」と話した。【武田良敬】

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 ■ことば

 ◇PC鋼線

 強化コンクリート(プレストレスト・コンクリート=PC)製橋梁建設に使う基本資材のピアノ線。 コンクリートの橋げたに縦横から圧力を加え構築する。大型橋の組み立て時は、橋柱に鋼線を結びつける定着具を使う。 昨年度、PC橋の工事総額は約4000億円で全国橋梁工事の約4割。

毎日新聞 2006年7月4日 東京朝刊

 

橋梁工事:ピアノ線取引 利益二重取り40年

 公共工事の資材で全国一律のキックバックが、初めて判明した。橋梁(きょうりょう) 建設に使用するピアノ線(PC鋼線)取引。利幅が大きく、国民が長期間、不必要に高い基礎資材を買わされ、 業界内で利益を分け合ってきた疑いが浮上し、国土交通省も調査に乗り出した。公共工事の闇が、また一つ明るみに出た。 【武田良敬】

 一般の商慣習でも「事後値引き」「販売奨励金」といったものはあるが、 今回の取引は業界内だけの秘密事項として繰り返されてきた。しかもPC鋼線は、道路資材の中でも「世界有数の高値水準」 といわれる。財団法人「建設物価調査会」などが定期調査し、公共工事入札の際の積算基準となる価格は、 標準の直径12. 7ミリ裸線でキロ229円(今年6月)。一方、関係者によると、日本工業規格(JIS) を取得した中国製品の現地流通価格はキロ約90円に過ぎない。米国でも150円前後という。

 国内大手の住友電工は、米国法人も鋼線を米国の公共工事に納入しているが 「日本より2〜3割安い卸価格」という。同社は日米の価格差について 「日本は運賃が高いうえ技術保証料も乗せているため」と説明する。

 「キックバックは40年ほど前から。利益の二重取りで、いつまで続くのかと思っていた」と、 ある業界ОBは明かす。複数の関係者によると、PC鋼線を使う工法はフランスから導入され、 50年代から橋梁で実用化した。メーカーも寡占状態で、まもなく施工業者へのキックバックがシステム化したという。

 99〜03年度、旧日本道路公団へのPC鋼線納入シェアが6割を占めた定着具業者 「アンダーソンテクノロジー」(東京都港区)は、各メーカーと「割り戻し」の覚書を締結し、キックバックを受けていた。 工事後に「請求書」をメーカー側に送り、 1〜2カ月後に仕入れ価格の約1割に当たるキロ22円を振り込み送金で受け取ってきたという。同社は 「業界の慣行を継承した」と話すばかりだ。

毎日新聞 2006年7月4日 3時00分

 

ピアノ線取引:国交省、第三者委員会で対策検討へ

 橋梁(きょうりょう)建設工事に使うピアノ線(PC鋼線) 取引でメーカーと業者間で大幅なキックバックがあった問題で、国土交通省は4日、 不透明な取引慣行を是正するよう有識者による第三者委員会「資材価格に関する検討委員会」で対策を検討することにした。 従来の資材価格の調査のあり方を見直し、 国際市場との比較分析や同省発注の工事で試験的に資材を直接調達するなどの具体策を考える。

 同委員会は、相次ぐ談合事件や、超安値入札による業者の過当競争が続いた事態を受け、 市場調査や独占禁止法などの専門家で6月発足した。入札制度の改革や技術面、 積算基準などの見直しで公共事業のコスト削減に取り組むために設けた。

 今回、基本資材であるPC鋼線をめぐり、 メーカーと業者間で40年近くにわたり積算価格の1〜2割にあたるキックバックが常態化していたことが判明したことについて、 国交省も関係者からヒアリングするなど調査を進めるとともに、同委員会で早急に対応策を立てることにした。

 これまでの建設行政では、リベートなどの商慣習や個々の資材価格の形成は「民間と民間の取引」 として踏み込んでいなかった。また今回のキックバックがメーカー数社が寡占状態にある業界だった点について、国交省は 「競争原理をどう働かせるかが重要」とみて対応策を検討する方針だ。【武田良敬】

 ◇「透明性高めることが大切」…北側国交相

 北側一雄国交相は4日の閣議後会見で「コストの抑制は政府全体で取り組んでいるテーマ。 国民に対し情報開示し、透明性を高めていくことが大切だ。業界の方々も説明責任を果たしてほしい」と述べた。

毎日新聞 2006年7月4日 15時00分

 

posted by いさた at 20:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 土木関連(技術) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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