昨年起きた、メキシコ湾海底油田の原油流出事故で、アメリカの大統領委員会が最終報告書を発表し、事故の原因を、 長年にわたる安全意識の欠落のもとに、過失や技術的判断の誤りによって起きたもの、と指摘したとのこと。
事故原因は、分析者によって多少異なる結果になるのかもしれませんが、不可抗力的な事態に加えて、 技術的判断に何らかの誤りがあったであろうことは、何となく推測されます。
油田だけでなく、エンジニアにとって共通の問題が指摘されています。「長年の安全意識の欠落」= 「慣れからの事態の軽視」かと思いますが、これはどこにでも潜む問題でしょう。
自分の生業を振り返って、他山の石として改めて気持ちを引き締めなければ・・・・
この事故は、その規模と事故原因から、技術者倫理を問う格好の事例として歴史に残ることでしょう。 技術士の一次試験などで出題されそうですね。
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メキシコ湾原油流出、過失や判断の誤り 米大統領委報告
2011年1月12日11時18分
【ワシントン=勝田敏彦】昨年4月に米南部沖メキシコ湾で起きた原油流出事故を調べてきた米大統領委員会は11日、 最終報告書を発表した。事故は「業界と政府の長年にわたる安全意識の欠落」を背景に、 油井の不適切な設計や前兆の見逃しといった「過失や技術的判断の誤りの産物」として起きたと指摘した。
報告書は責任を負うべき当事者として、英石油大手BPのほかセメント工事を担当したハリバートン、 掘削基地を保有するトランスオーシャンの3社を挙げた。同時に、 安全意識や深海での掘削技術を向上させるなど業界全体に体質改善を求めた。
米政府に対しても規制・監督が不十分だったとして、独立した安全審査当局の新設や保安基準の引き上げを勧告。また石油・ ガス会社が流出事故を起こした場合の賠償責任限度額引き上げも求めた。
事故が起きた油井の権益の10%は三井物産系の石油開発会社が持っているが、同委共同委員長のグラム元上院議員 (民主党)は「日本の企業が事故に関与したとは認識していない」と述べた。