今度の日曜日、26日で天保山のサントリーミュージアムが閉館するとのこと。 利用者の減少と収蔵品の維持コスト負担に耐えられなくなった、ということのようです。
建物は大阪市に寄贈、収蔵する美術品は大阪市に寄託されるそうです。
安藤忠雄設計の建物として有名ですね。何度か展覧会に足を運んだことがありますが、 子供ができると美術館のような静かさが必要な場所はなかなか行けません。 すぐ近くの海遊館に行くことはあってもこちらには行きにくくなってしまいました。
今後の利用については、大阪市がアイデア募集をして民間企業に運営委託になるようです。美術館よりも、商業施設・ 娯楽施設としての利用の方に芽がある気がしますが、将来はどうなるのでしょうね。
産経ニュース
80億円2万点の思い…
美術館としては存続困難 サントリーミュージアム閉館
2010.12.22 11:59
現代アートから印象派まで、多彩な展覧会を開催してきたサントリーミュージアム「天保山」(大阪市港区) が26日閉館する。来館者数が減少し、運営費もかさんだため、サントリーホールディングスは閉館を決め、 今年度末には大阪市に建物を寄贈する。ただ、大阪市立近代美術館の建設計画やコスト面の問題などから、 建物が美術館として活用され続ける可能性は少なそうだ。
ベイエリア、安藤忠雄の設計「トリスを飲んでハワイへ行こう!」キャンペーンで最初のウイスキーブームをつくり、 30年近くも減り続けてきたウイスキー人気を「ハイボール」で復活させたサントリー。現在、同ミュージアムで開催されている “最後の”展覧会「ポスター天国 サントリーコレクション展」で紹介されている500点からは、 商品の価値をいかに消費者に訴求するかを考え続けてきたサントリーの強い思いが伝わってくる。
同ミュージアムのコレクション2万点はすべて大阪市に寄託され、大阪・ 中之島で平成28年度中の開館を目指す市立近代美術館での活用が決まった。だが、運営費などとしての7億円とともに、 サントリーから寄贈される建物の活用は、市の公募によって決まる民間事業者のアイデア次第だ。
サントリーがミュージアムの閉館を決めたのは、 当初年間150万人を見込んだ来館者が70万人程度にまで減少しているためで、年間数億円に上る赤字は大きな負担となっていた。
美術館の運営には収蔵品を劣化させないための空調管理や人件費などで出費がかさむ。市立近代美術館でも、 入場料などによる2億8千万円の収入を織り込んでも、毎年3億5千万円の赤字を見込むほどだ。
来年早々に行われる建物活用のアイデア募集を前に「民間事業からの問い合わせはいくつかある」 (大阪市臨海地域活性化室)。しかし、近代美術館の建設計画が進む中、経費のかかる美術館としての活用は 「市に払う建物の使用料どころか、光熱費さえまかなえない」(関係者)可能性も指摘される。
市では家族連れの来館者が多い海遊館との相乗効果を考えており、「美術館としての活用にはこだわっていない」 (臨海地域活性化室)。このため、サントリー側が期待する、 同ミュージアムが再び美術館として活用されることによる文化振興への寄与は難しそうな情勢だ。
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【用語解説】サントリーミュージアム「天保山」
平成6年11月、サントリーが80億円をかけて開館。美術館だけでなく、巨大な3Dシアター「IMAXシアター」 などを備え、ピーク時の7年には101万人が訪れた。海にせり出すような建物は建築家、安藤忠雄氏の設計で、 海遊館とともに天保山に独特な景観を築いている。24年度から大阪市立近代美術館が開館するまでは、 ギャラリーの一部で同美術館用の収蔵作品が展示される。