藻類には炭化水素をつくるものがいくつかいるそうですが、この度、 生産能力がこれまで知られているものの10倍ほどもあるタイプが沖縄の海で見つかったそうです。
水中の有機物から重油に相当する炭化水素を作ってため込む性質があるそうで、その高い生産能力は、 例えば深さ1m広さ2万haの生産施設を設ければ、日本の石油輸入量に匹敵する生産量が見込まれるとの試算もあるらしい。
生産施設には休耕田などを使い、有機物を分解する性質から水質浄化に使える可能性もあり、 さらには重油を生産して燃料油を供給できるという一石二鳥、三鳥な発見ですねぇ。
この通りに実用化されたら、日本で燃料油をほとんど自給できる日がくるかもしれませんね。画期的ですね、 石油は輸入するもの、という感覚からすれば夢のような技術に思えます。
まだ研究段階なので、皮算用ばかりしても仕方がありませんが、気になるところと言えば自然環境へのリスクと、 CO2の問題でしょうか。こういう微生物が生産したものから発生するCO2は、排出なのか循環の一部と考えるのでしょうか。
asahi.com
生産能力10倍 「石油」つくる藻類、日本で有望株発見
2010年12月15日7時0分
藻類に「石油」を作らせる研究で、 筑波大のチームが従来より10倍以上も油の生産能力が高いタイプを沖縄の海で発見した。 チームは工業利用に向けて特許を申請している。将来は燃料油としての利用が期待され、資源小国の日本にとって朗報となりそうだ。 茨城県で開かれた国際会議で14日に発表した。
筑波大の渡邉信教授、彼谷邦光特任教授らの研究チーム。海水や泥の中などにすむ「オーランチオキトリウム」 という単細胞の藻類に注目し、東京湾やベトナムの海などで計150株を採った。これらの性質を調べたところ、 沖縄の海で採れた株が極めて高い油の生産能力を持つことが分かった。
球形で直径は5〜15マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。水中の有機物をもとに、 化石燃料の重油に相当する炭化水素を作り、細胞内にため込む性質がある。同じ温度条件で培養すると、 これまで有望だとされていた藻類のボトリオコッカスに比べて、10〜12倍の量の炭化水素を作ることが分かった。
研究チームの試算では、深さ1メートルのプールで培養すれば面積1ヘクタールあたり年間約1万トン作り出せる。 「国内の耕作放棄地などを利用して生産施設を約2万ヘクタールにすれば、日本の石油輸入量に匹敵する生産量になる」としている。
炭化水素をつくる藻類は複数の種類が知られているが生産効率の低さが課題だった。
渡邉教授は「大規模なプラントで大量培養すれば、自動車の燃料用に1リットル50円以下で供給できるようになるだろう」 と話している。
また、この藻類は水中の有機物を吸収して増殖するため、 生活排水などを浄化しながら油を生産するプラントをつくる一石二鳥の構想もある。(山本智之)
夢のようなお話しですけれども、これまでの科学は、こういう事を現実のものとしてきてくれましたので、期待しています。一番期待出来ない、アホな政治屋や、官僚が余計なことをしないことを祈ります。
技術はあっても、既得権益者の強力な反対があると、実用化には至りませんね。
許認可だのなんだの、つまらないこだわりでつぶす方向に行くのではなく、技術を育てる方向に動いて欲しいです。