私のいる業界ならば、さしずめ数年前に世間を大騒ぎさせた「耐震偽装」に当たるであろう、大阪地検のFD改ざん事件。 証拠ねつ造事件といった方がよいかもしれません。
問題の改ざんを行った本人の上司が、改ざんのことを知った直後に「今回はミステークでいく」 という趣旨のことを周囲の人たちに漏らしていたそうです。
最初から過失と決めつけた発言では、と問題視されていますが、私はそれよりも「今回は」の方がよほど気になりますね。
過去にも同じようなケースがあったととれる言い回しで、証拠を都合良く改ざん・ねつ造、 というのは実は結構な頻度で行われているのではないか?と思わせる発言だと思います。こういった不祥事の発覚は、 氷山の一角がやっと顔を出した、といったものが多い気がしますので、可能性は高いのでは。
ただ、検察内部で調査をして、仮に同じようなケースがあったとしても、 それが外部に公表されるかどうかはわかりませんね。
YOMIURI ONLINE
FD改ざん、前特捜部長「今回はミスでいく」
郵便不正を巡る証拠品のフロッピーディスク(FD)改ざん事件で、大阪地検特捜部の主任検事・前田恒彦容疑者(43) (逮捕)の上司だった大坪弘道・前特捜部長(現・京都地検次席検事)が2月初めに改ざん疑惑を知らされた直後、 「今回はミステーク(誤り)でいく」と周囲に話していたことが、検察関係者の話でわかった。
大坪前部長が調査をしないまま「過失」と決めつけたとも解釈できる発言で、最高検は大坪前部長らを聴取し、 経緯や趣旨を調べている。
関係者によると、大坪前部長は2月1日、前田容疑者の同僚検事らがFD改ざん疑惑を訴えていることを、佐賀元明・ 前特捜部副部長(現・神戸地検特別刑事部長)から伝え聞き、事実確認を指示。これを受け、 佐賀前副部長が電話で前田容疑者から事情を聞いたところ、前田容疑者は「FDを操作し、データが変わった可能性がある」 と答えた。
(2010年9月28日14時37分 読売新聞)
御指摘のように、「今回は」は、とても気になりますね。
検察が、ただ悪事を叩くこと以上に、何か仕事をしていた印象を抱かせます。例えば、彼らの組織保全や、権力拡大を模索していたとか?検察なんてのは、ただ悪事を粛々と挙げていれば良いのであり、善良なる市民が増えれば、自ずとその規模を縮小するような組織でなくてはならないのです。河上肇の言葉が思い出されます。
努力して悪事の真実を暴く、というよりは悪事をさっさと処理して仕事を済ませよう、という意識が働く部分があるのだろう、と思います。
その部分がどれぐらいの規模なのか、というのが問題。
>自ずとその規模を縮小するような組織でなくてはならないのです。
おっしゃるとおりですが、官僚機構の一部として自己保身が必要なのでしょうね。