日本全国の高速道路のうち、延長で約2割の区間1626kmの通行料金を無料とする社会実験が今日から始まりました。 来年3月31日まで続けられます。
今日は無料化の初日であることもあって、無料になった区間の交通量はおおむね増えているようです。
無料化は全車種が対象とのことなので、大型車の関連が大きい運輸業界や、 平日の業務車両については助かる面がありそうですね。
週末の「1000円高速」は継続されるらしいので、レジャー目的の普通車に関しては、 無料区間だけを通行するようなケースを除けば、支払う高速料金はそれほど変わりが無いのかも。
人が流入しやすいということは、逆を言えば流出しやすいということでもあります。約9ヶ月間、 無料化の効果を見るとのことですが、利害については業界毎に異なるでしょうね。観光業関係は、 今まで以上の来客が期待できる一方で、地方の物販関係では、都市部に客を取られる可能性もあります。
これから夏休みにかけては、珍しさも手伝って無料化された区間への観光など、人の動きは増えると思います。 それが一段落してからが、本来の効果を見る時期になるのでしょう。
効果のほどを社会実験で推し量ることができても、無料化の原資をどうするか(継続していくのなら、 少なくともメンテナンスは必要になります)。財政状況が思わしくない現状では、こちらが最大の問題である気がします。
国土交通省 高速道路の無料化社会実験
http://www.mlit.go.jp/road/road_fr4_000009.html
YOMIURI ONLINE
全国の高速道路のうち37路線50区間で28日午前0時から、通行料を無料にする社会実験が始まった。
各地の観光地が集客への期待を寄せる一方、効果を疑問視する声も聞かれた。
北海道東部を走る道東道の音更帯広インターチェンジ(IC)は、年約50万人が訪れる十勝川温泉に近い。 レンタカーで同温泉に来ていた静岡県東伊豆町、会社員稲葉栄一さん(37)は「無料化区間は歓迎。 いろいろな観光地に立ち寄りながら旅行しやすくなった」と話した。また温泉ホテルの従業員は「札幌からの誘客に弾みがつく」 と期待を寄せた。
長引いた不況の影響で、昨年の年間観光客数が3年ぶりに2000万人を割り込んだ神奈川県箱根町では、 箱根新道が無料になった。芦ノ湖畔のレジャー施設「箱根園」の営業担当・草野正さん(45)は 「梅雨が明ければ避暑地の本領を発揮できる。観光客がどっと来てくれれば、経営の視界も一気に晴れそうだ」と声を弾ませた。
ただ、都心から箱根新道までの高速ルートは全区間が無料ではなく、箱根町観光協会の専務理事・村上政司さん(62)は 「『飛び飛び』の無料化路線で観光客が増えるかは疑問」と首をかしげた。
本州で最も長い112キロが無料になった舞鶴若狭自動車道が走る福井県。小浜市内では、小浜西IC近くに 「本州で一番長い無料化道路」と記したのぼり約20本が設置された。特産品の若狭塗箸の展示販売施設 「箸のふるさと館WAKASA」の林春雄館長は「無料化をきっかけに、施設に足を運んでほしい」と話した。
愛媛県では、松山IC以南の松山道(58キロ)が無料化された。古い町並みで知られる内子町の職員(42)は「ドラマ 『坂の上の雲』の影響で松山市への観光客は増えている。無料化は内子町に足を延ばしてもらうきっかけになる」と語った。しかし、 同県宇和島市の商業関係者は「無料になると、高速道路を使って(デパートなどのある)松山方面に買い物に出かけてしまい、 地元で買い物をする人が少なくなるのでは」と心配顔を見せた。
(2010年6月28日11時53分 読売新聞)
国土交通省は28日、無料になった高速道50区間(同日午前0時〜午前9時)の交通量を発表した。
各区間の平均交通量は3400台で、1週前の今月21日の同じ時間より約55%増加した。最も増加したのは道東道・ 音更帯広―池田間で、3・67倍に上った。
(2010年6月28日13時43分 読売新聞)