2010年05月23日

特例を認めるか

 宮崎県で広がる口蹄疫の問題は種牛にも広がっていて、最悪の場合は宮崎の種牛が全て殺処分され全滅する可能性もある、 という事態になっています。九州の他県でも感染拡大の心配から、種牛を避難させるべく動いているらしいです。

 そんな中で、東国原知事が特例として、種牛の殺処分回避を政府に要請する方針だそうです。農水省は、 今のところ特例を認めない方向のようですが・・・

 

 松阪牛といった有名なブランド牛も、宮崎産などの子牛を育てているそうで、もし種牛がいなくなれば子牛もできなくなり、 九州だけではなく全国的に影響が広がるようですね。程度の差はあるかもしれませんが、 宮崎だけでなく全国の畜産農家にダメージが及ぶということです。

 

 優秀な種牛というのは簡単に取り替えが効くものではありませんし、次世代といっても成長するには時間が必要です。

 黙っていれば殺処分になるのが時間の問題であるなら、地元への、畜産農家への大きなダメージを回避すべく、 特例を求めて知事が動く、ということはやってみるべきことではあると思います。例え「悪あがき」だとしても。

 

 ただ、法運用で特例を認めると、 これから同じような事態が起きた場合になし崩しになって実効性が損なわれる恐れがあるので、 農水省としては軽々しく特例を認めたくないでしょう。

 口蹄疫問題の今後の広がりや国内畜産農家への影響、といったことを考えつつ、 どのような判断を下すか難しいところですね。

 

 しかし、これまで対応の悪い農水省が「特例は認めない」何て言うと、杓子定規な印象が先に立ちますね(苦笑)

 

asahi.com
東国原知事「種牛49頭、殺処分回避を」 農水省は難色

2010年5月23日4時37分

 宮崎県で家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)が広がっている問題で、 発生農場から半径10キロの移動制限区域内の全家畜約16万5千頭を対象にしたワクチン接種が22日始まった。一方、 東国原英夫知事は、種牛を残す異例の「殺処分回避」を政府に要請する方針を表明した。 エース級種牛1頭が感染の疑いで殺処分された同日には、新たに同県の3町10農場の家畜に感染した疑いも判明。 九州各県では種牛を避難させる動きが出ている。

 農林水産省や宮崎県によると、初日の22日は、移動制限区域の外周に近い木城町と高鍋町の計6農場で、 体内のウイルスの増殖力が牛の千倍以上とされる豚約2万2千頭にワクチンを接種したという。 ワクチンは区域内の未感染の牛や豚などを対象に打ち、その後、殺処分する。

 また、この日に殺処分された「忠富士(ただふじ)」は、宮崎県家畜改良事業団(同県高鍋町) が飼育する種牛55頭のうち、特に優秀な「エース級」の6頭のうちの1頭とされる。この非常事態を受け、東国原知事は同日、 県庁での記者会見で、「エース級」6頭以外の49頭の種牛についても殺処分せず、「経過観察させてほしい」 と政府に求める方針を明らかにした。

 家畜伝染病予防法では、口蹄疫に感染した疑いのある牛が見つかれば、農場の牛はすべて殺処分対象となる。農水省は、 49頭についても同様の対応をする方針のため、東国原知事は「このままでは宮崎から種牛がいなくなる。法は法だが、 6頭は特例で(移動を)認めてもらったので、協議の余地はないだろうか」と、国と協議したいとの姿勢を示した。

 これに対し、知事の方針を非公式に聞いた山田正彦農水副大臣は「種牛49頭は大事な財産であるのはよく分かるが、 同じ場所で疑似患畜が出ている。特例を認めていいとは思っていない」と強調。 25日に赤松広隆農水相と会って検討するとしている。

一方、県は22日夜、口蹄疫に感染した疑いのある牛や豚が同県川南、高鍋、木城の3町の計10農場で新たに見つかった、 と発表した。これで感染確認・疑い例は計181例となった。3町はいずれもこれまでに発生が確認されている自治体。

 九州各県でも対応する動きが出ており、「鹿児島黒牛」 のブランドを持つ鹿児島県では県所有の種牛12頭を24日にも離島に避難させる。熊本県は特産の「あか牛」 などの種牛16頭を合志市の農業研究センター畜産研究所で一括管理しているが、 県畜産農業協同組合連合会などは県内各地への分散・避難を要望している。

 宮崎県はエース級種牛6頭について、事業団での口蹄疫の発生が発覚する直前の13〜14日、移動が禁止される 「移動制限区域」内での特例を認めてもらい、山中へ避難させた。さらに1頭が遺伝子検査により陽性と判明した後も、 特例で残る5頭を殺処分せず、1週間の経過観察とした。

 

エース種牛「忠富士」無念の死 伝統血統・働き盛り

2010年5月23日0時57分

 「エース中のエース」といわれた宮崎の種牛が口蹄疫禍(こうていえきか)に巻き込まれ、思わぬ最期を迎えた。 感染の疑いが持ち上がり、殺処分された「忠富士(ただふじ)」だ。伝説の種牛を祖父に持ち、「宮崎牛」 ブランドの期待を一身に背負っていた。

 2002年6月22日、宮崎市生まれの7歳。人間で言うと30代の「働き盛り」だった。

 母方の祖父は、冷凍精液が盗まれる事件が起きたこともある宮崎の伝説の種牛「安平(やすひら)」。優れた肉質の但馬牛 (兵庫県)の流れをくむ「但馬系」の母と、体が大きく枝肉重量の大きい鹿児島県の「気高(けだか)系」の父との間に生まれ、 「質量兼備の超大型牛」として全国的な人気を博していた。

 感染を逃れるため、宮崎県家畜改良事業団(同県高鍋町)から西都市の牧場へ避難した、「県の宝」 とされるエース級種牛は6頭いるが、「とりわけ優秀」との呼び声が高かった。 県内で今年度使用を予定していた約15万4千本の精液の、約4分の1を担うはずだった。

 祖父の安平は現在21歳で、事業団内で余生を送っていたが、口蹄疫の発生があったため殺処分の対象となり、 そのときを待つ。それに続き、期待の忠富士まで――。しかも、孫の忠富士のほうが、早く迎えた死。「あまりに皮肉で無念な話」 と県の担当者はため息をついた。

 「メタボを気にする人が増え、ヘルシー志向が高まるいま、とくに人気が高い種牛だった」。 同県国富町で約220頭の肉用牛を飼育し、農林水産祭で内閣総理大臣賞の受賞歴もある畜産農家の笹森義幸さん(47)は、 忠富士の魅力をそう表現する。

 笹森さんによると、忠富士の子は安平の子ほどサシ(霜降り)が多くなく「ヘルシー」なうえ、 成長が早くて大きく育つため、飼育コストも少なくてすむ。結果的に手頃な価格で良質な「消費者に優しい」肉になるという。

普通なら子牛の出荷まで9〜10カ月はかかるが、忠富士の子は8カ月ほどで約280キロに育つ。 枝肉の重量は一般的には430〜440キロなのに対し、忠富士の子は500キロを超える場合もあるという。

 「うちも今後、忠富士の子の雌牛をメーンの母牛に据えようと思っていた」という笹森さん。忠富士の早すぎる死は 「本当に残念」と声を落とした

(松井望美)

 

タグ:口蹄疫 種牛
posted by いさた at 17:14 | Comment(2) | TrackBack(0) | 思い事(固め) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
> 管理人様

> 杓子定規な印象が先に立ちますね

官僚の得意技ですね(笑)
Posted by tenjin95 at 2010年05月23日 17:52
>tenjin95さん

民主党の得意技でもあるかもしれませんね。
Posted by いさた@管理人 at 2010年05月23日 20:02
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