2010年04月27日

刑法改正、殺人の時効撤廃

 本日、刑法と刑事訴訟法の改正案が衆議院で可決され、殺人事件の時効が撤廃されたとのこと。また、 他の重罪についても時効までの期間が2倍に延長されることとなりました。

 この改正は、即日施行で本日からのようです。また、過去の未解決事件にも遡及して適用になるそうです。遡る点は、 被害者感情的には理解できますが、これまでの刑法の原則からすると問題があるのでは?という内容ですね。

 

 時効の撤廃に関しては賛成ですね。罪を逃れることはできない、 という点は犯罪の抑止力としてある程度は期待できると思います。既に時効が無いアメリカの状況を見れば、 抑止力として過度の期待はできませんが・・・・

 

 ただ、現実の捜査態勢・能力の面で問題がありそうです。読売の記事で、 長期間の証拠保存といったことがあげられていますが、殺人の捜査にかけられる人員やコストの問題の方が大きいように感じます。

 どちらも有限ですし、事件発生から時間が経つにつれて、捜査の手が細くなっていくのは仕方が無いかと思います。 残された遺族の方々にとっては、そういう捜査のあり方は不満に映るかもしれません。

 

 おそらく、そんな未解決事件の専任チームができて、新たな情報が入ったら動く、という感じでしょうか。日本版 「コールドケース」。

 でも、都道府県警単位だと、地域によって対応に温度差が出るかもしれませんね。 国レベルの専任チームが必要なのかもしれません。

 

YOMIURI ONLINE
殺人の時効廃止、改正法成立・即日施行へ

 殺人の公訴時効を廃止し、 傷害致死など殺人以外で人を死亡させた罪の時効期間を2倍に延長することを柱とする改正刑事訴訟法と刑法が27日午後の衆院本会議で、 与党と自民、公明両党などの賛成多数で成立した。

 政府は27日中に同改正法を公布、施行する方針だ。

 本会議に先立ち、衆院法務委員会は27日昼、同改正案を全会一致で可決した。

 時効の廃止・延長は、施行までに時効が完成しなかった過去の事件にも適用される。岡山県倉敷市で夫婦が刺殺され、 自宅が放火された事件(1995年)の時効は28日午前0時に迫っている。

 政府・与党は同改正案を効率的に審議して早期に成立させるため、今月1日に参院で先に審議入り。14日に参院を通過し、 衆院に送付されていた。

 同改正法で時効が廃止されるのは、最高刑が死刑の殺人や強盗殺人(現行の時効期間は25年)。 最高刑が無期懲役の強制わいせつ致死や強姦(ごうかん)致死は現行15年から30年に、 最高刑が懲役20年の傷害致死や危険運転致死は現行10年から20年に、それぞれ時効が延長される。

 時効の廃止・延長によって、未解決事件の捜査が長期に及ぶようになるため、今後は、 捜査機関が証拠品を適正に保管し続けることができるかどうかが課題となる。証拠品が誤って引き継がれた場合、 無実の人が検挙され、冤罪(えんざい)を招く恐れがあるとの指摘もある。衆参両院の法務委では、 政府に証拠品の適正な保管を求める付帯決議が行われた。

 ◆公訴時効=犯行から一定期間が経過すると起訴できなくなる制度。期間は刑の重さによって異なり、 刑事訴訟法250条に定められている。犯人が海外に逃亡している間は、時効の進行が停止する。

(2010年4月27日14時25分  読売新聞)

 

時効撤廃、スピード審議に疑問の声…遺族は歓迎

 長引く未解決事件に苦しむ被害者遺族らの願いがかなった。

 殺人などの刑事事件の公訴時効を廃止・延長する改正刑事訴訟法が27日午後に衆院本会議で成立し、 即日施行の方向で調整が進んでいる。時効成立が近づいていた事件の遺族は「予想以上に早い実現」と歓迎するが、 1か月足らずのスピード審議を疑問視する声も出ている。

 改正案が参院で審議入りしたのは4月1日。法務委員会の委員からは「時間をかけて議論すべきだ」との声が上がった。 〈1〉時効が成立していない過去の事件にもさかのぼって適用するのか〈2〉時効の廃止・ 延長で捜査機関の負担が増す懸念はないのか――など、重要な論点があったからだ。

 過去の事件への適用については、委員から「憲法上問題がある」との指摘が出た。 「100年以上たっても捜査本部を置いて記録を保管し続けるのか」と発言する委員もいた。それでも、 審議入りからわずか1か月弱しかかからなかった。

 今回の改正法は、自公政権の時に法務省内の勉強会がまとめた案に沿ったもので、野党時代の民主党は時効の廃止・ 延長に慎重だった。今回、民主党は早期成立を目指し、自民党も審議を延ばさなかった。ある法務省幹部は「審議に時間がかかれば、 次々と時効が完成する事件が出てくる。参院選に向けて、民主党は早期成立を手柄にしようとし、 自民党は失点しないようにしたのだろう」と語る。

 「国会での論議に時間がかかるのではないかと思っていたので率直にうれしい」。2000年12月の東京・ 世田谷一家殺害事件で亡くなった宮沢泰子さん(当時41歳)の姉、入江杏さん(52)は語る。

 時効撤廃などを訴える運動のさなか、「被害者だからと言って大きな顔をするな」といった中傷も浴びた。 「早期成立は世論の後押しがあったから」と喜び、「時効が延びたからといって捜査がいたずらに長引いては意味がない。 やはり早期解決を」と望む。

 1999年11月、名古屋市西区の自宅で何者かに妻の奈美子さん(当時32歳)を殺害された高羽悟さん(53)は、 過去の事件に今回の見直しを適用するのは難しいのではないかと思っていたという。それだけに「予想以上に早く念願がかなった」 と、事件解決につながることを期待する。

 「全国犯罪被害者の会」代表幹事の岡村勲弁護士は「(時効見直しを)心から歓迎する。1日でも早く、 施行されることを期待する」とのコメントを発表した。

 一方、日本弁護士連合会の山下幸夫・刑事法制委員会事務局長代行は 「近く時効を迎える事件のために法制度全体の改正を急ぐのはおかしい」と、不満をあらわにした。 日弁連が特に問題視していたのは、過去の事件にも今回の見直しを適用するという点で、山下弁護士は 「憲法学者らも呼んで意見を聞くべきだった」と批判している。

(2010年4月27日17時55分  読売新聞)

 

posted by いさた at 19:42 | Comment(0) | TrackBack(6) | 思い事(固め) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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