現在治療法が無いアルツハイマー病。本日、目についたニュースが2つ。
1.食生活で予防
約2200名をおよそ4年間追跡調査した結果によると、食生活によって発病リスクが40%少なくなるそうです。 飽和脂肪酸を含むものを避け、緑黄色野菜や果物を多く採る方が良いようです。
産経ニュースによる「アブラナ科の野菜」とは・・・いろいろありますがキャベツ、大根、白菜、ブロッコリーなど。 アメリカ人の子供の嫌いな野菜の代名詞としてブロッコリーが挙げられるようですが、ここでは推奨されることにになりますか。
2.発症メカニズム解明のヒント
アルツハイマー病の発症には脳内で生成される異常なタンパク質が関わっているとされていますが、 この異常タンパクが生み出される仕組みがわかったようです。
実験では異常タンパク生成を防ぐことに成功したとのことなので、もしかすると「治療」につながる可能性もあります。
症状の進行を緩やかにすることは現在でもできますが、病気自体を直す、 あるいは機能が元に戻らないまでも病気の進行を完全に止めることができるようになれば画期的です。
産経ニュース
アルツハイマー病のリスク、食事で劇的に減少可能
2010.4.15 14:41
[シカゴ 12日 ロイター]オリーブオイルや木の実、魚、鶏肉、トマト、アブラナ科の野菜、緑黄色野菜、 果物などをふんだんに取り入れた食事が、アルツハイマー型認知症の予防に極めて効果的との研究結果が明らかになった。
米コロンビア大でアルツハイマー病を研究するYian Gu氏らのチームは、 65歳以上の健康な人2148人の食事データを平均4年間追跡し、1年半ごとにアルツハイマー病の発症を確認。 脳の健康に有益な特定の栄養素を摂取した人は、そうでない人に比べ、アルツハイマー病を発症するリスクが40%低いとの結果を、 12日付の専門誌「アーカイブス・オブ・ニューロロジー」に発表した。
逆に、飽和脂肪酸を含む赤身肉やバター、内臓肉、高脂肪乳製品などは避けた方がよいとしている。
Gu氏は、アルツハイマー病には治療法がないため、予防がかぎだと指摘した。
asahi.com
アルツハイマー病発症、一端を解明 治療法開発に可能性
2010年4月14日13時32分
遺伝性でないアルツハイマー病の発症にかかわる異常たんぱく質が脳内で作られる仕組みを解明したと、 愛知県豊明市の藤田保健衛生大学総合医科学研究所・前田明教授の研究グループが発表した。 異常たんぱく質が作られる仕組みを分子レベルまで明らかにしたのは初めてで、将来の有効な治療法につながる可能性があるという。
患者の95%以上を占める遺伝性でないアルツハイマー病では、関連する遺伝子に突然変異はないが、 遺伝子からたんぱく質の「設計図」が作られる際、必要な情報の一部も誤って取り除かれて、 神経細胞死を引き起こす異常なたんぱく質が生み出される。
前田教授らは、この原因を詳しく解析。試験管に入れた神経細胞を低酸素状態にすると、「悪役たんぱく質」 が大量に作られ、正しい設計図を作る過程を妨げて一部の情報が欠落して、 結果として発症につながる異常たんぱく質ができあがることがわかった。
この仕組みが分かったことで、「おとり」のリボ核酸を注入して「悪役たんぱく質」 が誤って情報を取り除くのを防ぐことに成功している。今後、治療などに応用できる可能性があるという。
前田教授は「仕組みを解明したことで、『悪役たんぱく質』の作用を直接抑える原理がわかった。 この成果は治療法の開発にとって重要」と将来の応用に期待している。
前田教授の論文は、5月発刊の米国の分子生物学雑誌「Molecular and Cellular Biology」 に掲載される。