6月から始まるという、新しい高速料金の制度が発表されました。一部区間の無料化にあわせて導入されるとのこと。
新しい料金制度では、首都高速・阪神高速を除いて、車種毎に上限料金が設定され、ETC利用に関係なく適用されます。 現在の様々な割引制度は廃止になるようです。
首都高速・阪神高速は定額制から従量制になり、料金徴収の都合上、 ETC利用でない場合は定額で最高額をとられるみたいです。こちらの実施は6月ではなく、年末頃になる見通しです。
普通車で言えば、平日に長距離を走るドライバー以外には基本的に値上げですね。本四架橋は、 フェリー業界に配慮してNEXCOの道路より高い上限料金にしたそうです。
長距離を運ぶ大型車には恩恵がありそうですが、運送業界は首都高などが実質値上げで、 近距離の輸送が値上げになりそうなので、トータル的にはメリットはあまり無いのでは、という感触みたいです。
まだ新しい料金になっていませんが、値上げになるので評判としては良く無い印象。ETC導入のメリットが薄れる一方で、 燃費が20km/L以上のエコカーは軽自動車と同等の料金にするようです。エコカーの判定、 みたいなものはどうするんでしょうね。
この新しい料金制度によって、休日の1000円高速などに使われていた税金が浮くようですが、 これは高速道路の整備に使うそうです。額は1.4兆円とのこと。バラマキ先が変わる、というわけです。
高速料金が高い・安い、と言ってみても、結局は高速道路会社に補填分として流れる税金が多いか・少ないかみたいな話で、 結局は私ら今の国民が負担し、あるいは未来の子孫にツケを回しているわけです。
国の施策による料金割引に対して、不足する料金分を税金で補填してもらって、 それで経営なり借金返済をしている高速道路会社が最もメリットがあるような気がします。
この新しい料金制度はとりあえず来年3月末までで、実験結果によっては制度の見直しもあるようです。
CO2を25%削減と広げた風呂敷のためには、料金を値上げしてクルマの利用を抑制する方が良さそうに思いますが、 世間の欲求とは相反する話ですね。
ただ、料金値下げの原資はどこから出てきているのか、という事は意識しておく必要があります。
YOMIURI ONLINE
高速料金上限、普通車2千円・エコカー半額優遇
国土交通省は9日、一定の走行距離を超えた場合に料金を定額にする、新たな高速道路の上限料金制度を発表した。
6月から導入し、首都高速や阪神高速などを除いて普通車は2000円、軽自動車は1000円、トラックなどの中・ 大型車は5000円を上限とする。
昨年3月に導入された土日・祝日の「上限1000円」の割引や、曜日や時間帯で異なる現行の割引制度に代わるもので、 国交省は料金体系を単純にすることが狙いだとしている。ただ、現行の割引が廃止される結果、 多くのドライバーには実質的な値上げとなりそうだ。
上限料金制度は、6月から37路線の50区間で始める一部の高速道路無料化に合わせ実施する。
ETC(ノンストップ自動料金収受システム)の利用に関係なく、すべての車に適用する。 上限料金となる距離は普通車で約70キロ、軽自動車で約40キロ。エコカーの普及を促すため、エコカー減税の対象車のうち、 ガソリン1リットル当たりの燃費が20キロ以上の普通車は軽自動車と同じ上限1000円に優遇する。
新制度の導入に伴い、現行の割引のほか、たまったポイントを通行料金にあてられる「ETCマイレージサービス」 なども原則、廃止する。このため、平日に長距離を走る機会が多いドライバーには値下げになるが、 1回の走行距離が短い多くのドライバーには値上げとなる。
国交省は新制度を11年3月末までの試行とし、渋滞の状況などを見ながら制度を見直す考えだ。
また、首都高速と阪神高速は、普通車で一律700円(東京線、阪神東線)などとしている定額料金制をやめ、 走行距離に応じて500〜900円(普通車)を課金する方式に改める。ETCを付けていない車は上限額を徴収する。 実施は年末以降となる見通しだ。
新たな料金制度の導入を受け、「上限1000円」 割引などの原資として2018年3月末まで国費で手当て済みの計3兆円のうち、1・ 4兆円が高速道路の整備に使われることになった。割引より整備を望む地方の声に配慮した民主党の要望によるもので、 政府は3月に関連の法改正案を閣議決定している。
鳩山政権が09年度補正予算の見直しで執行を止めた東京外郭環状道(関越―東名間)、名古屋環状2号線(名古屋西― 飛島間)など6事業の整備にあてられる。
(2010年4月9日11時05分 読売新聞)
6月から試験的に実施される高速道路の新しい料金制度が9日発表された。本州四国連絡高速道路はフェリー業界に配慮し、 普通車と軽自動車の上限料金を他の高速より1000円高くする。
長距離トラックなどが恩恵を受ける一方で、一般ドライバー、観光地からは、「休日にこれまでより高くなる」 「客が減ってしまう」などと困惑の声も上がった。
◆観光地・利用者◆
本州四国連絡道路の新料金について、関係者から不安や不満の声が相次いだ。
NHK大河ドラマ「龍馬伝」の影響で〈龍馬ブーム〉に沸く高知県。ゆかりの観光名所・桂浜(高知市) で土産物店を経営する加茂泰助さん(70)は「昨年3月の値下げで、土日の売り上げは3割増えた。休日の料金が値上げされれば、 今までのようにはいかないだろう」と残念そう。
本四道路の神戸・鳴門ルートの淡路サービスエリア(兵庫県淡路市)では、土産物店の男性店長(47)が 「休日の値段が上がれば、京阪神や徳島からのドライブ客が減り、大きな痛手になる」と話した。 マイカーで家族と淡路島内の観光に訪れた京都市南区の会社員寺内幸生さん(37)は「淡路や四国に遊びに行く最大の魅力は 『安さ』だったのに。出かけるのをためらってしまうかも」と困惑する。
関係する自治体の知事は、料金について強く反発する。
兵庫県の井戸敏三知事は国が本四道路の上限を他の高速道路より1000円高い3000円と設定したことなどに、 「地域の意見を聞かずに一方的に決定され、誠に遺憾。高速と本四道路を乗り継いだ場合、利用者は“二重払い”を強いられる。 淡路と四国のみを切り捨て、地域間格差を助長する」と指摘する。徳島県の飯泉嘉門知事も「怒りを通り越して失望している。 なぜ四国だけなのか。観光客が四国を敬遠してしまうのではないか。物流にも影響が出るかも知れない。 前原国交相には法の下の平等を考えてほしい」と述べた。
◆陸運業界◆
陸運業界では長距離を扱う社以外、期待薄の反応。
総合物流大手「鴻池運輸」(大阪市中央区)広報室は 「大型トレーラーを使って全国の拠点ターミナル間を結ぶ仕事が多いため、メリットはあると期待している」とする。
阪神高速は現在三つの料金圏でそれぞれ定額制だが、上限900円(普通車)の距離別料金制に変更になる。 初乗りが500円で6キロごとに100円上がり、24キロ以上は上限料金の900円になる。 料金圏をまたいだ利用は安くなる場合が多く、京橋(神戸)―梅田は1200円が900円に。一方で、同一料金圏内は、池田― 堺が700円から900円になるなど、上がるケースも多い。
この阪神高速の新料金で試算した大阪府トラック協会の小野隆生専務理事は「コストが下がる会社はごく一部。 大半は逆に高くなる。上限額の引き下げなどを国に訴えたい」と話す。 大阪市内の配送センターから阪神高速で近畿各地のスーパーに食品などを配送している同市福島区の運送会社も、 「景気低迷で荷主からの運賃値下げ圧力が非常に強く、値上げなどはお願いしにくい」と困惑していた。
◆フェリー会社明暗◆
料金変更で、フェリー会社は明暗を分ける。大阪南港―新門司港間を運行する「名門大洋フェリー」(大阪市)は、 収入の約3割は大型車。新制度では大型車は中型車と同料金に設定されて安くなり、フェリー利用の大幅な減少が見込まれるという。 山本哲也・営業統括部長は「大型車が減れば生き残れない。偏った割引は民業圧迫で、納得できない。何らかの支援を」と訴える。
一方、兵庫県明石市と淡路島を結ぶ「明石淡路フェリー(たこフェリー)」(明石市)では、大麻一秀社長(57)が 「週末などに明石海峡大橋が値上げになる新料金はメリットが大きい。昨年度は航路廃止を検討するまで追い込まれたが、 これなら勝負できる」と歓迎した。
(2010年4月9日15時33分 読売新聞)