2月に発生したチリの巨大地震の影響で日本にも津波が押し寄せましたが、その影響で日本の太平洋側の地盤がゆっくりと振動していたことが観測結果より分かったそうです。
津波の押し・引きと同じ周期でゆっくりと地盤が上下した、ということですが最大でも1km先の地盤が1mmの傾きだそうです。つまり、1÷(1000×1000)×100=0.0001%とごくごくわずかなものです。
しかし、太平洋を横断してきた波が起こした現象としてはやはり驚異的なものです。ということは、震源近くではもっと大きな振幅で地盤が上下動していた、ということになるのでしょうか?
この振動は、全国に800ヶ所あるという高感度地震計の観測結果からわかったそうですが、このようなわずかな変化をとらえるとは、まさに「高感度」ですね。
今回、検潮計で実際に観測された津波の高さと、この地盤の傾きの相関を見ることで、検潮計が無い場所の津波の高さをある程度推定できる可能性があるようです。
将来の津波予測の際に、より高い精度を実現する手段の一つになりうる、ということでしょうか。地震計というと、津波とは直接関係なさそうですが、実は津波に対する防災でも役立つということになりますね。
asahi.com
チリ津波、重かった…日本沿岸、一時わずかに傾く
2010年3月24日22時1分
南米チリで2月に起きた大地震による津波の力で、日本の太平洋沿岸の地盤が傾いていたことが、防災科学技術研究所の観測で分かった。傾きは最大で1キロ先の地面が1ミリ上下動する程度で、津波の去った後に元に戻った。押し寄せた津波の海水の重みで海底がたわんだ影響とみられる。
同研究所が、全国約800カ所に展開する高感度地震計観測網のデータを分析。津波が日本に押し寄せた2月28日から3月1日にかけて、津波の打ち寄せる周期と同周期のゆっくりした振動が各地で確認された。
分析の結果、北海道から九州までの太平洋側沿岸の地盤が、何回も来襲した津波に合わせるように、海側が低くなったり、高くなったり繰り返した。最も傾いたのは福島県いわき市の1キロあたり1ミリで、28日午後2時〜4時の間に観測された。
分析した小原一成・地震観測データセンター長は「今回の分析を応用すれば、検潮計がない場所の津波の高さが推定でき、防災に役立てられるかもしれない」と話している。(長野剛)
記事の内容を拝見して、当初は非常に驚きましたが、日本列島のあり方を考えれば、これは道理であるとも思いました。ほぼ、地球を半周してきた波を、列島自身が受け止めたと考えれば、当然揺れるんでしょうね。
津波による潮位の変動で海底にかかる水圧が変わり、地盤が押されて凹んだ、ということですね。
津波が引けば圧力が下がって地盤は元に戻るという。
震源近くでも同じことが起きているはずですが、ではどれぐらいの傾きが発生したのか?というところが気になります。