兵庫県神河町の学校や幼稚園・保育所などの給食に使われた米から、カドミウムが検出されたとのこと。その濃度は、 農水省が流通規制をする濃度を上回るが、食品衛生法で定めている基準値は下回っているそうです。
問題の米は町内産の米で、今のところ健康被害の報告は無いらしいですが、2月4日、 5日と給食に使われて子供たちが食べているそうです。
町内には生野鉱山(現在は閉山)があり、以前にそこからカドミウムが流出していて、 周辺の水田にはカドミウムが蓄積しているところがあるようです。かつては、食品衛生法の基準値を超えたこともあったそうです。
それも今は昔、土壌改良で対策済みということですが、結構な濃度のカドミウムが検出されるということは、 そんなにうまく行っていないのかもしれません。
兵庫県の説明では「水田の管理が徹底されていない」とさも農家の責任のような口ぶりですが、 検査結果を待たずにコメを消費に回した県体育協会の怠慢であることは明らか。
コメの供給は検査結果確認後、というほとんど当たり前に思える処理にしていれば、 子供たちが食べることなど起きなかった。
「これまでの検査結果から大丈夫だろうと思っていた」というのでは、検査は形骸化していたようにとれます。 ひょっとして「悪い結果」が隠蔽されたケースもあったのではないか?と疑いたくなります。 まるで某国の釈明を聞いているような気がしますが、日本なのですよね。
過去に、鉱害の問題が顕在化していた土地柄なら、水田の管理も確かに重要ですが、 検査する側も相応に慎重にならないといけませんよ。カドミウムが身体にたまると、「イタイイタイ病」になる可能性もありますよ。
こんな無責任の被害を被るのは、結局は子供たちであり、町民の方々です。基準値を下回っているから良いとか、 健康被害が無いから良いとか、安穏としていないで、再発防止策を真剣に考えないとダメです。
asahi.com
給食のご飯から基準超すカドミウム 兵庫・神河町
2010年2月13日16時53分
兵庫県神河(かみかわ)町で小中学校や幼稚園などの給食用に納品されたコメから、 農林水産省が食用の流通を規制している基準を超える濃度の有害重金属カドミウムが検出されたと、兵庫県の外郭団体「県体育協会」 が12日、発表した。コメの一部は町内の17校園で約1400人の園児や児童らが米飯として食べていたが、 食品衛生法の基準値は下回っており、健康被害の報告はないという。
県体育協会によると、カドミウムが検出されたコメは2009年度の神河町産。 同協会が所管する県学校給食総合センターが2月分の給食用として1月21日にJA全農兵庫(神戸市)から玄米47袋 (計1410キロ)を購入した。
同センターは1月28日、財団法人「日本穀物検定協会」に定期検査を依頼。 47袋のうち1袋から抽出した玄米からカドミウム0.79ppm(1キロ中に0.79ミリグラム) が検出されたことが2月8日に報告されたという。
しかし、同センターでは2月4、5日の給食用として町内の2カ所の給食施設にコメを供給。 施設で調理されたコメ計2894食分(約203キロ)が町内の小中学校、保育所、幼稚園の計17校園で消費された。 このほかのコメはすべて回収したという。
コメのカドミウム含有濃度については、国が食品衛生法で1.0ppm未満と定め、 これ以上の濃度のコメは焼却処分されている。また0.4〜1.0ppmのコメについても、 農林水産省所管法人が国の補助金で買い上げ、工業用などの非食用として売却してきたが、08年の「事故米」事件を機に、 同年からは焼却処分されることになった。
濃度の高いカドミウムが含まれた原因について、県農業改良課の金川良夫課長は 「土壌に含まれるカドミウムが吸収されないようにする、水田の管理が徹底されていなかったのではないか」と説明。 検査結果が消費後になったことについて、県体育協会の大西剛専務理事は「これまでの検査結果から、大丈夫だろうと思っていた」 と釈明した。
県によると、神河町に隣接する朝来市には73年まで採掘が続いた生野鉱山があり、 鉱石の製錬過程などで流出したカドミウムが川に流れ込むなどして、当時、 水田で栽培されたコメから食品衛生法の基準値を超えるカドミウムが検出された。このため、 72〜96年にかけて町内の水田101.71ヘクタールが農用地土壌汚染防止法で「汚染田」に指定され、 土壌改良などで01年までに全水田で指定が解除された。(渡辺芳枝)