先日の東海道新幹線の架線が断線した事故の原因は、ある車両のパンタグラフの整備ミスであったことがわかりました。
パンタグラフの部品を固定する4本のボルトを取り付けるのを忘れたまま走行していたため、部品が外れてパンタグラフのアームが架線と接触、断線に至ったとのこと。
ボルトを締め付けが甘かったとか締め忘れでは無く、「取り付け」忘れというところが初歩的な痛いミスです。
1件の重大事故に至る前には29件の軽微な事故があり、300件のヒヤリ・ハットがあるといいます。これを経験として、チェック体制を強化してもらいたいですね。
問題の車両は、ボルトが無いままに東京〜新大阪間を1往復していたそうなので、綱渡り状態だったとしても、何とかなっていた、ということですね。
もう少し早く取り付け忘れに気づいていたら、大規模な混乱は回避できたかも知れません。
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東海道新幹線 架線断線で混乱
YOMIURI ONLINE
新幹線トラブル、原因はボルトの締め忘れ
JR東海道新幹線で先月29日、架線が切れて停電し約14万9000人に影響が出たトラブルで、JR東海は1日、パンタグラフのボルト取り付けを忘れた人為ミスが原因だったと発表した。
ミスがあったのは、現場近くで停車した「こだま659号」後方のパンタグラフ。調査したところ、先月27日、東京・大井地区の車両基地で、パンタグラフ上部の「舟体(ふなたい)」と呼ばれる部品を交換した際、作業員が固定するボルト(直径8ミリ、長さ3センチ)4本をすべて取り付けるのを忘れたという。
このため走行中に舟体が外れ、パンタグラフのアームが架線を支える金具に引っかかり、線がちぎれたと断定した。この車両は、舟体を固定しないまま29日に東京―新大阪間を1往復していた。都内で記者会見した同社新幹線鉄道事業本部の長田豊・副本部長らは「初歩的なミスで申し訳ない」と陳謝した。
(2010年2月1日16時01分 読売新聞)
これがこだまでしたから、各駅停車で良かったですが、もしのぞみなどで、駅を高速通過中に線が引きちぎれ、パンタグラフが飛ぶ、といったことが起きれば大惨事でした。その意味で、今回の一件、決して軽く見ずに再発防止の徹底を期待したいところです。
人身事故や大規模な物損事故とならなかったのは不幸中の幸いでしょう。
たまにしか行わない部類の点検だそうで、作業した者、チェックした者ともにミスをしやすい条件があったようです。
是非、この失態を再発防止へ向け活かして欲しいと思います。