半世紀以上の調査にもかかわらず、特定ができなかったニホンウナギの産卵場が、グアム島の北西約200キロにある、 スルガ海山であるとほぼ特定された、というニュース。
トリノオリンピックや、堀江メールの問題に比べれば、地味なニュースですが、私は結構、感動しましたね。 そういえば子供の頃、ウナギの産卵場は謎である、というのを何かの本で読んだなあ、ということを思い出したのですが、 このニュースに触れて、ついに積年の謎が解けたのか、という、引っかかりがとれたような感動です。
土用の丑の日やら、うな丼・うな重、ひつまぶし等々、ウナギは親しみのある魚ですが、
天然ものは何千キロも回遊するとか、産卵場が謎だったとか、親しみがある割に、謎が多い魚ですね。
確か、ふ化直後のウナギの人工飼育も、最近まで餌がわからなかったとか(もしかしたら、
今でも謎なのかも知れませんが)聞いた記憶があります。
asahi.com
ウナギの産卵場はグアム沖 東大教授ら、幼生捕獲に成功
2006年02月23日08時26分
長年謎とされていたニホンウナギの産卵場は、グアム島の北西約200キロの「スルガ海山」 にあることを、塚本勝巳・東京大海洋研究所教授らの研究グループが突きとめた。産卵場は、 これまで半世紀を超す調査にもかかわらず判明していなかった。日本や中国の沿岸で養殖用に採取される稚魚 (シラスウナギ)は、すべてこの海域から来るとみられ、研究成果は、 激減しつつあるウナギ資源の保護に役立つと期待される。23日付の英科学誌ネイチャーに報告する。
ニホンウナギは一生の間に数千キロの大回遊をする。南の海で生まれた幼生は、 北赤道海流で西に流された後、黒潮に乗って北上し、3カ月〜半年かけて日本や中国など東アジア沿岸にたどり着く。 その間に、幼生からシラスウナギへと姿を変える。
親ウナギが集まる産卵場は、マリアナ諸島西方沖のどこかにあると推測されていたが、 具体的な場所は分かっていなかった。
研究グループは昨年6月、海洋研究開発機構の学術研究船・白鳳丸(3991トン)で現場海域を航行し、 独自に開発した大型プランクトンネットを海面から水深500メートルにかけて引いた。
その結果、スルガ海山の西約70〜100キロの地点で孵化(ふか) 後2〜5日の幼生を捕獲することに成功した。いずれもDNA鑑定でニホンウナギと判明した。「プレ・レプトセファルス」 と呼ばれる誕生直後の幼生で、全長は4.2〜6.5ミリ。今回の調査で、計約400匹が捕獲された。
ニホンウナギの卵は、受精から1日半で孵化することがわかっている。 現場海域では時速1キロ前後の海流が西向きに流れており、捕獲した幼生の日齢から逆算すると、 産卵場はスルガ海山であることが確定的となった。
スルガ海山は、北緯約14度、東経約143度にある。周辺は水深3000メートル前後の海底が広がり、 海山の頂上は水深約40メートル。広大な海の中で、親ウナギが集まる目印となっているらしい。
塚本教授は「産卵場探しが決着したことで、今後の調査では、 ウナギの回遊や資源変動のしくみを本格的に解明できるようになる」と話している。
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〈ニホンウナギ〉日本や中国、韓国など東アジアに広く分布し、成長すると産卵のため川を下り海に入る。 世界には、ヨーロッパウナギやアメリカウナギなど18種類のウナギがいるが、 国内で消費されるウナギの大部分はニホンウナギ。日本鰻(うなぎ)輸入組合によると、昨年の場合、 国内流通量の9割近くを占めた。